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Lucy, close to you  作者: 蓼丸エコウ
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「皆さんこんばんは。カタロエです」

 目の前のパソコンにはゲーム画面が映し出されている。そのゲームの後ろでは、録画ソフトがその画面を録画し続けていた。それと同時に、マイクが僕の声を拾って、録音していく。

 ゲームプレイを録画するとき、第一声はいつもこの文句と決まっている。

 必ず「こんばんは」で始めるのは、動画を録画をするのがいつもこの時間帯になるから。動画をサイトに上げるのも大抵そうなるし、視聴者が動画を見る時間帯も多くはこのくらいだろう。

 今は夜。住んでいるのが閑静な住宅街というのもあって、周囲からはほとんど音がしない。

 部屋の中は真っ暗だ。ゲームを録画しながらプレイするときは、いつも電気を消している。その上両耳はヘッドフォンでふさがっているので、この世界に僕とディスプレイしか存在しないかのような感覚になる。けれどこうして録画しながら話していると、何だか画面の向こうに誰かがいて、一緒にゲーム画面を見ているような気分になるから不思議だ。

「今回は短編をやっていきたいと思います。普通にプレイすれば十五分くらいだそうなので、動画の尺自体も大体そのくらいになるんじゃないかと思うのですが。今回も完全に初見ですね。ちなみにPCゲームです。では早速やっていきましょう」

 そう言ってスタート画面でニューゲームを選択する。

 ロード時間の間に操作説明が流れたので、それを簡単に読み上げて確認する。そうしているとゲーム本編が始まった。

 マップは暗い森の中。操作するキャラクターは明かりらしき物を持っていない。そういう視界の悪い中、敵を回避しながら決められたアイテムを全て集めればクリアだ。ストーリーらしいストーリーがあるわけではない。短いフリーゲームだから当然だろう。

 森の中なので、建物の中や街中を探索するタイプのゲームよりはマップを把握しにくい。けれど歩いた時間や道の形、方向などを記憶していければ道を覚えるのは可能だ。

 ゲームを始めて数分で、敵が現れ始めた。出現はランダムらしいが、時間経過で消えることが分かると、後は簡単だった。出現したら引き離して待つだけだからだ。出現時間は大体五秒くらい。消えたら探索再開だ。

 アイテムも順調に集まってきて、敵にもなかなかつかまらない。動画としては緊張感が薄いだろう。淡々とした作業ゲームになってきた感が否めない。これでは敵などいないも同然だ。

 そんな調子だから、これといって怖い目に遭うわけでもなく、危険な瞬間にひやっとするのでもなく、最初から今まで安定してしまっている。こういう場合、こちらのトークだけではおもしろくならないので、編集段階で字幕や効果音をつけて動画を化粧する必要がある。喋りを入れつつプレイを続けながらも、ここならこういう編集を入れようとか、今のタイミングであの音を入れようとか、頭の中で編集の準備をする。

 そうするうち、結局敵につかまることのないままクリアしてしまった。夜だった森が明るくなり、朝日が昇ってくる。

「うん。敵はいなかった」

 思わず、冗談が口をついて出た。

「あ、いや、いましたけど完全に空気でしたね。ちょっと、ちょっともう一回やりますか。つかまったらどうなるんだろう」

 二週目という概念はないらしく、ゲームを再び遊ぶ場合はもう一度ニューゲームからだ。今度は敵が出現したら、逃げずに自分から突っ込んでみた。

 画面が暗転して、表示されたのは『you are dead』の文字だけ。素っ気ないゲームオーバー画面だった。

「えっ? これだけ? どうやって死んだんだろう。死んだなら死んだなりのエフェクトがほしいですよね。一体何をされてしまったのだろう、あいつに」

 ゲームオーバー画面を見たので、大体ゲームに含まれている要素は見ただろう。

 コンティニューは選ばずにスタート画面に戻って、最後の語りを始める。

「何だかすみません。危なげもなく怖さもなく淡々と終わってしまいました。最後も何だかね。あっさりと……。ただそのー、敵が現れたときの効果音とか、音響にはすごくこだわって作ってあるゲームでしたね。フリーゲームでこのクオリティ。うん、良かったと思います。確かに、敵が初めて出たときにはちょっとぞわっとした人も結構いたんじゃないでしょうか。このソフトは無料でダウンロードできますので、皆さんもどうぞ挑戦してみてください。で、えーと次の予定なんですけど、購入したと呟いたらやってくれという声が多かったので、『Lucy, close(クロース) to you』というゲームをやってみようかなと思います。完全に初見の予定なので、どうぞよかったら見てください。では、カタロエでした。どうもありがとうございました」

