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クリスタル・ワールド  作者: 文月 ヒロ
第1章破滅の少女
34/87

第24話最強というより最凶

 その男は俺たちを見て恐怖と驚きを隠せないでいた。まるで、死人を見た人間のように、眼帯で一つだけしかない目を大きく見開いて。俺としては奴の後ろにクリスタルモンスターが五匹いることに驚きだったが、まぁいい。

 確かに奴らにとって俺たちは死人のようなものだ。仕方がないと言えばそれまでだろう。だが、俺たちは作り出した隙を逃さなかった。


 俺は、いつもの如く体と武器の刀に魔力強化を施す。そして、敵である眼帯の男、確かベーニトと言われていた人間のいる方向へ、とてつもない勢いで駆けていく。

 ベーニトから見て少し前には二人の、恐らく特魔部隊の精鋭二人と思われる男女が首脳陣を庇うように立っていた。巨大な斧を持った細身だが筋肉質の大男と見目麗しい着物姿の女性。どちらも若い。

 さらにその後ろには首脳陣の家族と思われる人たち。

 これを取り囲んでいる武装した敵。

 当然、全員俺たち二人の登場に驚いていた。

 敵はやっと邪魔が入ってきたことを受け入れ、その武器、魔導式自動小銃を俺に向ける。

 飛弾で人的被害を出させないように、敵が撃ち始める前に俺は高く跳躍する。そして、次の瞬間、弾丸の嵐が襲いかかってきた。

 俺が空中では身動きは取れないと踏んで、敵の顔はすでに勝ったとでも言いたげな、ニヤついたものになっていた。

 しかし、


「なに!?」

「空中を跳ねて…」

「これは…魔道具!?」

「くそっ!なぜ当たらない!」


 一定の時間、足場を固める靴の魔道具を駆使し、敵の攻撃を連続回避。避けられない弾は、刀で弾く。

 それにしても、こいつらは分かってない。まぁ、こちらとしては助かるのだが。


「なぁ、いいのか?俺ばっかり相手してて。」

「なんだと?」

「そのまんまの意味だ。レイン!」

「ああ。水魔法 水縄(ウォーター・ロープ)

「しまっ……!」


 ここに乗り込んできたのは、俺とその相棒、レインだ。断じて一人などではない。レインの水魔法で武装した敵どもを拘束し無力化させる。

 その隙に、固めた空気の足場を強く蹴り、矢の如くベーニトへ向かっていく。


「はぁぁぁぁぁぁ!」

「く、来るなぁ!」


 襲いかかる俺に怯えた調子でベーニトはクリスタルモンスターをよこした。それも二匹だ。一匹は熊、もう一匹はアライグマ型だ。

 まずい、と俺は一瞬立ち止まりそうになる。

 しかし。


「「行け、早く!」」


 先ほどの精鋭二人が斧と幻覚術でクリスタルモンスター二匹を押さえてくれた。ありがたい。

 体勢を戻し、再び固めた空間を蹴ってベーニトへと飛ぶ。


「進め、刃。」

「ああ!」


 会場の人たちを守るように水の防御魔法を発動しながら、レインが残りのクリスタルモンスター三匹へ銃弾を撃つ。まったく、器用なことだうちの相棒は。

 上段の構えになり、刀をベーニトへ打ち込もうとする。

 しかし、たった一匹だけレインの弾が核を貫かなかった。確か、レインの奴が前に、三匹同時ともなると撃ち抜くのが難しいとか言っていた。クリスタルモンスターが俺の道を阻む。

 くっ、諦めない。あと少しなんだ。あと少しで、レーナへの道が開けるんだ。


 俺は化け物の間を掻い潜ろうとする。だが、その一瞬、体がゾクリとした。

 死の予感とでも言うべきその感覚が俺のすべてを支配する。

 次の瞬間に俺は死ぬ。確信する俺。化け物の後ろから僅かに漏れる赤黒い光、ベーニトが魔法札から発したそれが俺を確信へと至らせたのだ。

 回避など間に合わなかった。避けろ、と斧持ちの精鋭が言うが、知っている。


「こんの!え?な、なんだこれ…!刀が!」 


 赤黒い光線のような光がクリスタルモンスターを貫き、俺に襲いかかる。

 なんとか刀を盾にし、身を守った俺は安堵した。しかし、なんと光を受け止めた刀の刀身が半分、かき消されてしまった。

 そして、貫ぬかれたクリスタルモンスターが粉々に砕け散って光とともに消えていったのを確認した俺は後ろへバックステップで下がる。敵はまだ、さっきの札を持っていた。このまま進めば確実に死ぬ。


