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44、国立特殊技能高等学校 〜敵か味方か、レベル391

「じゃあ、青空くん達は、地上の住民の味方なの?」


 早瀬さんは、俺達一人一人の顔を見た。なんだろう、不思議な感じがする。それに、俺の方を何度も見ているような気がする。


「早瀬さん、もしかしてサーチ魔法か?」


「えっ!? あ、ごめんなさい」


 スイトが指摘したのは正解のようだ。不思議な感覚はサーチされているからだったんだ。不思議なサーチだよね。なんだか……。


「プライバシー保護法に反するだろ?」


「は、はい」


 なんだかスイトは怒っていた。ミカトも困った顔をしている。早瀬さんが何をサーチしたのかな。戦闘力とかなら、みんなサーチするよね?


「仕方ないじゃない。浮き島から降りてきたんだから」


 今度は、中村さんが怒っている。スイトを睨んでるし、なんとかしなきゃいけないよね。



「ねぇ、早瀬さんは、なぜ俺を何回も見てたの?」


「えっ? あ、違う……じゃなくて、あの……」


 なんだか、空気感が一気に変わった。俺は、変なことを言ったっけ? 俺としては話題を変えたつもりなんだけどな。


「ちょっと、リント、それって……」


 ミカトは、少し笑っていた。


「あんた、自惚れるのもいい加減にしなさいよ。ちょっとカッコいいからって、ちょっと賢いからって、調子に乗りすぎよ」


 なぜか、中村さんに叱られた。いや、褒められた?


「えーっと、何か、俺、変なこと言った?」


 ミカトに助けを求めても笑ってるし、中村さんには睨まれてるし、早瀬さんは目をそらすし……。


「リント、その捨てられた子犬のような目はやめろ。いま、おまえ、爆弾発言をしたんだぜ?」


「ん? 何? スイト……俺、全然気づいてない」


「だろうな。何度も見てたって言っただろ。それって、俺のことが気になるのかって言ってるようなもんだぜ」


「へっ? 違うよ。早瀬さんは俺じゃなくてミカトが気になってるんだよ」


「おい、バカ、おまえなー」


(あっ、しまった……)


 パコン!


 スイトに頭を殴られた。痛いって。


 早瀬さんは真っ赤になっている。中村さんにはますます睨まれ、ミカトは笑ってた。まさか、ミカトは気づいてないんじゃ?


「スイトのツッコミが面白くなってきたな、あはは」


「ミカト、あのさー」


「鈍感っ!」


「えっ? 何が?」


 今度はミカトが中村さんに睨まれている。あ〜……しまったな。俺、気をつけなきゃ。



「話を戻すか。早瀬さんは、リントのサーチができなかったんだろ?」


 スイトがそう言うと、彼女は頷いた。何か言おうとしたが、諦めたみたいだ。


「嘘っ、結花がサーチに失敗した? リントくん、妙な魔道具でも身につけてるわけ?」


(名前、結局、くん呼びだね。まぁいいけど)


「中村さん、早瀬さん、俺達に協力してくれるなら、教えてあげるけど?」


「スイト、何を……」


「リントは黙ってろ。また変な失言してもフォローしないぜ」


(あう、すみません……って、いやいやあのねー)


「協力って何よ」


「情報提供、かな? 俺達、地上のことが全然わからないからさ」


「何か、スパイでもしろってこと?」


 すると、スイトは冷たい目をした。たまにこういう目をするよね。コワイ……たぶん中村さんと合わないね。


「そんなこと、できないだろ。それにスパイを頼むなら、高位の冒険者に頼む。俺達が欲しいのは普通の生活での情報だ」


「何それ」


「例えば、リンゴをどんなときに食べるとか?」


「はい?」


「どう? できる?」


 スイトの情報提供の話が、彼女達には意外なことだったみたいだ。キョトンとしている。


「なぜ、そんな情報が欲しいわけ?」


「それは、協力するっていうことでいいのか? そもそも、食事についてきたのも、俺達に近づくためだろうけど」


「近づくって……敵が味方かを判断しなきゃいけないもの」


「で? 返事は?」


「スイト、そんな聞き方をしたら、怖がられるよ」


「鈍感なミカトは黙ってろって」


 そう言われて、ミカトは、鈍感の意味がわかったみたいだった。でも、特に意識してないのか、いつもの表情だ。



「わかったわよ。青空くん達のことは信じる。結花もサーチしたことは、他にもらさないよ。ねー?」


「うん、まさか、言えないもの。悲劇の第二王子だなんて」


「ちょ、結花、言っちゃってるし」


「ハッ、ご、ごめんなさい」


 まぁ、その程度なら、あちこちにバレてると思うんだけど……。なぜ、スイトは怒ったのかな?


「リントは、早瀬さんが何をしたか、わかってないみたいだな。覗かれるとその光景が一気に頭を駆け巡ったんだ。俺達の過去を見られた」


「えっ!?」


「まさか、バレるとは思わなかったから、ごめんなさい」


「そして、リントを覗けないから、何度も試したんだろ」


「はい」


「リントは、ハーフフェアリーだ。それに、万年樹の精霊の使徒でもある。精霊の加護があるんだ、ただの人間が覗けるわけない」


「えーっ、精霊の使徒なの? じゃあ、私達の味方じゃない。あれ? 万年樹って言った? 千年樹でしょ」


「中村さん、知らないの? この地上には、1本だけ万年樹があるんだよ。冒険者なら知ってるぜ」


「ふぅん」


「ハーフフェアリーって何? 普通に人間にしか見えないのに。他の青空くんは?」


 早瀬さんは、ミカトに聞いていた。スイトは怖い人認定されたんだね。


「さぁ、万年樹の妖精は、リントのことを半人前の妖精って言ってるけどよくわからないんだ。でも、半分妖精だからか、リントは攻撃力がめちゃくちゃ低いんだよね」


「うん、レベル上げしてもなかなか強くなれなくて、厳しいよ」


 そう言うと、中村さんが首を横にふるふると振っていた。


「クラスの席順、今月は総合戦闘力順だから。三人がクラスの1位から3位」


(えー、そんな席順なの?)


「俺、ミカトに負けてるのか。レベル抜かれた?」


「いや、俺の方がレベル低いんじゃない?」


 二人は、腕輪でレベルの確認をしている。俺も見てみよう。




【名前】 青空 林斗 (あおぞら りんと)

【レベル】 391

【種族】 ハーフフェアリー


【体力:HP】 10,070

【魔力:MP】 10,010


【物理攻撃力】 6,790

【物理防御力】 5,910


【魔法攻撃力】 7,590

【魔法防御力】 6,040


【回復魔法力】 2,060

【補助魔法力】 5,300


【速さ】 5,950

【回避】 6,650

【運】 221


【その他】 精霊の使徒 (Lv.1)


【指輪情報】

 ①万年樹……ランク28、第3階層クリア



 わっ、体力1万超えたー!


 レベルは、けっこう上がってる。タイムトラベル先で上がったのかな? あ、あのあとの幼女の手伝いも、かな。



次回は、3月28日(土)に、投稿予定です。


月火水と、コロナ疑惑で自宅待機でした。明日から社会復帰します。まだ微熱はあるんですけど、たぶんただの風邪だと思います。


コロナでどこも大変ですが、皆様、お気をつけください。花粉も飛んでますし、ほんと大変な春ですね……

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