第67話解キ放タレシ者
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―――気が付けば、私は暗闇の中で倒れていた。
「ここ、は…ッ」
精神世界だ、という事は感覚で直ぐに分かった。
しかし、それ以外はほとんど何も分からない。
私は結野晶花だ、それは分かる。逆を言えば…。
―――あれ、私は何をしていたんだろう?
私は無理解の海に投げ込まれ、溺れていた。
思考は霞がかかったように朧気だ。
ふと、立ち上がろうとして―――足元が崩れ去った。
「え……ッ!?」
落ちる、落ちる、私の体が落ちていく。
不可解だ、不意打ちだ。
何が何だか分からないまま、浮遊感は続いていく。
―――嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ、嫌だ誰か助けて…ッ!
悲鳴を上げながら私は願った。
けれど、きっと誰も助けに来てくれない事を、心の何処かで察していた。
頭上から、光が私を追って来ていた。
その正体は魂獣だった。
魂獣は私を喰ら―――。
◆◇◆◇◆
―――気が付けば、全身を包み込む浮遊感は消え去っており、月の淡い光に私は照らされていた。
現実世界に戻ったのだ。
悲鳴が聞こえた。
私の声だった。
思い出した。
クレイムに首輪を嵌められた途端、私は強烈な圧迫感に襲われた。
それと同時に、私の体が徐々に水色の結晶と化していき、今もそれが続いていた。
私の全てが、魂獣に蝕まれていく。
苦しくて、苦しくて、けれどどうする事も叶わなくて、私は叫ぶしか出来なかった。
「しょ、晶花ッ…!?しっかりしてよ、晶花!」
不意に、絆の声が私を呼んだ。
どうせまた助けてはくれないのだろう。
違う。
違わない。
「あ、あぁッ…」
助けてほしい。
助けなんて、求めていない。
求めている。
私はこんなに苦しんでいる。
けど、耐えられる。
ホント?
「…ぅぐ、あぁ……ッ!」
無理…じゃない。
言葉に詰まった。
詰まって―――
もう嘘はつかなくていい。
嘘なん―――
誰よりも痛みに弱いのに?
既に限界でしょ?
でも―――
ほら、限界なんだ。
「きず、な…ッ」
…我慢をして、傷付いて、傷付いて、傷付いて、私はなんて哀れなんだろう。
ありふれた日常が欲しかった。
無理だから、代用品が欲しかった。
何とか手に入れられた。
友達が…私が依存出来る存在を見つけた。
でも、直ぐにいなくなった。
ねぇ、絆。また助けてくれないんでしょ。絆、ねぇ、どうしてあの時逃げたの?私を独りにしないでくれたら、喜んで代わりに死んであげたのに。私の全てをあげたのに。
どうしてどうして私だけが、こんな目に遭わなきゃいけないの?
最悪、災厄、罪悪。
辛い、辛い、憎い。
ねぇ、自分勝手な絆。
私を独りにした絆。
私、貴方の事。
「―――だイっ…キライ」
―――第四、形態。
文月です。およそ二週間ぶりの投稿で、しかも文章量も少なく、申し訳ございませんでした。
大事なシーンだからでしょう、今作『クリスタル・ワールド』の方に中々筆が向かわず、例の新連載予定作品を執筆していたのが原因です。…はい、お陰で30000字を超えました。あと、最低ここまで書いておきたい、というストーリーの進行具合的ボーダーラインも超えられました。
それと、文月が勝手に決めた修業期間を終了とします。
来年もやりましょうか、えぇやりましょうとも!
おっと、話がそれました。
そういう訳で次回から、週一回投稿に戻ります。
次回は頑張って間に合わせたいと思います!はいッ!
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・べ、別にアンタの作品がちょっと良い感じだって思っただけなんだから!勘違いしないでよね!
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【時刻・西暦2021年9月19日23時38分。場所・作者、文月ヒロの実家にて読者の皆様に向け送信】
申し訳ございません、今日の投稿が間に合いそうにないです。執筆と推敲もまだ途中ですが、大詰めに迫って来ておりますので、明日中には投稿可能です。