 なんだ?何が起きた?状況を整理しろ。

 下がりながら俺は考える。

 破壊。この訳のわからない力の説明となるキーワード。そう、破壊だ。破壊の力…レーナの力だ。


「レイン、あれはたぶん…」

「レーナの力…か?」

「だろうな。」


 後ろへ下がった俺は冷や汗とともにレインと顔を見合せ、仮説へと至る。


「なるほどな。これは確かにやばい。レイン、お前の防御壁なら…」

「無理に決まってる。」

「ですよねー…」


 当たり前なことを聞いて、当たり前な返答を返されてしまった。

 確かに無理だ。あの硬い化け物でも飽きたらず、俺の刀の刀身までも破壊したのだから。

 だがどうする?これを迂闊にベーニトに撃たせるのは危険過ぎる。

 思考を巡らせ、状況の打開策を見つけようとする。

 しかし、敵は待ってはくれなかった。


「くそ、くそぉぉぉ!やってくれたなガキどもぉ!もういい、全員ぶっ殺す。ぶっ殺してやる!」


 怒りに顔を赤くし、鬼のような形相で先ほどの魔法札を5枚取り出す。そして、そのすべてを解放させようとするベーニト。

 まずい。そう瞬時に感じ取った俺とレインは、揃ってベニートに急接近を試みる。盾にならなければ。


「く、血迷いやがって!」

「ダメだ、魔力弾がかき消される。」


 接近の途中、レインが魔力銃でベーニトの手元の魔法札を撃つが、赤黒い光が周りにあるせいでかき消される。発動もしていないのにレインの弾丸を?と思うがそうも言っていられない。

 敵は今にも魔法を放とうとしているのだから。ここまでが5秒にも満たない出来事だというのが信じられない。それほどに感覚が研ぎ澄まされているということだろう。

 駆けながら会場のテーブル二つを上空に蹴りあげる。


「いくぞレイン、とにかく撃ちまくれ!」

「ああ。」


 蹴りあげたテーブルと同じ高さまで俺たちは跳躍。俺はテーブルをベーニトへ連続で蹴り飛ばし、出来るだけ注意をこちらに向けさせる。首脳たちに被害が出ないようにするためだ。レインは形状をアサルトライフルへと変えて構える。それに合わせて俺も「月光」を放つ準備に入る。精鋭二人も後方で各々魔法を唱えている。

 ベーニトは向こうの首脳たちへは意識は向けていない様子。

 ここを耐えきらなければならないが、果たしてあれをどうにかできるのだろうか。

 赤黒い光はベーニトの元へと集結し、大きな光の塊となっていた。


 ひひっ、と不気味な声で笑うベーニトは、ついに俺たちへ魔法を放つ。


「死ね、死ね、死ね死ね死ね死ね死ね死ね!」

「こんなところで死ねるかよ!」


 元の長さの半分ほどの刀の先端に光の魔力を集めながら俺は自分たちの目的を思い返す。

 あの日…レーナの手を掴み損ねた日、俺たちは決めた。必ず俺たちの仲間を助け出すと。

 だからこんな序盤で死んでなんていられない。

 耐えて耐えて、耐えきってやる!

 赤黒い光が俺たちの目の前まで迫ってきていた。

 死の恐怖を押さえ込みながら魔法を放とうと動く。


 ミシッ


 そう、ミシッと。…ミシッと? 

