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123、万年樹の島 〜再びダンジョンの中へ、レベル1860

 俺は、付近のサーチをした。でも、カルデラや安倍晴明の気配はない。


 カルデラは姿を完全に隠せるから、サーチには引っかからないかもしれないけど、安倍晴明にはそんな能力はないはずだ。


(うん、居ないね)


 でも、彼女はきっと、一瞬でここに転移して来ることができる。だからダンジョン内以外は、すべて危険なんだ。



「リント様、彼女達はかなり離れました。警戒しなくても大丈夫です」


 俺の目の前に、こびと達が現れた。


「キミ達にはわかるんだ。すごいね」


「各地に配置完了しましたので、木々のある場所の光景は見えます」


(分身のことかな?)


「カルデラにサーチを察知されない?」


「大丈夫です。サーチは使っていません。それに、私達の分身のチカラは弱いので、気づかれても昆虫だと思われるかと」


「そっか。だから、さっきも気づかなかったんだね」


 そう言うと、彼らは少し黙った。ん? 違うのかな。


「いえ、オリジナルの私達は、昆虫並みではないのですが、リント様の中に入って隠れておりました」


「えっ? そっか、木の精だもんね。でも、キミ達の素性には気づかないのかな」


「別の種族になりましたから、大丈夫です」


 彼らは、カルデラに対して、まるで何の感情もないみたいだ。カルデラは、彼らをまるで自分の子供のように大切にしていたようだけど……。


「私達は、使いやすいから利用されていただけです」


「俺が考えていることは、わかるんだね」


「はい、わかります」


 なんだか、頭の中を覗かれているみたいで恥ずかしいんだけど、彼らにはそんな感覚はないのかな。


「不快ですか? すみません」


「いや、別に、そこまでじゃないんだけど」


「私達は、転生前から、すべての声が聞こえます。だから、どう取り繕われても無駄なこと。彼女の心には、情はありません」


「そう? 俺から見れば、彼女なりにキミ達を大切にしていたように感じたんだけどな。だから、いま、彼女は狂ってる」


 こびと達は、意見が割れているようだ。頷く個体と、首を横に振る個体、そしてこの話に興味のなさそうな個体、いろいろ居るね。



 そのとき、ひとりがピカピカと光った。すると、リーダー格の個体が合図をして、彼らはスッと消えた。


(ん? 何? またカルデラが戻ってきた?)


 俺は、まわりにサーチ魔法を使った。でも、島には誰もいない。カルデラは、俺のサーチでは見つけられないか。



 俺は警戒した。


(あれ?)


 しばらくすると、見覚えのある顔が万年樹のそばに転移してきた。彼も、俺に気づいたみたいだ。



「おぅ、リント、無事やったか。はよ、こっち来い」


「紅牙さん、ご無沙汰してます。まだ状況がわからなくて」


「ここは、いつ襲撃されるかわからん。話なら中で聞くわ〜。とは言うても、中も厄介なんや。手伝ってくれ」


「あ、はい」


 紅牙さんが来るのがわかったから、こびと達は姿を消したんだ。無の怪人を殺そうと追いかけてた人だからだね。



 俺は、万年樹に近寄った。


「リント、ちょっと待て。おまえ、どないしてん?」


「えっと、何か変ですか?」


「噂どおり、死人ちゃうやろな?」


「死んでませんよ。俺が死ぬと、眷属けんぞくも生きていられないから、気をつけてました」


「じゃあ、なんでおまえ、心臓がいっぱいあるんや? 心臓とは言わへんか、核か? 花か?」


「へ?」


 俺に心臓はひとつだけだと思うんだけど、何か変なのかな? 身体のあちこちを見てみたが、変わった様子はない。


「紅牙さん、意味がわからないんですけど」


「おまえ、先に入れ。おかしかったら、後ろから斬るで」


 一瞬何の冗談かと思ったけど、紅牙さんは真剣な顔をしている。気が立ってるのかな。


「わかりました」


 俺は、万年樹に触れて、ダンジョン内に入った。




「えっ?」


 中に入ると、いきなり鎧を着た冒険者数人に、剣を向けられた。


「何者だ!?」


「えっと、青空 林斗ですが……。あの?」


「この島への出入りは封鎖している。どこから来た?」


「ここの住人ですけど」


「住人は、すべてダンジョンの中だ。外に出ることができるのは半妖だけだ。おまえは人間……に化けた怨霊だろう?」


「いえ、俺は、人間じゃないです。あっ、そうだ。ステイタスを見ます?」



 俺はステイタスを表示した。なんか久しぶりだな。




【名前】 青空 林斗 (あおぞら りんと)

【レベル】 1860

【種族】 フェアリー・キング


【体力:HP】 22,500

【魔力:MP】 98,980


【物理攻撃力】 21,500

【物理防御力】 48,000


【魔法攻撃力】 112,400

【魔法防御力】 50,200


【回復魔法力】 50,860

【補助魔法力】 66,200


【速さ】 27,820

【回避】 50,700

【運】 604


【その他】 精霊の使徒 (Lv.3)、隠れスキル (Lv.2)


【指輪情報】

 ①万年樹……ランク51、第5階層クリア

 ②たまゆら千年樹……ランク100、全階層クリア




 体力と物理攻撃力が2万超えてる! やった〜。タイムトラベル先では、やたら体力を使ったからかな。


 スキルのレベルも上がっているね。


 あっ……種族が変わってる。和リンゴの王になったんだ。なんだか、しみじみするなぁ。



「なんや、本物やんけ。しかし、おまえ、バケモノみたいやな。なんやねん、その魔力」


 いつの間にか、背後に紅牙さんがいた。


 そして、俺に剣を向けていた冒険者達が慌てて剣をおさめた。


「し、失礼した。妖精王。見たステイタスは、他言しませんので、あの……」


(妖精王? なんだか違うんだけど)


「リント、みんなピリピリしとるんや。許したれ。タイムトラベルから戻って来たから、外におったんか?」


「別に怒ってないですし。妖精王というほど大げさな者じゃないです。さっき戻ってきたばかりです。きのこさんとは少し話したんですけど、あまり状況はわかりません」


「丸二日やもんな。おまえの不在時を狙ったかのように、襲撃してきよった。まぁ、夏から樹海の戦乱が始まったから、たまたまかもしれんけどな」


「皆さんは無事なんですか? 俺、夏からの戦乱って、知らないです」


「あー、タイムパラドックスか。ミカトかスイトが変えよったんや。うん? おまえ、外に出たのに、なんで他の奴が起こしたタイムパラドックスの影響を受けへんねん?」


「きのこさんが、たぶん俺は影響受けないかもって言ってましたけど」


 そう言うと、紅牙さんは怪訝な顔をした。


「リント、おまえ、俺に何か隠してることあるやろ?」


「うん? 和リンゴのこと?」



 キャー!!



(えっ? 悲鳴?)


「話は、後や。手伝え!」


「は、はい」



次回は、7月18日(土)に投稿予定です。

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