 そしてちらりと時計を見たら、プレイ時間は十三分程度だった。

「十五分もかかってないよ。サクサクやりすぎた」

 思わず独り言を呟いてしまう。この声もマイクはばっちり拾っている。まあこういうおまけのようなつぶやきを喜ぶ人もいるので、録音されてしまっても別にいい。編集でも切らない予定だ。

 全て撮り終え、録画を停止する。

 これから編集作業だ。それが終わったらエンコードを行って、動画サイトにアップロードする。動画の公開は明日か明後日くらいになるだろう。

 編集のために部屋の電気をつけ、僕は再び椅子に腰を下ろした。



 僕はゲーム実況者だ。

 喋りながらゲームをプレイし、それを動画にして公開している人のことを、そう言う。

 僕の場合、主にホラーゲームを専門にプレイしている。

 プレイスタイルは、「淡々と」「サクサクと」「冷静に」。地理を把握すること(マッピング)が得意なので、その空間把握能力を駆使して道に迷わずプレイできるのが売りだ。

 活動名はカタロエ。

 本名が片井(かたい)宏衛(ひろえ)だから、縮めてカタロエ。

 本名からユーザー名をつけるのはよくないような気もするのだが、まさか「カタロエ」から「片井宏衛」にたどり着ける人がいるとも思えないので、ストレートに命名した。

 最初にゲーム実況を始めたのは高校生の頃だ。どうしてかと言えば非常に些細な理由なのだが、新調したパソコンに、キャプチャボードが付いているのを偶然発見したからだった。もしキャプチャボードがなかったら、わざわざゲーム実況の動画を作ろうなんていう気にはならなかっただろう。キャプチャボードはPCゲームの時には不要なものだが、テレビゲームをパソコンでプレイするには必要なものだ。普通に買えばそれなりの金額がかかる。

 一般に「ゲーム実況はお金がかかる」と言われる理由の一つが、キャプチャボードの購入費用だろう。高いものは高いのだ。

 僕の場合、実況動画を作成するために用意したものはピンマイクだけ。録画も編集もエンコードも、フリーソフトを拾ってきてそれを使っている。ほぼお金はかかっていないようなものだ。

 始めのうちはただのプレイ日記みたいなものだったのが、解説動画のようになったり、初見で攻略に挑戦する動画になったりしてくると、だんだん人気が出始めた。現在では十万人を超えるチャンネル登録者がいる。動画サイトの片隅で細々とやっていこうと思っていた僕としては、まさかここまで視聴者が増えるとは思っていなかった。

 主な活動場所はYouTube。あまり色々な場所で動画を管理していくのは大変なので、そこでしか活動していない。

 YouTubeでは広告をつけて収益を得ることが出来る。僕はそれをバイト代がわりにしていた。これだけ見てくれる人がいるからこそ出来ることだ。まあ、そんなに大した金額にはならないのだけれど。



 そんな感じにゲーム実況者をしているわけだけれど、もちろんそれだけをしているわけではない。ゲーム実況は趣味の内だ。

 本業は大学生。専門は心理学。

 昼間は大学に行き、夜は動画を撮ったりゲームをしたりしている。そんな生活だ。

 案外充実していると思う。

 僕は自分の現状には、おおむね満足していた。



「雨か……」

 大学の校舎から出て、僕は空を見上げた。

 雨が降っている。六月だから、季節らしい天気といえばそうだろう。

 折りたたみ傘を開いて、僕は歩き出した。今日は実況を撮ろうと思っていたので、雨の音をマイクが拾わないか少し心配になった。窓を閉め切っていても、時々雨音が入ってしまうことがあるのだ。ゲーム音と聞き分けが難しいことも多々あるので、入ってしまうとややこしい。

 特に僕が今回プレイしようと思っているゲームは、舞台となっている土地が雨期に入っているという設定らしい。その設定がどういうふうにゲームに影響するのか分からないけれど、ゲーム内で雨が降っていないのに雨音がすると混乱するだろう。

 通学路を歩いて自宅まで向かう。途中まで同じ大学の学生もちらほらいたのだが、だんだん離れてまばらになっていく。最終的には一人になった。

 僕の他に人通りのない街で、雨の降る音が耳に心地いい。雨脚はそんなに激しくはなく、ちょうどいいくらい。実はこのくらいの降り方が、マイクが拾う雨音のボーダーラインになる。

