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42、国立特殊技能高等学校 〜クラスメイトの女子ふたり

「じゃあそろそろ終了ねー」


 中村さんが終了を勝手に決めた。なんだろう、この人……やたらと強引なんだけど。


 でも、頑張ったから、けっこうカプセルは集まった。星1つの学食に行くのだと思ってたら違った。


「星1のカプセルは、星2に交換してよー」


「うん? 中村さん、星2の扉のとこに行くの?」


「当たり前でしょ。星1のとこなんて、行ってらんないじゃない」


 ミカトが中村さんとの話をしてくれている。たぶんミカトとしては、星1の学食の制覇をしたかったんだと思うけど、押し切られた感じだった。



 交換機で、星1のカプセルは星2に交換した。10個で1個になるから、10倍の値段のごはんなのかと考えると少し楽しみな気もする。


 俺が集めたカプセルは、星1はちょうど10個あって、あと星2が7個あった。なので星2のカプセルが8個になった。


「リント、相変わらず、ドロップ運いいよね」


「あはは、うん、そうだね。弱い分を運で稼いでる感じ?」


「でも、だいぶ強くなったんじゃないのか?」


「スイトと比べると、赤ん坊も同然だよー」


 俺達が話していると、中村さんが口を挟んできた。


「青空くん達、私達のことを忘れてない? 男子だけでいつもつるんでるわけ?」


「中村さん、忘れてないよ。でも、この二人は人見知りが激しいんだよね。特にリントは女性に慣れてないというか……」


「ふぅん」




 俺達は、星2つの扉を開けた。


「えっ? なんか全然違うじゃん」


「星1なんて行くわけないって言った理由がわかった?」


 星1つは学食だと言われていたように、食堂のような気軽な感じで、空いている席を探して勝手に座って勝手にカプセルを開けるという仕組みだった。


 でも、星2つは、普通にレストランだった。


「何名様ですか?」


「5人です」


「どうぞ、こちらへ」


 扉を開けた場所には、店員さんがいて、席に案内された。そして、水やおしぼりも出してくれた。


 店内は、学生は少なく、ほとんどが一般客のようだった。


「あちらに、フリードリンクコーナーがございます。ご自由にどうぞ」


 そう言うと、店員さんはまた扉の方へと戻っていった。あの人は案内係なんだな。



「適当に飲み物を取ってきたら?」


 中村さんにそう言われて、俺達は立ち上がった。ミカトは、ハッとして、振り返っていた。


「二人は何を飲む?」


「私はオレンジジュース、結花は?」


「えっ? 私はミルクティがいいな」


「オレンジジュースとミルクティねー」


 ミカトがなぜか二人の飲み物を聞いていた。


 フリードリンクコーナーで、俺はウーロン茶を入れた。食事のときに、ジュースは違う気がする。でもここには、リンゴジュースはないんだな。スイトのスイカジュースがないのはわかるけど。


「ミカト、なぜ、二人の飲み物を聞いたの? あ、二人の分も用意してるんだ」


「うん、リントは気づかなかった? さっきのあれって、私達の分を取ってきてちょうだいってことだよ」


「そうなの? ミカトすごいね」


「俺もそうだと思った」


 スイトがなんだか面倒くさそうにしている。


「スイト、何?」


「あの女子、私達の分も取ってきなさいよという感じが、ひしひしと伝わってきただろ? 何様なんだろうな」


「どこかのお嬢様じゃないの?」


 ミカトもスイトも二人の様子に気づいたんだ。


 俺は全く、そんなことに気づかなかった。でも中村さんの反応は、取ってきてもらうのが当たり前みたいだったよね。女子ってこんな感じなのか。


「俺、女性の扱いがわからないよ。何も気付かなかった」


「リントはそれでいいんじゃない? スイトは気付いてもスルーしてるしさ」


 俺は、ミカトが自分のために入れたコーラを持つことにした。そして、席に戻ると、二人はもうカプセルをいくつも開けていた。



「はい、お待たせ。どうぞ〜」


 ミカトは、紙ナプキンも添えて、二人に飲み物を渡していた。ストローも忘れずに取ってきている。そして、とても慣れた手つきで二人の席に置いていた。なんか、カッコいい。


「へぇ、完璧じゃない。期待してなかったけど」


 中村さんって、毒舌なのかも。


「みく、そんなこと言っちゃダメだよ。青空くんありがとう」


「結花、三人とも青空くんだけど?」


「あわわ、そうだった。えーっと、実香斗くんだっけ」


「うん、ミカトでいいよ。俺達は、くん付けは、相手をからかうときに付けるからさ」


(へぇ、からかうときなんだ)


 ミカトは、やわらかな笑顔を向けていた。優しい顔をしてしいる。俺達に向ける顔とは違うよね。


「そう、わかったよ」


 うん? 彼女は少し頬が赤い。これはもしかして、もしかするのかな?


「こっちがリントで、こっちがスイトね」


 ミカトは、二人に俺達の紹介をした。彼女の変化には気づいていないのかもしれない。


「私は、早瀬 結花です。みくとは、幼なじみなの」


「早瀬さんね。へぇ、中村さんと二人仲良しだと思ってたら、幼なじみなんだね。俺達も幼なじみだよ」


「だから、三人は仲良しなんですね」


 うん、間違いない。ミカトってモテるんだ。早瀬さんは、ミカトを見てドキドキしてるもんね。


 あ、でも、これは俺がハーフフェアリーだからわかるのかもしれない。スイトも気付いてないみたいだし……黙っておこう。



「ねぇ、青空くん達のカプセル見せて」


 中村さんは強引に確認を始めた。そして、いくつか指定したものを開けさせられた。なぜか、ほとんどが俺のカプセルなんだけど……。


 でも、カプセルを開けて、その理由がわかった。このテーブルに並んでいない料理だったんだ。


 テーブルは、5人で食べきれないくらい、たくさんの皿が並んだ。テーブルの横には取り皿が置いてある。それを、早瀬さんが、みんなに配ってくれた。


「じゃあ、食べよう! レアなものは早い者勝ちだからね」


 中村さんは、そう言って、もう何かを自分の皿に入れていた。めちゃくちゃすばやいな。


 俺も適当に、皿に取って食べた。どれもかなり美味しい。さすが星1の10倍だね。


「めちゃくちゃ美味しい」


 俺は思わず呟くと、中村さんは自慢げな顔をしていた。別に中村さんを褒めたわけじゃないんだけど?


「リント、よくわかってるじゃない」


「ん? あ、聞こえた?」


「聞こえるように言ったんでしょ」


「いや、ただの心の声だよ」


「ふぅん」


 そう言って中村さんは、また俺をジッと見た。ふぅんが口癖なのかな?


「それで、青空くん達って何者? ウチの高校に入ってきた狙いは何?」


 彼女の目つきは、急に厳しくなった。



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