 ふと嫌な音を感じとり天井を見上げる。


「「―――――――!」」

「何だ?何か上から聞こえ…て…へ?う、う、嘘だ―――――」

「何で天井が――――――」

「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 突如現れた声と共に視界が黒く塗り潰される。続いて体に響く痛みととてつもない重み。迫っていた光?そんなもの俺とレインと一緒に消えたに決まってる。


 俺とレインはそれどころではなかったが、恐らく会場には、大きな地響きが聞こえたことだろう。

 上から声がする。それも知り合いの。その声に俺の額に青筋がピクピクッと浮かんでくる。


「だーーはっはっはっはっはっ!いやぁ見事な着地やったなー。さっすが俺。こらぁ、オリンピックも夢ちゃうな。お?ぎょーさん敵さんがおるわ。よっしゃかかってこいや!このジンタ様が相手して――――」

「「上等だこらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

「ふべげほらっ!」


 体にまとわりつく重みなど、猛る怒りで吹き飛ばし、俺とレインのダブルアッパーが炸裂する。そうだ。このヘンテコロボット、ジンタの顎に。

 金属音とともに吹き飛んだジンタは頭から地面に落下。

 だが、すぐにピョンっと跳ね起き、減らず口を叩きだす。


「何してくれとんねん我ぇ!」

「「それはこっちの台詞だボケぇ!!」」

「ぐべっ、おほっ、だっ、ち、ちょっやめ…」

「誰がやめるか、このヘンテコロボットが!」

「やっぱりこいつは、黒田に治してもらうべき。」

「ああレイン、俺も同意だ。」


 なめたことを言ってるこの馬鹿に、ダブルドロップキックのあとに蹴りの連打を喰らわせる。

 チックショウ、この野郎!こともあろうに会場の天井をぶち壊して入って来やがった。もちろん、大量の瓦礫が破壊の効力を俺たちの代わりに受けて、守ってくれた訳だが知らない。残った瓦礫はどうなった?俺とレインに降りかかって生き埋めだ。本当に死ぬかと思ったわ!


「ちょ、ホンマ悪かったって、な?この通りや堪忍したってぇな。それに自分らも何かよう分からん力からノーダメージで生き残れた訳やし…」

「アホか!死にかけたわ!それに見ろ、お前のせいでレインの施した捕縛が解けただろうが!」

「いや、そこはしゃあないって言うか?俺も来たし?まぁ大丈夫や、任せとき。ふべっ!」

「お前に任せたらこうなったんだよ(怒)!」

「百発撃たせろ(怒)。」

「す、すんませんしたっ!」


 はぁ、どうしてこうなる?今の感じはかなり真面目なシーンだったろ。

 ああ、頭が痛い。レインの魔法が解けたせいで、掴まえた敵が武器を拾い、起き上がってきた。

 だが、悲劇はそれだけではすまなかった。突然、悪寒が俺の背筋を通りすぎた。

 その理由を俺は知っている。

 聞き慣れた、爺臭い話し方のその声が俺の真後ろから顔を出したからだ。

 ギギギッと壊れたロボットのように後ろを振り向くと、そこには和服に身を包んだ老人の姿。しかし、老人にしては背筋がピーンっと伸び、生気溢れる目をしている。細い筋肉質な腕を組み、仁王立ちをしながらその目の持ち主は俺に話しかける。


「久しぶりじゃのぉ、刃。」

「じ、爺ちゃん。」


 俺は今すぐここから逃げ出したくなった。

 なぜここに爺ちゃんがいるんだ!?俺は爺ちゃんには、何にも情報を渡していない。

 いや、待てよ?ジンタと共に爺ちゃんは現れた。ということは、ジンタが情報を…。

 チラッと後ろの容疑者ロボットに目をやる。すると、目が合うと瞬時にそっぽ向いて口笛を吹く。ロボットなので機能として色んな声や音が出せるものを使ってやっているのだろう。

 だが、これで確定した。拳を握り怒りを堪えながら犯人ロボットに確認を取る。


「ジ・ン・タ、お前。裏切ったな?」

「ち、ちゃうねん!これには深い深い、もう海なんか目やないくらい深い訳があってな?」

「言ってみろ。北条政子もビックリな超演説ができたら許してやろうじゃないか!」

「ホンマか?いやぁ実はな、俺の大好きなアイドルのライブチケットをこの爺さんがくれたんや。ぐひひっ。もうあん時の感動言うたら山よりも―――――――」

「砂場の山より低くて道端の水溜まりよりも浅いじゃねぇか!!」


 嘘だろ?そんなしょうもない理由で裏切るなんていくら何でも薄情過ぎるだろ!