 現実の音とゲームの音とが混じり合うちょうど中間。そんな雨だった。

 僕が住んでいるのは大学から歩いて十分くらいの学生用マンション。五階建てで、そこの四階に僕の部屋がある。四〇三号室だ。

 エレベーターで四階まで上がり、部屋の鍵を開ける。途中誰ともすれ違わなかった。

 故郷を遠く離れて東京で一人暮らしを始めて二年目。この生活に慣れたような、まだ不慣れなような、不思議な感じだ。

 僕は靴を脱ぐと傘を広げたまま玄関に置いた。こうしておけば明日の朝までには乾いている。

 廊下の右側がそのままキッチンスペースで、左に洗面所への扉がある。洗面所に入れば右がトイレ、左がバスルーム。学生用なのにバストイレ別なのは贅沢だと思う。

 廊下を通ってリビングに向かう。カーテンは開いているが、雨が降っているので部屋の中は外よりずっと暗かった。

 荷物をソファに置いて、僕はやっと電気をつけた。

 ベッドと勉強机とソファがあるだけの、片付いた部屋。実家にいた頃と違い、あまり物を出しっ放しにする生活はしていないので、自然とモデルルームのような部屋になってしまった。遊びに来る友人達は、口をそろえて生活感がないという。

 この部屋は借りている部屋なのだ。借り物なのに、あたかも自分のものであるかのように散らかす気にはなれない。だから片付いている。それだけの話だ。

 衣類も本もゲーム機も、生活を感じさせるものはいつもクローゼットの中に入っている。僕はクローゼットを開けて部屋着に着替えると、廊下へ出て夕食の準備を始めた。今日は簡単にカレーにした。

 勉強机に作ったカレーを置いて、椅子に座る。勉強机にはいつもパソコンとサボテンが置いてある。パソコンはノート型だが、ゲーミングPCなのでそれなりのスペックがある。そして横のサボテンは、あまりに生活感がないのを心配した母親が送ってきたものだ。小さいので邪魔にはならないが、そのせいで存在感がなく、水をあげ忘れる。よく枯れないものだと思う。

 カレーを食べながらパソコンを立ち上げ、同時にスマホをチェックする。友人からくだらないLINEが来ていたのと、母親からメールが届いていた。

『ひろえくん。

 元気にしていますか? ちゃんと食べていますか?

 お金が足りなくなったら遠慮しないで言ってね。

 来月おとうさんと沖縄に旅行に行きます。おみやげ楽しみにしていてね。』

 この母親はまめにメールをしてくる。だから来月の沖縄旅行のことは以前から聞いていたが、もう一度話題にしてきたのは相当楽しみにしているからだろう。母親はまだ若く四十代なので、多分老化が始まっているのではないと思う。

『メールありがとう。元気にしてる。お金は全然足りてるよ。沖縄旅行楽しんできて。』

 簡単に返事を送る。友人のLINEにも一言で反応して、僕はスマホを置いた。

 今度はパソコンをいじる。ブラウザを開いて、YouTubeに行く。昨日公開した実況動画に色々コメントがついていた。見覚えのない名前の人もいるし、常連の人もいる。

 昨日公開したばかりなのに、ほんの一日で再生数は一万回を超えている。最初はこの数字にぎょっとしていたが、今は少し慣れてきた。逆に、再生数が一日で万を超えないと、原因は何なのか探ってしまうくらいだ。

 これだけ沢山の人たちが、僕のチャンネルを取り巻いているんだ。理性ではそう思うものの、実感としては薄い。どうして何万という人たちのことを、現実感を持って受け止められるだろう。

 僕にとって視聴者は半分バーチャルな存在だった。視聴者にとっても、僕という存在は半分バーチャルだろう。画面の向こうの、非日常的なもの。それがお互いの関係のような気がしている。

 コメントを一つずつチェックする。返信しようと思うものには返事を書くためだ。コメント欄が荒れないようにする秘訣は、こうして僕も顔を出すことだと思う。

 とは言え、僕の動画のコメント欄は、あまり険悪にならないことが多い。みんな落ち着いたいい人達なのだろう。今回も平和な書き込みが沢山あった。

『コディー

 うぽつっ』

『たか様の実況チャンネル

 うぽつです』

『jiji masa

 安定のカタロエ』

『サイケ

 さすが笑 敵が空気w』

『Team killing

 うぽつ』

『ささかまさかさま

 あー……イケボ 癒やし♪』

『近藤玲奈

 うぽつですっ 次楽しみ!』

『Uuna

 次のルーシー……って確かすごく怖かったような。頑張ってください!』

『涼風

 もうホラーじゃないww』

『ローシェンナ

 ホラーならろえさん!』……

 などなど。好意的なコメントがほとんどだ。ありがたいことだと思う。

 ところで、「ろえさん」というのは僕のあだ名だ。最初がいつだったか分からないが、だんだんとそう呼ぶ人が増えてきて、今では定着している。

 『うぽつ』というコメントには『おつありです』と返し、『次頑張ってください』というコメントには『ありがとうございます』と返す。返したり返さなかったりランダム感が半端じゃないが、これだけ沢山のコメントがつくと、全てに返信しきれないのも現実なのだ。結局、一部にしか返せないことになる。

 このコメントチェックが終わったら、食器を片付けてゲームの準備だ。まだソフトをパッケージから出していないので、僕も全然どんなゲームなのか知らない。

 僕が持っている情報と言えば、パッケージの裏に書いてあるあらすじくらい。

 食器を洗って片付けると、勉強机に戻って、引き出しからパッケージを出した。

 裏に書いてあるあらすじはこうだ。

『その廃病院には、噂があるんだって……。

 さみしい記憶を、消してくれるって。

 誰が消してくれるの?

