第5話目覚め
【改定済み】
「今週は忙しい。けど、諦めてたまるかッ…。ぅうおぉぉぉぉぉぉぉォォオ!最新話、書ッくんだぁぁぁぁああッ!」と、少年漫画っぽく息巻いてはみたもののやはり無理だったので、この【第5話の改訂版】を予定通りに投稿します。
あかんかったぁ、眠気に負けた…。
気が付けば、暗い、暗い暗い闇の中にいた。
今いるこの場所の正体も、自分が立っているのかも寝ているのかも、そもそも体があるのかすら定かではない。
意識はどこか朧気で、少しでも気を抜けば掻き消えてしまいそうになる思考。
―――俺、は…死ん…で…。
『ふふっ、死んでないよ』
不意に、少女の声が聞こえた。
あの時、聞こえた声だ。
どこにいるのかは分からない。しかし、聞こえたのは確かで。
『けれど、一度目覚めさせてしまったからには、もう後戻りは出来ない』
―――目覚、めさせた…?
『まだ話せない、私に会えない君には』
―――何だよそれッ…。
そんな感情を抱く中、唐突に生まれた紫色の炎が俺の体を包み込んだ。
熱い熱い熱い、意識が奪われていく。
意識が消え去る直前、最後に聞えたのは、彼女の短い独り言だった。
『もう誰も失わせない―――100年前のようには』
◆◇◆◇◆
【時刻・不明。場所・不明】
目覚めは一瞬だった。
「…ッ!あッつ…く、ない……?って、あれ…ここ」
上体を勢いよく起こしながら目を覚ました俺は、ふとここが自分の部屋でない事に気付き、きょろきょろと辺りを見回した。
「病、院…か」
急速に冷静さを取り戻し始めた頭が、周囲の状況を把握し始めた。
病室は個室だった。
窓際のカーテンの隙間からは、陽の光が伸びていて、俺の直ぐ隣のテーブルの上に置いてあったデジタル時計によれば、今は4月4日の午前9時03分だった。
俺はどうやら3日も寝てたようだ。
その所為か、少し体が怠い。
けれど。
「そうか、死なずに済んだのか…」
安堵の息が漏れた。
今考えれば、あの時の俺はどうかしてた…。
クリスタルモンスターなんて化け物を相手にするなんて、ハッキリ言って自殺行為でしかなかったのだ。現に、あのレインとかいう奴が来なかったら俺は間違いなく死んでいた。
まったく、思い出しただけで。
「なっさけねぇッ……」
声を押し殺し、俺は言った。
3日前の記憶が、目を背けるな、と俺の心に囁いたのだ。
あの時、あの場所での行動が間違ってた訳がない。
そうでなければ祖父は死んでいた、そうでなければ一生後悔していたから。
本当は知っていた、俺は弱い。
本当は心が訴えていた、その弱さが悔しいと。
身も、心も、その弱さが憎たらしい。
「強く、なりてぇ…」
抱えた片膝に顔面を埋めて俺は呟いた。
拳は無意識に、爪が掌の肉に喰い込む程強く握られていた。
感じるはずの痛みすら、感情の嵐の中に消え去りゆく。
想いの結晶は、その嵩と硬度を増した。
この日、俺は生まれて初めて力を貪欲に欲したのだ。
暫くして、俺の目が覚めた事を病室へ入って来た家族が知り、即刻精密検査が行われた。
打撲傷や切り傷は治癒魔法で完治しており、異常はどこにも見られなかった。
それと、爺ちゃんは俺より1日早く意識が回復したらしい。
重症だったから、今は安静にしているらしい。
「501号室、501号室っと…あ、ここか」
爺ちゃんのいる病室へ向かった俺は、ドア隣のカード差込口にカードキーを差し込んだ。
その上に表示された青い半透明の縦長のキーボードに、暗証番号を打ち込む。
「ったく…妙にセキュリティーが厳しくねぇか…?」
俺の病室にはなかったし、他の病室でも見なかった。
これで部屋の中まで豪華だったら要人並みの待遇だ。
不思議に思う中、暗証番号が入力されたことによりドアが自動的に横へスライドした。
「よぉ爺ちゃん、生きて、る、か……?って、何やってんだアンタはッ!?」
部屋に入りその光景を見た瞬間、俺は驚愕した。
「998ッ…999ッ…はン、見りゃ、分かるじゃろ、鍛錬じゃ…1000ッ…」
聞きたいのはそう言う事ではく、病み上がりの老人が何で逆立ちしながら腕立て伏せしてんだ、って話だ。
「いかんな、やはり鈍とる。どれ、もう1セットしとくかの」
「なぁ、アンタ本当は軽傷者なんだろそうなんだろ…!?」
「ド阿呆、軽い怪我程度で全体の4分の1も血ぃ流れて堪るかってんだ。…って、おっと傷口開いちまった」
「だぁぁあッ!ナ、ナナ、ナースコール、ナースコール!!『はい、こちら…』すみませんッ、この糞爺に今すぐ頭に効く注射を―――じゃなくて、傷口開きました!『は、はいッ、至急駆けつけます!』」
それから15分後、爺ちゃんの傷口は治癒魔法を施され完全に塞がれた。
元々、魔法での治癒は今日の昼頃にするはずだったらしい。準備は万全だったので、俺が呼んだ後直ぐに治癒が行われ大事には至らなかった。
ちなみに、爺ちゃんはベッドの上に太い縄で縛り付けられた。
「ったく、人騒がせな…」
「うるせぇッ。文句なら、一気に魔法で傷塞ぐと体に負担が掛かる、だとか言いやがって直ぐ治さなかった医者に言えってんだ!」
「いや、老人にはキツイってんだから仕方ないだろ…?というか、キレてないで安静にしてろ。今度は脳の血管が裂けるぞ」
「儂ぁまだ60だッ!!」
いや、もう60歳なんだろ。
確かに、ここ100年で日本の平均寿命は延びたが、それもたかが知れている。
老化の遅らせる薬や、そういう魔法が出来た訳ではないのだ。
「んじゃ、俺戻るからな」
「待て」
俺が部屋を出ようとすると、爺ちゃんがそれを引き留めた。しかも、いつの間にか縄の拘束から抜け出していた。
そして。
「……えらく目付きが変わったじゃねぇか刃。ほれ、くれてやるっ」
爺ちゃんは、黒いカードとクシャクシャにした紙を俺に同時に投げ渡した。
「何だ、これ…?」
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