 この一ヶ月、家には帰っていない。支部の地下訓練所で朝から晩まで修行の毎日だった。家族には心配されたが、爺ちゃんが修行相手として泊まり込みでいてくれたから問題はなかった。

 一応、爺ちゃんに何で学校にも行かず修行してるのかは言ってなかった。

 何でって?規格外の行動ばかりで、言っちゃ悪いがレーナ奪還の妨げになるからだ。実際瓦礫の下敷きになって埋もれたが、そんなのは序の口だ。


「はぁ、まったく良い友人を持ったというのに何が不満なんじゃ?それにの、剣士たるは常に冷静沈着でないといかん。」

「そやそや!この爺さんの言う通りやで?ホンマ、そんなやから学校で不りょ――――」

「なるほど、なるほど。アイドルのライブチケットかぁ。それなら仕方ない、許すよ。」

「お、おう。仲直りやな、せやけど首に腕掛けて力加えんのやめへん?」

「やだなぁ、スキンシップのひとつじゃないか。(おいジンタ、どうやって知ったかは後で聞くとして、次俺のプライベートに触れたらそのチケット破るからな?(小声))」

「は、はい…。」

「「…?」」


 あ、危なかった。あと少しで両親にも話してない学校での俺の良からぬ噂がレインと爺ちゃんにばれるところだった。

 というかなぜこのヘンテコロボットは俺の秘密を知っている?後で説教だな。


 と、本気でジンタへの説教内容を考えている最中、俺に声がかけられる。爺ちゃんだった。


「まったく、世話かけおって馬鹿孫が。言えば儂がマフィアの百や二百くらいしめたったのに。」

「ひ、百や二百…。」


 この人なら本当にやりそうで怖い。

 でも、まぁ。


「ありがとな、爺ちゃん。気持ちだけでうれしいよ。」

「そうかそうか。そんじゃ人肌脱ぐとするかの。」

「お、お手柔らかに…。」


 取り敢えず、爺ちゃんとジンタの登場で難を逃れた。まぁ、ボロボロではあるが。

 それはさておき、二人が暴走することは無さそうだ。いや、まだ気は抜けない。迅速に奴らを捉え、この二人には帰ってもらおう。そうでないと何が起こるか分からない。


「よ、よし。いくぞ、レイン。」

「ああ。」

「待て。」

「な、何?爺ちゃん。」

「ほれ、刀じゃ。大事に使え。」

「これって…」


 恐る恐る聞くと、予想を裏切る返答。爺ちゃんから渡された刀。それは、うちの家宝だった 。


「いいのか、爺ちゃん?」

「まぁ家宝じゃが、使わんと刀が可哀想じゃろ?」

「爺ちゃんが良いんなら使わせてもらうけど…本当に良いのか?」

「構わん。存分に使え。」

「ああ、分かった。」


 珍しくまともなことをしてくれる。

 案外爺ちゃんも良いところがあるのかもしれない。


「…ふざけんな、ふざけんなぁ!何で誰も死んでねぇんだよ。くそ、てめえら二人は二回目だってのによ!」


 少しだけ、うちの祖父を見直していたところベーニトが叫ぶ。


「少なくとも、一回目は何でか知らないな。火加減下手くそなお前の部下にでも聞けよ。」

「火ノ宮ぁ、あの野郎…」


 まったくだな。俺も腹が立つよ。

 何せ火ノ宮錬魔。あの馬鹿野郎はレーナを助けたかったらしく、俺たちを生かした。だが…だがだ!もっと優しく殺したことにしろってんだ!