 誰が助けてくれるの?

 不確かな噂は、さみしさを抱える人々を呼び寄せ続けた。

 そして、あなたもやってきた。

 暗い森の中。目の前には巨大な建物。

 持ってきたものはただ一つ。心の中を満たす、穴の開いたようなさみしさ。

 季節は雨期。雨雲が月を隠し、雨が降り出す。

 この病院が、自分に手を差し伸べてくれることを信じて、足を踏み出す。

 ――あなたは自分の心の空白に、たえられますか?』

 ……そこまで怖いホラーゲームなのだろうか?

 あらすじを読む限り、切ない系のホラーゲームのような感じがするが。あまり怖さを前面に押し出してはいないようだし。

 今見たコメントの中には、『かなり怖い』という情報がちらほらあった。『怖すぎて更新が止まっている実況者もいる』ほどだそうだ。それは一体どれくらいの怖さなのだろう。

 僕は実況でもプライベートでもかなりホラーゲームをプレイしてきているが、怖すぎて先に進めなくなったという経験はほとんどない。びっくりしたりひやっとしたり、そういうことは普通にあるものの、恐怖ですくむことは稀だ。だから怖すぎて進めないというのがどの程度の恐怖なのか、なかなか想像できない。

 何より、パッケージが怖くない。

 花畑の中に、古びた椅子が一脚ある。そこに明るい陽光が降り注いでいるのだ。ついでに天気雨が降っている。あまりホラーな感じはない。

 とにかく、やってみないことには何も分からないだろう。

 僕はパッケージを開けて、CD-ROMをドライブに挿入した。ゲームをインストールしている間、もう一度あらすじを呼んでみた。やっぱり、そんなに怖い感じはしない。

 ゲームのインストールが終わると、今度は実況の準備だ。

 ハードディスクを繋いだパソコンに、ヘッドフォンとマイクを接続し、装着する。ヘッドフォンは密閉式だ。開放式だと音漏れして、それをマイクが拾ってしまう恐れがある。それに、ヘッドフォンを着ければ、音で敵の位置を正確に察知することができ、プレイ中の安全度が上がる。だから、ヘッドフォンは実況中でなくても基本的に装着することにしている。

 ピンマイクは、胸元に。安物の割に性能がよくて、操作音やちょっとした息まで拾ってしまうのが厄介なところだ。『キーボードのカチャカチャがうるさい』『コントローラのギシギシ音がする』といった苦情の原因になっている。改善のしようもないし、まだ壊れてもいないので、苦情が少数派のうちはまだまだこのまま使うだろう。

 そして、部屋の電気を消す。

 部屋の電気を消すのには二つ理由があって、一つはホラーゲームの暗い雰囲気を存分に楽しめることと、ホラーゲームの暗い画面でもある程度視界が確保できることだ。昼間の明るい部屋の中でやると、怖さも半減するし、画面も暗くて見づらい。やはり、真っ暗な室内でヘッドフォンをしてやるのが、ホラーゲームをする一番の環境なんじゃないだろうかと思う。目の健康を考えると、あまり推奨されるようなスタイルではないが。

 準備が終わると、録画を始め、ゲームを立ち上げる。正常にスタート画面が表示されたのを確認して、実況の準備が整ったことになる。

 このゲームのスタート画面は明るい。パッケージのイメージにかなり近い雰囲気だ。

 天気雨の降る明るい風景。花畑に道が一本通っていて、遠くの建物に続いている。家屋だろうか。少なくとも病院ではない。ヘッドフォンから聞こえてくるのは、雨のしとしと降る音と、オルゴールのような音楽。

 明るい雲間には、タイトルである『Lucy, close to you』という文字と、『新しい物語』『つづける』『オプション』『クレジット』の項目が浮かんでいる。

 確かに、少し寂しい感じはあるものの、ホラー的な要素は感じない。

 これだけを見ると、本当にホラーゲームなのかと疑ってしまうくらいだ。

 スタート画面でも雨が降っているが、現実でもまだ雨が降り続いている。その音をマイクが拾っているかどうかは、録音し終わってみないと分からない。

 僕は息を吸って、しゃべり出した。

「皆さんこんばんは。カタロエです」

 ヘッドフォンで耳を密閉していると、自分の声がくぐもって聞こえる。編集時に聞く自分の声はもっとクリアなので、まるで他人の声を聞くみたいに感じる。

 しかしこんな声でも、『癒やし系だ』『イケボだ』と言ってもらえるので、何だかありがたい。僕のこの声を目的に動画を見てくれる人もいるみたいだし、そう思うと自分の声でも少しは好きになれる。

