第33話刃の日常と注目の転校生!
「おろ?剣哉、刃の奴はおらんのか?」
「ああ、父さん。刃ならもう学校に行ったよ」
「今日は随分と早いのぉ。まだ六時半じゃろ?」
「何か用事があるんじゃないか?まぁ、しばらく学校を休んでいたからね。元気に登校するに越したことはないよ」
「怪しいのぉ…。よし、後を着けてみるか」
「はは、さすがにそれは怒られるんじゃないかな?入学式の時もまた何かやらかしたって聞いたし…」
「あれか。儂に非はないぞ。じゃがそうじゃの、あんまりしつこいのは嫌われてしまうか」
「ははは……」
突然だが、俺、桐島刃の朝は早い。
早朝五時に起床し、道場にて朝稽古を爺ちゃんにつけてもらう。それが終わったら学校へ登校。
と言っても、現在は怪我の為、稽古はしばらく休みとなっている。
お陰で睡眠時間が二時間ほど伸びている状態だ。二度寝が出来るというのは実に素晴らしい!
…少し脱線したので話を戻そう。
その怪我と言うのが、十日前に起きたカンピオーネファミリーテロ事件での傷である。
あの熾烈な戦いで負った傷はまだ癒えていない。
いや、これでも十日という短い期間でかなり回復したのだ。
左足以外を粉砕骨折、幾つかの内臓損傷、加えてジンタ乱入時の顔面裂傷(当然、後であの馬鹿には鉄拳制裁を施してやったのだが…)。
普通は全治五ヶ月ヶ月以上かかる傷がこの短期間で七割ほど完治している。
最新医療と治癒術の成せる技と言えるだろう。
もっとも、未だに取れない左腕のギプス、顔にペタペタと貼られた大小様々な絆創膏は健在で、中々に重症感があるのは否めない。
怪我の酷い方から治してもらったので仕方なかったのだ。
そして、俺が今日、わざわざ早起きしたのには訳がある。
「えーっと……」
「よォ、アンタがあの桐島刃か?」
江戸川区のとある廃校舎。朝の日差しが少しばかり差し込む教室内で、俺は盛大に囲まれていた。早起きの理由はこれだ。
もちろん、美少女ハーレムなんて甘い展開は用意されていない訳で、俺を囲っているのは目付きも柄も悪そうな男ども。
…そう、私桐島刃は現在、いかつい格好の不良達に絡まれております。
金属バットに硬化魔法付与済みのメリケンサック。何処から盗んできたのか、柄の部分に魔法術式が堀混まれた魔導警棒までオシャレにコーデしちゃってる奴ら。
これが全部俺のためだと言うのだから、ある意味モテモテだしハーレムだ。
…全くもって嬉しくねぇよ、チクショーッ!
もう慣れているとはいえ、灰色の青春を送っていることに切なさを感じてしまうのは…仕方ない。
その中で真っ先に声を発した、オールバックに着崩した短ラン男に視線を向ける。
「まぁ、そうだが…」
「へぇ。意外と細いんだなぁ。髪にワックスも使ってねぇし、制服なんて改造どころか綺麗に着こなしてやがるたぁ」
いや何時の時代の不良だよ!と言いたくなる。
頬をひきつらせながら、俺は一歩後退る。
その行為が悪手だったと後悔したのは言うまでもない。怯んだと知れば、得てしてこういう輩は調子に乗り出すのだ。まったく、悲しい経験談だ。
「おいてめぇ、兄貴がちょっと引いてんじゃねぇか!今時そんなキャラ流行らねぇんだよ、アァッ!?ですよねっ、ア~ニキッ♪」
やめて、同意を求めないでッ。
言わなくていい事実を、隣でオラつきながら言い放った少年を無視する。
隣の、髪を金色に染めた彼は、同じ高校の同級生だ。入学式の時、爺ちゃんに胸ぐら掴まれていた奴だと言えば分かりやすいだろう。
今の発言、神経どころかプライドまで逆撫でするから本当に止めて欲しい。
というか、
「兄貴って…。恥ずかしいから止めてくんない?」
「そ、そんな…この弟閃大和、兄貴にふさわしい舎弟に成ります!だからお願いッス兄貴、兄貴を兄貴と呼ばせてください兄貴!」
「いや、何回兄貴って言えば気が済むんだよ」
「そりゃいくらでも!!」
親指を立てて、自信満々な笑みと共に犬歯をキラッと光らせる自称舎弟。
根は良い奴なんだが、変な所でこんな大ボケを余裕綽々とかます欠点がある。
流石、指定された席にも座らず、後ろで堂々と眠りこけてただけはあるな…。神経が図太いことこの上ない(まぁ、神経の図太さなら、知り合いの一人と一体には敵わないのだが)。
そして、だ。
「あのね君、今の状況分かってる?」
「当然ッス」
「ダメだこりゃ……」
普通に包囲されちゃってるじゃないですかぁ、危ないじゃないですかぁ、気づいてくださいよぉ。
額に手を当てた俺は天井を仰ぐ。
「な、何スか?俺、また何かやっちゃいましたか!?すんませんしたッ!」
「いやいやいやいや!土下座とかホント恥ずかしいから、TPO考えて!?」
もうホントやだこの子ッ!