 お蔭で俺はあの後、一週間眠りっぱなしだった。


 あいつには今度軽く復讐してやろう。

 目覚めた日、拳を握り俺はそう誓ったのだった。


「はぁ…、もっと静かに出来んのかの?」

「ホンマやなぁ。ピーピー、ピーピーうるさて敵わんわ。」


 お?本当にこの二人、どうしたのだろうか。なぜか今日に限ってまともなことを言う。もちろん、さっきの負の言動は忘れない。だがしかし、ここまであの二人が落ち着いているのは珍しい。ジンタに関してはさっきのことを少しだけ許してやろうと思うくらいだ。

 そんな、おっ?以外とこの二人まともなのかな、と勘違いしていた俺がいた。


「黙れ!貧弱下等なゴミが!変態ロボットに糞爺(くそじじい)、そもそもてめぇらが割り込まなきゃなぁ―――」


 プツッ


 ベーニトの罵倒の最中、俺は絶賛罵声浴びまくりな二人からそんな音を聴いた。

 どうやら、俺が間違っていたようだ。彼らは平常運転。ほら、鬼より鬼の形相で眼帯男を睨み付けている。確かに、この二人を下等とか言ってはいけない。

 確信した、これはまずい。止めなければ。

 だが、もう何もかもが遅かった。下等、ゴミ、そんな言葉にいちいち反応する彼らは怒り狂う。


「「人を変人扱いするとは何事じゃぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁ!」」

「怒るとこそこーーーー!?」


 思わず突っ込んでしまった。

 どうやら二人は未だに事実を受け入れていなかったようだ。

 いや、だからってキレることはないだろう。


「もう許さん。自分、覚悟できとんやろな?」

「出来とらんかっても辿る末路は同じじゃがな。」


 ジンタと爺ちゃんから、ピリピリと嫌な感じを感じ取る。

 近寄ってきた斧持ちの精鋭の人が、俺に「特魔部隊最強と言われていた桐島剣真と何かよく分からんロボットの最強タッグか、見物だな。」と囁く。なるほど、爺ちゃんは中々有名のようだ。

 だが、俺はそれに反論する。


「あの二人は()()じゃないです。」

「え?」

()()じゃないんですよ。」


 ジンタを中心に渦巻く魔力。

 爺ちゃんは刀を抜き、構えを取る。

 俺は…うん、諦めよう。悪いのあいつらだし。


「知っとるか?魔法言うんは、魔力と想像力さえあれば誰でも出来る。人間の場合、術式と詠唱使ってへんとイメージしっかりしてこやんけど。俺はロボットや、魔力だけあったら出来んねん。」

「は?ロボットに魔力なんて――」

「あるで?この大気中の魔力が全部俺のや。使えるだけ使ったって自分らまとめて消炭にしたるわ!」


 ジンタの手のひらに大量の魔力が集まる。


「ひっ、や、止め―――」


 止めろ。その声は届かず暴君の無慈悲な裁きが下される。


業火(インフェルノ)爆裂(バースト)


 凝縮された爆炎が一気に放たれ、敵どもを呑み込む。もちろん、ベーニトだって同じだった。

 鬼だ、なんて言わない。今、会場の中心では敵が首脳やその家族たちを取り囲んでいる。それを炎は両方から、また、前方のベーニトをも激しく包み込んだ訳だが、絶対そんなことは言わない。

 むしろ、鬼なのはこれからなのだから。


 魔法でできた炎は敵を襲った後一瞬で消えたが、瞬間的に焼かれ吹き飛んだ敵はベーニトと同じところでゴミの山のように積まれていた。

 しかし、それで良しとしない我が祖父。

 あれ?悪いことをしているのは奴らなのに何故か謝罪の念が強くなる。

 奴らの元へ弾丸のように急接近、それと同時に放たれる剣戟の嵐。

 すでにろくに動けもしないほどに焼かれた敵どもは、悲鳴を上げながら全員意識を失った。

 長くなったが分かっただろう、彼らは()()などではない。そんな甘ったるい異名の持ち主たちではない。


「あの二人は、最強と言うよりもむしろ()()なんです。ほんと、すんません。」


 何で謝ってるんだろう、俺。

どうでしたか?話の後半は作者も何でこうなったんだろう、なんて思ったのですがこれはこれで面白いかなと投稿しました。

面白いと思って頂けたなら何よりです。

さて、そんな作者はこれから三月までクリスタルワールドの投稿が出来なくなりました。私事で申し訳ありません。少々用事が…。

この作品を毎週楽しみにしてくれていた読者様には心苦しい限りです。

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