「えーっと今回は、前回予告したとおり、こちら。『Lucy, close to you』をやっていきたいと思います。このスタート画面を見ていただくと分かると思うんですが、何だかあまりホラーゲームという感じがしないです。ね。結構、『かなり怖い』というコメントをいただいていたんですが、はたしてどれくらい怖いのか。楽しみですね。じゃ、まずはオプション」

 オプションを選択し、遷移する。

 オプション画面は暗い室内で、古びた椅子が一脚置いてある。設定できるのは音量と画面の明るさくらいのようだ。

 操作説明もここに書いてあった。WASDキーそれぞれで移動、shiftキーでダッシュ、enterキーでアイテム取得や決定、などなど……だそうだ。PCゲームの基本的な操作とほぼほぼ同じだろう。

 音量と画面の明るさをどうしようか少し悩んで、僕はそのままにすることにした。

「ちょっと設定はデフォルトのままでいきましょうか。見づらかったりしたら、編集で何とかします。で、次から調整していきましょう」

 そう言ってスタート画面に戻る。暗い室内から一気に明るい花畑に戻ってきたので、一瞬眩しすぎて目を細めてしまった。

「このスタート画面眩しい。……相変わらず部屋の電気消して暗い中でやってるんで、余計眩しいですね。早くゲームにいきましょう」

 マウスを操って、『新しい物語』を選択する。

 すると、一気に画面の雰囲気が変わった。

 暗転し、少しずつ現れてきたのは夜の森。キャラクターの姿は見えない。どうやらFPS(一人称視点)ゲームのようだ。

 視界が空を見る。曇天が広がっていて、月は見えない。

 森の中には道があるのが見える。崩れかけた煉瓦道で、奥の方へと続いている。

 キャラクターの視界が正面を向くと、そのまま固まってしまった。風の音だけがひゅうーと鳴っている。

「ん?」固まっているので、思わず声を漏らしてしまった。念のためWキーを触ってみたら前進した。「あ、もう動かせるのか」

 shiftキーを押しながらダッシュで道を行く。

「これ、スタミナっていう要素あるのかなあ。途中で走れなくなったりして……」

 と言いながら走り続けてみたが、キャラクターの呼吸に変化はない。スタミナという概念はないみたいだ。ゲームシステムにその概念があると、走り続けることができなくなったりして、行動に制限がかかる。敵から逃げたりするのが中心になるホラーゲームでは、恐怖演出や難易度調整の一つとして効果的に取り入れられる傾向がある。

 走りながら何度かライトをオンオフするキーを押してみるが、何も明るくならない。まだライトは持っていないようだ。

「まだ明かり持ってないんですね。どこかで拾えるんだろうか」

 走っていると、森が開けた。

 広く広く切り開かれた場所に、巨大な建物が建っている。四角を積み重ねたような奇怪な建物で、一瞬ウィンチェスター・ミステリー・ハウスを思い出してしまった。外観は全然違うが、増改築を繰り返しているように見えるところは似ている気がする。

 煉瓦塀に囲まれており、鉄の門がある。門に近付いてみると『enterキー 開く』と表示された。enterを押してみると、キャラクターが腕を伸ばして門を開けた。キャラの手の感じからすると、主人公は男性だろうか。

 建物の入り口に至るまでに、公園のような広場や、噴水があった。その中を通りつつ、建物に近付く。

「何だか舞台は、病院……らしいんですけど、病院ってこれかな? 随分大きい建物ですね。ちょっと病院には見えないですけど」

 本当に病院には見えない。用途不明の謎の建築物だ。前庭ふうに広場や噴水があるのも、何だか病院というよりお屋敷の風景といった感じに思える。

 その中を進むと建物の入り口に到達した。入り口の横に、『Westcotton Asylum』と書いてあった。アサイラムということは、精神科の閉鎖病棟か、孤児院だろう。舞台は病院ということなので、精神病院かも知れない。

「アサイラムか。『Outlast』思い出しますね。あれも怖かったですけど……。これはどうなのかな?」

 建物の中に入ると、画面が暗転して台詞が表示された。

『……やっとついた。

 僕を救ってくれるかも知れない場所。』

「あ、そうそう、主人公はさみしさを抱えている人だそうです。で、この病院にはそのさみしさを何とかしてくれる……とかいう噂がある、っていう話みたいですね」

『心に穴が開いているみたいに、何かが足りないような、そんな感覚……。

 ずっと埋められなかったこのさみしさを、本当に何とかしてくれるのだろうか?