慌てて弟閃を起こす俺だが、周りからの視線が痛い。即ち、何勝手に漫才やってんだコラァッ、という感じの目が。
「い、いやぁ、同級生が騒がせたなぁ…はは……」
「なぁに、良いってことよ。で、俺達の要件なんだが」
「ああ分かってる」
昨日の事だった。その日の傷の治療を終えた俺は、病院からの帰り道、突然こいつらに絡まれた。何でも用事があるのだとか。
理由はなんとなく分かったが、取り敢えず逃げた。
「悪かったな、今日にしてもらって。予定があったんだ」
当然嘘だ。どうせコイツらの事だ、あんな往来で喧嘩を始めようとでも思っていたのだろう。
隣の舎弟君の一件以来、俺は周りから不良認定されてしまった。その事に気付き、違うのだと説明しようとクラスの奴らにフレンドリーに話かけたりした。
が、逃げられるわ逃げられるわで、一向に不良のレッテルが剥がれることはなかった。
そんな俺が人目につくところで喧嘩なんてしたらもう弁解の余地がない。
逃げる口実として、予定があるからまた明日、と言って別のところでやることやろうというのが俺の魂胆だった。
まぁ、やるのはアイツらで、俺はひたすら飛んでくる攻撃を避けるのだから喧嘩ではない。
そう、断じて俺は不良じゃない!…ないんだ……!
「そんじゃ行きますか……」
何とも悲しい話だが、こういうのは慣れている。しばしば似たようなことがあったのだ。
全部避けて終わらせたが。
少しだけ身構えた俺。
………
「あの…何でそんな余裕そうな表情なの?俺守らないよ?」
「何言ってんスか?」
ポケットに手を突っ込んだままの弟閃君。それはこっちの台詞だけど、本当に守らないからな。ほら、ヤンキーどもが襲いかかって来て――――――
「「「「俺達を舎弟にしてください!!」」」」
「はぁッ!?」
「はぁ…仕っ方ねぇ、兄貴は寛大だからな。許可してやろうじゃねぇか」
その場で固まる俺をよそに自称舎弟君は勝手に話を進めている。
な、何故に!?
土下座している不良どもの、異常な行動の心理が分からない。
「いやぁ、流石兄貴ッスね♪」
「ど、どうなってんの?」
「っと、そろそろ行かないとまずいッスよ。学校に遅れちまいます」
出来ればすぐ説明がほしかったのだが、まぁいい。登校中に詳しい話を聞けば良いだけの話だ。それにしても、と、俺は眉間に人差し指を当てる。
あの非行少年達の言動は凄まじいものだった。だからこそ疑問が残る。この一ヶ月と少しで、一体何があったのだろうか、と。
自分の分かる範囲で記憶をたどってみる。
火ノ宮との激戦の後、俺とレインが身を潜めた時から順を追って思い出す。
囚われたままのレーナを助け出す、また、敵のテロ行為を阻止する。
当時の目的はそれだった。そして、俺達の生存がマフィアの連中に露見することは避けたかった。
当然、俺は自主休校を余儀なくされた訳だ。
だがここで、とてつもない不安が俺の脳裏を過った。
入学と同時に不良認定された人間が、一ヶ月も不登校になることが何を意味するのか?
