表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリスタル・ワールド  作者: 文月 ヒロ
第1章破滅の少女
3/87

第2話日常の崩壊(2)

【改訂済み】






「はぁ…暇だ……」


 玄関の扉に持たれ掛かった俺は、青空をぼんやり見つめながら呟いた。

 あれから10分程経過したのだが、爺ちゃんは一向に来る気配がない。


 時間もないことだし、勝手に出発してもいいだろうか。仕舞いにはそんなことを考え出す俺だった。


 手持ち無沙汰(ぶさた)に耐えきれず、俺は携帯を弄り始めた。


「ん?」


 すると、今朝のニュースが入ってきた。

 いつもなら読みもしないのだが、少し気になる単語が一瞬目に入り、その内容を熟読する。

 内容はこうだった。


 今朝未明、千代田第2区でクリスタルモンスターが出現した。現れた3体の内の2体は討伐されたようだったが、どうにも1体を取り逃がしたらしく、そいつが今も周辺にいるらしい。


「また出たのか…」


 クリスタルモンスター。

 世界の変質の後に現れ出した怪物だ。

 その姿は虫、動物の姿を模した巨大な紫色の謎の結晶体。

 その凶暴さは果てしない。


 人を襲い、思いのままに蹂躙するその様は―――まさに怪物だ。


 千代田第2区と言えば、江戸川第1区、2区、3区からは少し遠いものの、ここ4区に面している。しかも、あの化物を取り逃がした現場に近い。


「まぁ、大丈夫だろっ」


 東京の中で出現した為に大きく報じられているだけで、日本中では毎日のように奴等は姿を現しているのだ。

 まぁ、近くだから少し心配だが……どうせ、()()()()()()()()()()()()()


「ってか、それよりもまだ来ねぇのかよ爺ちゃん…」




 ◆◇◆◇◆



 ――――水都台高校、体育館内の舞台近くに俺は座っていた。現在は入学式の最中で、俺は校長のそれはそれは有難い御言葉を右から左に流していた。


 あれから更に5分待たされ、学校へギリギリの到着だった。車は爺ちゃんの運転だったが、荒い荒い…。

 家の祖父は、何故か手動の自動車なんて時代遅れの()()を持っている。自動車ならば10年前に完全自動運転が一般化されたというのに、だ。

 運転してる所なんて見たことなかったが、どこで練習していたのか大分手慣れているようだった。


 だったら安全運転してくれよ、って話だ。そう言ったら、『遅れて良かったんならそうしたが?』と返され、それ以上反発なんて出来なかった俺である。…ホント、放って行けば良かった。


「ま、間に合っから良しとするけども…」


 それよりも、俺には警戒すべき事があったのだ。多少の不幸など気にもならない程の、である。もっとも、悲しい事に原因となる人物は同じであるが……。


 顔は前を向いたまま、意識だけを後ろに向けた。いや、正確には後ろにいるであろう家の祖父に、と言うべきか…。

 あの人はド直球過ぎるのだ。

 裏表がない、と言えば聞こえは良いし実際間違ってはいない。

 が、その所為で思ったことをズバズバ言うし、後先考えないで行動する。つまり、空気が読めない。思い立ったが直ぐ行動、が爺ちゃんの座右の銘なのである。


 よって、爺ちゃんは他方で色々な問題を起こしている。ちなみに、皺寄せは全部俺に来ていて、後処理は勿論、俺の悪い噂も広まっているのだ。


 お陰で、友達と呼べる友達もほとんどいない。


 そう、俺は俺の薔薇色の高校生活の為、爺ちゃんに全力の警戒をしているのである。


「ま、大丈夫だよな?」


 爺ちゃんに問題を起こさないよう釘を刺すと『はんッ、んなこと心配せんでもするかってぇの』と、返ってきた。


 本当だよな、4月1日(エイプリルフール)だからって嘘付いてないよな?と、俺はその言葉に途轍もない引っ掛かりを覚えた。


 が、今の所、何か騒ぎを起こしてはいない様だし、あながちあの言葉も間違ってはなさそ――――。


「い~ぃ度胸じゃあッ!表出ろぃ!!」

「す、すんませんしたァァァァ!!!」




「嘘付きぃぃぃッ………………」


 俺は(うな)り声で言った。周りに聞こえないよう声を殺しつつ、精一杯の怒りを込めて。


 後方から聞こえてきた声は爺ちゃんと、あと多分この式出席している顔も知らない男子生徒1人のもの。周りが静まり返る。


 軽く嘆きたくなった。

 薔薇色の高校生活は灰色どころか黒色確定である。


 後ろを見る気にもなれない俺は現実逃避に走る。昼飯を何にするかだとか、明日も朝稽古サボろうだとか…。そんな風に。




 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




『良いの?―――気付けるのは君だけなのに』




「…え?」


 不意に、耳元で、誰かが囁いた。

 その声に、その言葉に、俺は反射的に振り返った。


「えっと、何か…?」

「え?」


 しかし、その先には席に座った女子生徒のキョトンとした顔1つ。声も違う。

 空耳だったのかと再び前を向こうとして。


 ―――ガシャンッ。


 その途中、体育館の壁の向こう側から何かが聞こえた。同時に起こった軽い地響き。


 俺の首と視線はその方角に釘付けになった。


 何か、嫌な予感がした。


 理由は分からない。



 ただ、その予感は的中し。




【時刻・西暦2127年4月1日午前9時26分。場所・東京都江戸川第4区、水都台高校体育館】




「………………は?」
































 ―――クリスタルモンスターは、壁を吹き飛ばし現れた。


予定より早く投稿出来ました。

予定より短い内容になりましたので…。

てへ、です(男がすると気持ち悪い?よく言われます(・ωく))。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




・面白かったってばよッ!


・やるなーお前、燃(萌)えてきたぞ!


・べ、別にアンタの作品がちょっと良い感じだって思っただけなんだから!勘違いしないでよね!




等々、思われた読者様は下の




★★★★★




となっている所を、タップもしくはクリックして評価してやって下さい。




また、感想もドシドシお持ちしております。


ブックマークも是非是非♪




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