 誰か中にいるんだろうか……。』

「いるわけないと思うけどなあ……。どう見たって廃墟でしたよ。ちょっと展望が甘いですね、この人は」

 台詞の表示が終わり、画面がぼんやりと戻ってくる。病院の中に入ったようだ。

 中はとても暗い。目の前に受付のようなカウンターがあり、そこにランプが置いてある。

「ああ、ランプがある。多分あれが明かりですね」

 ランプに近付く。enterキーで取得すると、不意にヘッドフォンから声がした。

『……さみしい……』

「ん?」

 ランプを点け、周囲を見回してみる。人影はない。

 少女の声だった。つまり主人公が独り言を言ったのではない。

「何の声?」

 呟くと、カサカサカサ……と何かが這うような音がした。

「何かいる。何かいるけど、姿は見えず」

 不気味ではあるが、まだ怖くはない。怖くなるのは具体的に何か出てきてからだ。もっと具体的に言えば、ゲームオーバーがかかってきてからということになる。

「今喋ったのがルーシーさんかな? 聞こえました? さみしいって」

 受付カウンターのあるこの空間は、待合室と言うよりちょっとしたサロンのようだった。テーブルに椅子がしまわれているのが四セットあり、天井まで吹き抜けになっていて、二階の回廊が見える。天井を見上げてみると、かなり豪華なシャンデリアが吊ってあった。

 待合室のテーブルを巡ってみる。その内の一つに、メモのようなものが置いてあるのを見つけた。

『ウェストコットン精神病院 面会時の注意点

 院内感染予防強化月間です。

 院内感染症の予防のため、手の消毒と、マスクの着用をお願いしております。

 食中毒防止のため、飲食物の持ち込みはできません。

 飲食物以外で患者様への差し入れをご希望の方は、受付まで届け出てください。医師と相談の上差し入れの許可をいたします。

 お忘れ物にはご注意ください。

 万一お忘れ物が出た場合は、受付カウンターにて保管いたします。』

「あ、これは……カウンターに何かあるかも知れない。見てみましょうか?」

 ランプを拾ったカウンターまで戻り、内側に入ってみる。カウンターの棚の中に箱があり、『遺失物』と表示が出た。調べてみると、中から写真が出てきた。

『四人家族が並んでいる。なぜか全員がこちらを指さしている。』

「なんだこれ。超不気味」

 家の前で撮られた写真のようだ。立ち並び方は普通の家族写真なのだが、どういうわけか全員が無表情で、カメラに向かって人差し指を向けている。カメラと言うより、この写真を見ている人間を指さしているみたいだ。

 一体何の意味があるのか分からないが、とにかく不気味だ。モノクロ写真なのが余計に不気味さを増長している。

「何だか嫌なもの見た気がするね。ね。でも白黒写真かあ。時代はいつくらいの設定なんだろう」

 と言って視線を上げると、カウンターを挟んだ目の前に写真で見た四人家族が並んでいて、一様にこちらを指さしていた。

 でもその四人がいたのは一瞬だけで、フラッシュの後いなくなっていた。

「お? なんだなんだ」

 呟きながらカウンターから出る。

「今のって、写真の家族でしたよね。何で出てきたのかさっぱり分からない。何かのヒント? ただの演出?」

 まあこれ以上ここにいても何も進まないので、いい加減移動することにする。

 待合室から移動する手段は二つのようだ。左に二階への階段、右に奥へと続く廊下がある。

「二階の探索は後にしましょうか。まずは一階を見て回ってから……」

 迷わず廊下のほうへと進む。

 廊下の壁には左右に扉が並んでいる。近付いてみても『開く』といった表示は出ないので、開かないのだろう。

 持っている明かりはランプだけなので、あまり遠くの方までは見ることができない。自分の周囲だけがぼんやりと明るい程度だ。

「特に何も考えずにランプ点けっぱなしにしているけど、途中で燃料切れか何かで消えちゃったりしないのかな? あとー……大抵明かりを点けっぱなしにしていると敵に見つかりやすくなりますけど、このゲームの場合はどうなんだろう」

