第42話林間合宿
「んじゃあレイン、いくぞ!そらッ」
「――――桐島流・十六夜」
満天の青空の下、俺が投げた薪を、レインは蒼い魔力を纏った木刀を駆使し空中で見事斬り裂いた。
見ての通り、使ったのは桐島流・十六夜だ。
「60点だな。今は木刀に魔力を纏わせてるからいいけど、その太刀筋じゃ、魔力なしでやった時にちゃんと斬れない」
まぁ筋力的にも無理だけど、と付け加えてやる。
現在俺達は、林間合宿の真っ最中である。
そして同時に、自由時間に剣の使い方を教えて欲しいと頼んで来たレインに、桐島流剣術を叩き込んでる最中でもある。
「はは、普通は木刀で木は斬れないんだけどね…」
俺達に呆れの表情を見せながら話し掛けて来たのはレーナだった。
そして隣には、結野晶花がいて、その仏頂面はそっぽを向いていた。
「アニキーッ!薪持って来たッス」
「おぉー、そこ置いといてくれ」
班で行動しなければならない訳ではなかったが、薪を待って来るよう頼んだ弟閃が戻って来たので、これで全員集合である。
「あのー、兄貴ぃ…。確かに昼飯ん時に薪は使うし、今のうちに斬っとくのは良いんスけど……」
「あー…流石にやり過ぎたな」
悔しいが中々覚えが良かったので、俺は先程から、レインに実際に物を斬らせて実践練習をさせていたのだ。
その物っていうのが薪だったのだが、地面には20本分以上の薪が転がっていた。
しかも、既に斬っているので、見た目の上では木の棒が100本以上あちこちに散らばっているように見えた。
「う、うーむ、他の班に配れば大丈夫かねぇ…」
「そッスね…。俺、今から配って来るッス」
「あ、おい!行くなら俺もっ、というか、他の奴らに喧嘩とか売んなよぉー!って、絶対聞こえてないな…」
脱兎の如く駆け出した弟閃を遠目に、俺は呟く。
「…不良が下っ端パシリに使ってる」
「誰が不良だ!俺も行くって言ったろうが」
「不良でしかないじゃない…」
晶花の発言に食って掛かる。師匠に言われ付いてきたものの、本当は林間合宿に行きたくはなかったのだろう、朝会った時からずっとこの調子だ。
まぁ、まだ怒りの矛先が俺に向いているだけマシではあるが…。
「じゃあ私達も手伝おうか」
そう言って、レーナは晶花の手を握って、半ば強引に自分の方へと引き寄せる。
「ね?晶花ちゃんっ」
「ぇ、ぁ…うん」
おぉ、さしもの晶花も同じ女子の誘いは無碍にはできなかったようだ。
刺々しい態度が一転、借りて来た猫のようになった。普段からそんなだったら、もう少し可愛げがあるのに。
まぁ、出会い方が酷かったり、恥ずかしい格好を見られた手前、俺には特に接しにくい気持ちがあるのは分からなくもない。
「人付き合いってこんな難しかったか?あぁ、難しかったですねそうでした…」
確か、レインにあった時もこんな思いをしたな。あの時は…色々あったからなぁ。
えぇい、どうすれば良いか分からんんッ!
俺は頭を抱えた。
「蝶……」
「え?」
晶花の声に、おもむろに顔を上げる。
すると、そこには空を悠然と羽ばたいている、100匹以上の蒼い蝶達がいた。
「それは正確じゃない。これは、俺が魔法で作った蝶だ」
俺の隣にレインが立って、全員に聞こえるように言った。
「あ、相変わらず」
「――――綺麗」
「え?」
晶花の鈴を転がしたような声が、俺の耳に小さく響いた。
そして無意識なのだろう、その口元は少しだけ、ほんの少しだけ緩んでいた。
「ちょっとは、機嫌も直ったのかね…」
確かに綺麗な光景で、幻想的とも言えるからな。
正直、ちょっとホッとした俺がいる。
俺はレインの肩に右手をポンッと置いて言った。
「ありがとなっ、相棒?」
その言葉に、見た目よりも随分気遣いの上手い相方は、
「…ただの魔法の練習だ」
「そうですかいっ。んじゃ勝手に勘違いしとくわ」
ったく、素直じゃない奴だよ、レインお前は。
どうも、なんとなく見たくなったアニメ・魔法少女ま●かマ●カを見ながら「キュ●べぇー、テ、テメェ!そんなのって、あんまりだよ」と、あの可愛らしいウサギっぽい皮を被った悪魔的なキャラにドン引きしてました、文月です。
知ってる読者様なら共感して頂けるはず、あれは酷いですホント。
うーむ、バトルがない…。
これ、最近の悩みです。
文月的にはもう我慢の限界ですし、読者の皆様も早くぅ!とお思いかもですが、今しばらくお待ちを。
溜めに溜めて、一気に凄いのを出します。敵キャラもぶっ飛んでます(補足しておきますと、脳内でアレコレ設定しまくった所為か、作者が一番気に入ってる敵キャラです)。
っと、大事なお知らせがまだでした。
本日は午後18時~19時までに、第一話の改訂版を投稿します。
プロローグの部分で、なんと言うか意味深で謎なシーンとなっておりますが、どうぞ見てやって下さい。
PVが伸びてましたら、文月は嬉しさのあまり家の中で踊ります。そして『家ん中で騒ぐなや!』と家族にシバかれます。もうタコ殴りです。あ、でも文月はタコが嫌いです(何を言っているのだろうか文月は…)。
ということで、それでは、またっ。