答えは明白、俺は不良です、と公言しているようなものだった。
一応、俺が特魔部隊に所属していることは、学校が認知している。
しかし、生徒達はそれを知らない。
別に学校が生徒らに知らせる必要もなかったし、俺が不用意にクラスの奴らに近づくと逃げられるからだ。
長期間休む理由、これは親に頼んででっち上げることが可能だった。だがこのままだと、俺に貼られた不良のレッテルを剥がすことは、永遠に不可能になってしまう。
周りを見ていてある程度、周りがどんな反応をするのかを俺は知っていた。
恐らく担任は親についてもらった嘘を信じる。そして、クラスメイトらは不良だから遊んでるのかと勘違いすることだろう。
問題を放置しておくのは非常に不味かった。
だから打開策として、俺の舎弟を名乗る弟閃大和に全てを丸投げすることにしたのだ。
作戦は非常に簡単。弟閃に不良行為を止めてもらう、それだけだ。するとどうだろう?
日常的に俺の舎弟だなんだ言ってる奴が、急に大人しくなったのだから、周りはこう思うはずだ。
あれ?こいつ不良じゃないのか?
じゃあ桐島刃が不良ってことも怪しくなってくるなぁ……。と、芋づる式的に俺への誤った知識が改善されていくはず。悪くても俺の不良認定が不良疑惑程度になるだろう。
若干狡い手を使っている感があったが仕方なかった。何せ俺は外に出られなかったのだ。
そして時は戻って今日、と。
ふむ。俺は別段おかしなことはしていないはずだ。
ということは、
「なぁ、俺が頼んでたこと、やっといてくれたんだよな?」
「はい!そりゃあ兄貴の頼みとあらば、やらない俺じゃないッス」
学校への道すがら、弟閃に質問するとそんな答えが返ってきた。
いや、そうだよな。人を疑うなんて――――
「兄貴の言ったとおり、江戸川区の不良どもは全員、兄貴の舎弟にしました」
「はぁ!?いや、俺はお前に不良を―――」
「皆まで言わなくていいッスよ兄貴」
「ふぇ……?」
全部分かったみたいな顔をする弟閃に、俺は変な声をあげた。
「兄貴からの言伝は「不良を辞めてくれ」。つまり、「俺の舎弟なら、この地区の不良どもを全員手下に出来るだろ?出来ねぇってんなら、お前は俺の舎弟も不良も辞めちまえ!」ってことッスよね?」
「お、おい……」
「最初は意味不明っしたけど、そういえば兄貴が、ここの不良どもはうるさくて敵わない、って言ってたのを思い出してピンと来たんス!」
嬉々として喋る弟閃の舌の動きは止まらず、
「今日の奴らで最後だったんでギリギリ間に合ったんス。いやぁ、兄貴の期待に応えられ―――ぐえッ!」
「何してくれてんの!ねぇ、何してくれてんの!!」
俺がそのふざけた動きを全力で止めてやった。
校門前で知った驚愕の事実に、俺の顔は青くなる。俺に胸ぐらを力強く掴まれた弟閃の顔も、別の意味で青くなる。
アホな舎弟のアホな深読みが、俺の感じた違和感の原因だったのだ。
あまりのことで、自然と掴む力が強くなる。
クッソォ!この野郎、やりやがったなぁぁぁ!
「ちょッ、あ、兄貴…!じ、じぬッ……!」
「あっ、すまん」
白目を剥きながら掴まれていた弟閃に気づき、慌てて手を離した。
お陰で間に合わなくならずに済んだが、俺の方はどうやら手遅れだったらしい。
『見て!あの人ってたしか…』
『噂の不良だよね。朝から恐喝とかヤバ過ぎない…?』
『しっ!捲き込まれたらどうすんだよ。あの怪我、またやったんだろうぜ?』
『やったって、喧嘩?』
「ったりめぇだろ。不良…いや、ヤクザも泣いて謝るあの桐島だぞ?しかも聞いた話だと、下校途中の女子小学生に付きまとってたらしいぜ」
聞こえてくる同じ学校に通う生徒達からの酷い噂。
今朝不良達が言ってた、あの、ってそれのことなのか!?