 歩きながら、独り言のような実況を続ける。風景があまり変わらないので間がもたないというのもある。

「戦えたりはしないんだろうか。まあ戦えないなら逃げ隠れすればいいだけか」

 廊下を進んでいたら、ある扉の前にさしかかったとき、『ナース控え室』という表示が出た。

「あ、ここ入れそう」

 まだ敵が出てくるでもなく進展があるわけでもないので、何らかのイベントを求めて、ためらいなくその中に足を踏み入れていった。

 その瞬間だった。ナース控え室に入ったと同時、画面が真っ白になった。

 そして現れたのは、モノクロの映像。

 モノクロではあるがナース控え室であることは間違いないようだ。その中に看護師姿の人間が二人立っていて、立ち話をしている。

 会話は聞こえない。

 暫くその二人の聞こえない会話を眺めていると、もう一度画面が真っ白になり、真っ暗なナース控え室に戻った。立ち話をしていた二人はいなくなっていた。

 多分、今のモノクロの映像は、過去の出来事を表しているのだろう。ホラーゲームではよくある表現だ。

「ナースさんがいた」

 呟きながら控え室の奥へ進む。

「あ、何かある」

 控え室の奥のデスクに、書類が無造作に放置されている。どうやら調べることができるようだ。

『最近多発している集団幻覚について

 複数の患者が同じ幻聴を聞くという例が多数報告されています。

 幻聴はいずれも『さみしい』『いかないで』といったもので、通常の幻聴と違って、患者自身を否定・攻撃するようなものでも、監視するようなものでもありません。

 前例のない症状です。みなさん注意して経過を観察してください。

 何か異常があればすぐに報告のこと。』

「ふむ。集団幻覚……」

 他にも何かないかどうか見て回ってみたが、特にないらしかった。僕はナース控え室を出た。

「『さみしい』っていう幻聴が聞こえるんだって。さっき僕たちも聞こえましたよね、ランプ取ったときに。ということは、僕たちもこの集団幻覚に取り込まれてしまっているという、そういうわけですか。怪異は既に始まっている」

 ナース控え室を出ても、扉は自動では閉まらなかった。別に開いていてもいいかなと思ったので、開けっ放しにする。こういう扉の開け閉めが敵との駆け引きに活用できる場合もあるが、このゲームではどうなのだろうか。まだ敵らしいものと遭遇していないので、分からない。

「それにしても変な場所に控え室がありますね。構造がちょっと変わってるのかな? まあ外観からちょっとおかしかったですもんね」

 と言いながら進んでいたら、カサカサカサ……という音が聞こえた。

 思わず、立ち止まる。音をよく聞くためだ。

 もう一度、カサカサカサ……という音。

 前方からなのは間違いない。でも何の音なのかは分からない。

「何の音?」

 構わず歩き出そうとしたら、廊下の曲がり角から長い手足が現れた。

 そして四つん這いで現れたのは巨大な少女だった。

 髪が長いため顔は見えない。胴の長さは通常の二倍、手足の長さは三倍はある。その少女がいるだけで、廊下の幅の三分の二が埋まってしまう。

 その蜘蛛のような少女は、こちらを視認すると動きを止めた。

『戦うのは無理だ。逃げなければ!』

 という表示が出る。と同時、少女が猛然と這い寄ってきた。

「おお、何だこいつ」

 向きを変え、受付方面まで走る。一瞬振り返ってみたら、少女はかなりの速度でこちらに迫っていた。立ち止まる余裕はないらしい。

「この子がルーシーさんかな? 速い速い」

 受付まで戻り、二階への階段を上る。もう一度振り返ってみると、ルーシーは階段ではなく壁を上ってきていた。これでは本当に蜘蛛だ。

「壁登りとか反則じゃないですかね。忍者だ忍者」

 冗談を飛ばしながらも走り続ける。適当な部屋に入ると、ベッドがあったので、その下に滑り込んだ。念のためランプは消した。

 扉は閉めなかったので、ルーシーは体をねじ曲げながら部屋に入ってきた。室内を見回し、天井を這う。

「ルーシーさんめっちゃ蜘蛛みたい。て言うか本当にルーシーさんなのかな? 勝手にルーシーってことにしちゃってますけど」

 まあ違ったら違ったで、後で訂正すればいいことだ。

 ルーシーは暫く室内でじっとして、やっと出て行った。

 それを見て、僕もベッドの下から這い出す。

「結構しつこいなあ。どこ行ったかな?」

 そっと廊下を覗き見てみる。既にルーシーの姿はないようだ。カサカサという音もしないので、多分近くにもいないのだろう。

「いなくなってますね。多分……多分ですけど、あのカサカサいう音がルーシーの接近音なんでしょうね。その音がしない限りは安全っていうことなのかな。ふむ」

 どうやら安全になったようなので、一階に戻る。やはりルーシーの姿はない。今は二階のどこかにいるのだろうか? それとも時間経過でワープしたり消えたりするタイプなのだろうか。

