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26、国立特殊技能高等学校 〜特殊な使命を持つ高校

 俺達は、再び転移部屋として使われている体育館に戻った。そこには、さっきの実技試験の先生二人が居た。


「おっ、飯食ってきたか?」


「はい、あの、どこへ行けばいいですか」


「そっちから出てすぐの教室だ。席は決まっているから、名前の貼ってある席に座って待っていなさい。筆記具などは、カンニング防止のため、私物は使えない。ペンも配布されるから何も出さなくていい」


「わかりました。筆記具は持ってきていません」


「ははは、試験を受けに来て、手ぶらというのは大胆だな」


 先生との対話はすべてミカト任せだ。確かに筆記具なんて、気にもしていなかったな。


 教室は広かった。既に30人は着席している。他の王子達もいた。俺達は遅かったのかもしれない。


 そして、簡単な説明の後、まず筆記試験がおこなわれた。確かに先生が言っていたように、俺達には簡単な問題だった。




「筆記試験、お疲れ様でした。この後は実技試験があります。その前に、入学までにやっておくべきことの話をさせてもらいます」


 学校説明があると言ってたっけ? でも、やっておくべきことって聞こえたような……。


「我が校は、国の要請によって作られた特殊な使命を持つ高校です。ある有能な予言者が、近い将来この国に甚大な被害をもたらす事件が起こると予言しました。国が滅ぶだけでは済まない事態になるかもしれないようです。予言者の的中率は99%を超えます」


 ザワザワと皆が騒がしくなった。だが、俺達は、俺が万年樹の精霊の使徒に選ばれたときに、さんざん騒いだから、無言だった。やはり、という印象しかなかった。


 でも、その様子を見ていた教壇の先生は、俺達を見て微笑んだ。この学校では、俺達は、まるでその危機を防ぐために浮き島から降りてきたと考えているのかな。


「我が校の生徒は、すべて特殊能力のある人ばかりです。想定できない危機に対応する能力があるはずです。ただ、能力があっても技術が伴わないと使えない。皆さんは可能な限り、戦闘力を上げてください。ダンジョンを利用すれば、レベルや能力を上げやすいはずです」


 なんだか、とんでもない高校なのかもしれない。どうしよう。


「入学までに、レベル100は超えておいてください。そして、成長には個人差があるでしょうが、戦闘力を上げてください。ダンジョン固有スキルは、ダンジョンの外では使えませんから」


 えっと……あの無双できそうなスキル『精霊の使徒』は、指輪にはダンジョン固有スキルってとこに書いてあったっけ。そうだよね、万年樹の精霊の使徒だから、たぶん万年樹のダンジョンでしか使えないんだ。


 すると、見知らぬ人が質問をした。


「最終的にはどれくらいの戦闘力が必要なんですか」


「そうですね。高いほど安心だと考えています。海底都市の魔物工場で作られる魔物を単独で倒せる程度は欲しいですね」


「冒険系ダンジョンのボスですか。物理攻撃力1万は必要という感じですか」


「それは、遊園地ダンジョンのボスですね。最終的にはその10倍は欲しいところです」


 俺は確か、やっと1,000越えたくらいだっけ。無理すぎる。でも、なんとかしなきゃいけないのか……。


「我が校では、剣術の訓練もあります。もちろん魔法の訓練もあります。入学までに少しでも高めておいてください」


 質問した生徒は、力なく着席した。俺も自信ないな。要求される戦闘力はかなり高いみたいだ。


「それから、実技試験が既に終わった人はこれで終了ですので、もう一つ連絡事項があります。クラスが決定したら、ご自宅へ学生証を送付します。それを使えば、この学校にあるダンジョンはもちろん、最寄り駅にあるダンジョンも無料で利用できますからね。是非、活用してください。以上です」





「なんか、疲れたよなー。どうする? 帰る?」


「ミカト、転移って、転移屋を使うのかな?」


「帰り方、知らないよ」


 俺達は帰れないと焦ったが、スイトは冷静だった。


「体育館から帰れるんじゃないか。すごい魔力持ちの先生がいたんだろ?」


「あ、そっか。そうかもね」


「お食事ダンジョン行こうぜ。腹減った。たぶん、学生証はなくても、グラウンドから入れるんじゃない?」


 ミカトは、目を輝かせている。確かにお腹減ったよね。スイトも頷いていた。



 俺達は、グラウンドの片隅の、お食事ダンジョンへ移動した。そして、幹に触れると、スッとダンジョンの中へと入ることができた。


「めちゃくちゃ混んでるね」


「こりゃ、カプセルは集められないな」


 時間帯が悪いのか、子供が多い。有料で入ってきた一般客の団体さんがいるみたいだ。


「コインがあるから、サクッと交換機でカプセルに交換する?」


「そうだな」


 俺達は、ダンジョン内を素通りして、赤い灯の扉を開けた。たくさんの機械が並んでいる。ほとんどがグレードアップの交換機だけど、コインをカプセルに交換する機械もあった。


 俺は、赤いカプセルが出てきた。またオムライスじゃん。もう一枚のコインも、また赤いカプセル。またまたオムライスじゃん。


 ミカトやスイトも2個交換していた。


「俺、赤ばかりになった」


「みんなでシェアしようぜ」


「ミカト、天才!」


「あはは、おまえら、必死すぎだぞ」



 星1つの扉を開くと、中はガラガラだった。昼はけっこうたくさん居たのにな。


 そして、俺達は空いているテーブル席に座った。


「せーのーで、開けるぞ〜」


「ミカト、俺のはオムライスだし」


「リント、楽しまなきゃだろ。せーのっ」


 仕方なくミカトの声に合わせてカプセルを開けた。うん、やっぱりオムライスだね。


 ミカトやリントは別の物だった。焼きそば、から揚げ定食、ハンバーグ定食、サンドイッチ。どれも量は少なめだ。


 そして俺達は、シェアしながら食べた。ミカトは、めちゃくちゃ気に入ったらしい。在学中に、星2以上の扉も、全部制覇しようと言い出した。



「お腹いっぱいになったし、やっぱ、福引きダンジョンに行こうよ」


「ミカト、さっきは帰りたそうだったじゃないか。食い過ぎたか」


「食ったら、やる気が出てきたんだよ。少しでもレベル上げなきゃ、レベル100なんて……って誰かさんはもう達成してるじゃん」


「でも、物理攻撃力1,000くらいだよ、まだ」


「リント、それを上げるのは大変そうだな。ハーフフェアリーだから仕方ないが」


「うーん」


 そして俺達は、お食事ダンジョンを出て、福引きダンジョンへと向かった。



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