そして、何故か知らぬ間に付け足されてる不名誉な設定よ、ちょっと待て。
あれは女の子がハンカチ落としたのを拾って届けてあげただけだ。
ああもう、どうすれば良いんだよ。不良な上にロリコンとか本当に救えない野郎じゃねぇか!
というか不味い。とにかく、今すぐ誤解を解かねば。
「あ、いや、俺は……!」
『嘘ッ!?こっち見た。ヤバい、ヤバいってぇ』
『お、おい、目を合わせるな!目ぇつけられたら金品捕られるどころじゃなくなるぞ!?』
「ちょッ、待ってく―――」
『『『た、助けてぇぇぇぇぇぇえ』』』
嘘…だろ………?いや、ないないないないない。本当、そんな噂ありませんから!だからお願いです。俺を見て、蜘蛛の子を散らすように逃げないでくれぇぇ!
…目の前の残酷な現実に、俺は顔を更に青くして道に座り込む。
これ以上は、耳に何も嫌な情報を入れたくない。既に俺の精神はズタズタだ。
「ん?どうしたんスか、こんな所で体育座りしながら耳塞いで?」
「何してるんだと思う……?」
涙声で俺は返す。すると、掌にポンッと握り拳を置いて弟閃は答えを返す。
「うーん、団子虫のモノマ―――」
「ちっげぇよ!!」
「えっ、違うんスか!?」
「逆にどうしてそう思ったのか聞きたいわ、完全にただのヤべぇ奴じゃねぇか!!」
喧嘩売ってるんだろ、そうなんだろ?よっしゃ買ってや―――
「やだなぁ兄貴。兄貴は元からスゲェヤバい人だったじゃないッスか」
「なッ……」
こいつまでそんな酷いことを言うのか?そんな、もう生きていけない…。
うぅ…ゴメン、俺、間違えてた。弟閃、お前は爺ちゃん達よりも神経が図太いよ。極太だよ。まさかこのタイミングで、ズタボロだった俺の心に止めを刺せる人間がいたとは……。
「あれ?なんか勘違いしてるような。今の、兄貴は凄く優しくてヤバいくらいに強いって意味だったんすけど…」
俺を変人扱いする舎弟が何か言ってるが知らない。とにかく俺は、嫌な現実から光の速さで逃げ出したくて堪らなかった。
もちろん、逃走虚しくすぐさま残酷な現実へと引き戻されたのだが。
登校する生徒達からの、変なものを見るような痛い視線を受けながら、俺は確信を持った。
…終わった、これは完全に終わっただろうと。
青春?ふっ、鼻で笑ってしまいますね。
青い春と書いて青春。でも、その割には俺の青春、灰色の春にしか見えないのは何故なんでしょう?
「もうやだ…。学校行きたくない……」
「急にどうしたんスか?まぁ、何があったか知らないッスけど元気だして下さい」
「誰のせいだと思ってんだ!誰のせいだと!!」
「?」
こんの野郎ッ、ぶっ飛ばしてやるぅ!