「ちょっと……すみませんね。もう一度一階に来ちゃって。もうちょっと一階を探索したい、そんな気持ち」

 ダッシュしながら逃げた道を戻り、ルーシーが現れた曲がり角まで来てみた。

 そこを曲がってみると、廊下が続いているかと思いきや、扉があった。

「え? ルーシーあそこから来たの?」

 扉に近付いてみる。鍵はかかっていないようだ。

 開けてみると、そこは壁一面に写真がかかっている部屋だった。他には家具も調度品もない。広い部屋ではあるが、壁に写真があるばかりなのでかなり殺風景だ。

「写真だ。写真ばっかり」

 写真を見て回ってみる。多くは誰も写っていない室内の写真だ。どうして無人の部屋ばかり写しているのだろう。

 しかも大量の額縁のうち、半分くらいは白紙だった。

「何か意味あるのかなあ……。まあ、もう出ましょうか。こんな隠れられないところでルーシーに来られたら大変だ」

 そのまま暫く一階を探索してみたが、隠れられそうな部屋がいくつかあったくらいで、他には特に重要な発見はなかった。

 ルーシーに遭遇したのもあの一回だけで、時々接近音が聞こえることもあったものの、姿は見えないままだった。

 時計を見てみると、プレイを始めてから三十分くらいが経っていた。そろそろ切り上げた方がいいだろう。

 動画はいつも三十分以内のプレイで切ることにしている。視聴するのにちょうどいい長さだと思うし、エンコードをしてもあまり画質が落ちないぎりぎりのラインだからだ。せっかくなら720pや1080pの高画質で公開したいのが、人情というものだろう。

「そろそろ、この辺で中断しましょうか。もう三十分になりそうなんで。何だかあまり進展はありませんでしたが、まあルーシーには会えましたし、多分これからはもう少し登場してきてくれることでしょう。ということを期待して、また次回。次回は二階も探索していこうと思います。それでは、今日はこの辺で。カタロエでした。ありがとうございました」

 挨拶を終え、セーブする。

 録画は切ったが、スタート画面に戻ってみると、『メモリー』という項目が追加になっていた。これは次回の収録の時に見よう。僕だけ先に見てもしょうがない。視聴者も見たいだろう。

 ヘッドフォンとピンマイクを外し、僕は部屋の電気を点けた。



『すかんな

 さみしいなんて聞こえました?』

『KK city

 聞こえない……gkbr』

『永遠のtowa

 ろえさん集団幻覚ww』

『サイケ

 聞こえた。他に聞こえた人は挙手!』

 『Team killing

  ノ』

『血糖値注意

 聞こえぬえwww』

『チャコール

 ろえさん怖いこと言わないでww』



 動画に寄せられたコメントを読んで、僕は少し驚いていた。

 見ていたコメントは、『Lucy, close to you』実況動画の第一回のもの。

 いつもの『うぽつ』や『いい声ですね』といったコメントに混じって、『さみしいなんて聞こえない』というコメントがかなりあった。それで、聞こえる聞こえないでコメント欄が少し混乱していた。

 問題の『さみしい』とは、受付カウンターからランプを取ったときに聞こえた声のことだ。少女の声で、わりとはっきりと『さみしい』と聞こえた、あれだ。

 空耳になりようもないほどはっきりと聞こえたにもかかわらず、『聞こえた』とコメントしている人は少数派。むしろ普通は聞こえなかったかのような雰囲気だ。

 とは言え僕自身も、実は編集時にはこの声は聞こえなかったのだ。

 何度巻き戻して耳をそばだててみても、『さみしい』なんて聞こえない。仕方がないので、『※このとき女の子の声がしたのですが、編集時には聞こえず……』と字幕を入れた。

 その字幕が余計に視聴者の恐怖を煽っているようだ。『聞こえた?』『聞こえない』などと所々で会話している。

 公開した動画を自分でも見てみたが、やっぱり『さみしい』なんて聞こえない。プレイ中には、気のせいとは思えないほどはっきりと聞こえたのだが……。

 不思議な話なのだけれど、ホラーゲームをプレイしているとこういうことが稀に起こる。ゲーム音じゃない音声がスピーカーから出るだとか、バグでもないのに一瞬ノイズが入るだとか。他の実況者の動画を見たときにも、一回だけこういった奇妙な現象に遭遇したことがあった。その時は偶然実況者のマイクがその音声を拾っていて、かすかに聞くことができた。その時は確か、『こわい……』と呟く女の子の声だったような気がする。

 『聞こえる』『聞こえない』でコメント欄が盛り上がっているので、僕も混ざって、『怪現象ですね』と言ってみた。

 今日はコメント欄のチェックだけだ。課題をやらなければいけないので、実況を撮ることができない。

 続きはまた明日プレイすることにして、僕はソファに置いた鞄からノートを取り出した。


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