って落ち着け俺。今怒っても無意味、この怒りを静めるんだ。
深呼吸して、息を整える。
「さ、兄貴♪今日も楽しく学校ッスよ―――って、え?」
そして弟閃の胸ぐらを掴んで、
「ちったぁ反省しろやボケぇぇぇえ!!」
「ゲッ、ちょ、兄貴?う、嘘―――うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!」
どうやら俺は怒りを抑えきれなかったらしい。
俺は額にくっきりと青筋を浮かべながら、アホな舎弟をぶん投げたのだった。
―――――――――――――――
「まったく…俺の周りには、どうしてこうぶっ飛んだ人間が多いんだか………」
俺は普通に学校生活を送りたいだけなのに、それすら難しいだなんて最悪だ。
さっきだって、校門前で俺に対する他生徒達の印象の悪さを目の当たりにしたばかりである。
「はぁ…、今から教室に入ると思うと憂鬱だなぁ……」
「そうでもないッスよ?」
「良いよな、お前は気楽で」
「いや、違うッス」
「じゃあ何なんだよ?」
廊下を歩きながら、俺は弟閃に訝しげな表情を向ける。
すると弟閃は、あれ?知らなかったんスか?と尋ねてくる。
「自慢じゃないが、随分と長いこと休んでたんでな」
「それもそうッスね。ふふん♪実はなんとビックリ!今日うちの高校へ、転校生が来るらしいんス。それも二人!入るクラスどこなんスかね?」
「知らねぇよ…。けど、変だな?」
弟閃から出た単語に、俺は違和感を覚えた。
転校生自体はよくある話だが、よりにもよって夏休み前に何故?と頭の中に疑問符が浮かぶ。
転校するなら長期休暇の後にでもすれば良いだろうに。まぁ、気にしても仕方がないか。
「転校生ねぇ……。どんな奴らなんだろうな?」
「うーん、さすがにそれは俺にも分かんないッス」
「そうか」
短く返しながら俺は教室の扉を開ける。
が、想定通り教室内は静寂に包まれた。
俺が来る前まで、動物園のようにうるさかった場所が今やまるでお葬式。
口をぽかんと開けたままのクラスメイト達の視線は当然俺へ向いている。
やや興味が引かれたが、これではやはり転校生とも仲良く出来そうにはない。
俺の青春よ、さらばと言ったらさらばなのだ…。
俺は目が潤っとするのを堪えながら席に座った。俺の席は教室の窓側で、しかも一番後ろだ。
「はぁ、どうしたもんかなぁ……」
俺の悪評は今さらどうにかなるものでもないだろう。悲しい話である。
「いや、でも……」
考えてみれば、俺はクラスの奴らよりもレインやレーナとの方が仲が良いな。
そういえば、あの二人は今頃どうしているのだろうか?
えっと…たしか、レインは数日前に会ってそれきりだな。
そう、ちょうどテロ事件阻止の功労者として、五か国トップらに召集された次の日だったか。
重傷者の中でも特に怪我が酷かった俺は、召集に応じることができなかった。よってレインが賞状だけ渡しに来てくれたのだ。
レーナは事件収束後、特魔部隊の取調室にて身体面、精神面を考慮しながら事情聴取を受けていた。
もちろん、俺が運ばれた病院で怪我などの異常がないことを確認した後でだ。割りとすぐ退院したので、もう一週間くらい会っていない。
「兄貴、どうやら転校生が入るの、うちのクラスらしいッスよ?」
「えっ?あ、ああ…」
隣の弟閃に呼ばれて気づく。
考え事をしているうちに、入ってきた担任が、俺達の組に転校生が編入して来ることを告げていた。
周りはまだ見ぬ転校生の存在にざわめいていた。
男子か女子か、イケメンか美少女か、彼女彼氏はいるのか。
実に多彩で、年頃の高校生が考えそうな、期待が入り交じる空気が教室を支配する。
「はーい、二人とも入ってきて下さーい」
担任の声と共に、噂の転校生二人がその姿を表した。
一人は、男子にしては低身長。しかし特徴的なのは、その肩ほどまで伸ばした鮮やかな青い髪と青い瞳だ。クールな印象を与える少年である。
もう一人は、その少年よりもやや高めの身長に腰まで伸びた金髪と青い瞳の少女。
どちらも外国人、しかも整った顔つきで見覚えが…………
「転校生見覚えありすぎだろぉぉぉぉお!?」
「久し振り」
「あ、刃君♪久し振り!」
そう、俺の前に現れたのはレインとレーナだったのだ。
どうも、自分で読んでいて、あれ?次回予告で大体の内容がバレてるような……と思った作者です。今回は新章開幕のお話だったので良いのです!ラノベだったら新刊の冒頭ですからね(あっ、後で『盾の勇者の成り上がり』の新刊読みたいですね)。
次回予告でもあったように新展開を用意しております。
ということで、今後の展開に乞うご期待!




