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花粉症

作者: 亀田のこ

俺は花粉症に罹っている。

鼻がムズムズする。くしゃみが出そうになる。だが俺は今、満員電車に揺られているのだ。我慢しなければ。だが人間の体はそこまで便利に出来てはいない。くしゃみが出る。

「はっくしょん!!」

当然周りの人達に注目される。顔に血がのぼる。恥ずかしい。消えてしまいたい。

人類の叡智をもってしても多少症状が収まるだけの薬程度しかできていない。なぜ人間は自分の体ですら思い通りにならないのだろうか。

先ほどの通り、満員電車でのくしゃみや、試験、発表前の胃の痛み、トイレに行けない時の腹痛など。自分の体のくらい自分の思い通りになってほしい。なぜ神はこのように人間の体を作ってしまったのか。裁判を起こせるならとうに起こしている。

ネガティブな思索から目が覚め、あたりをコッソリと窺うと、内気そうな眼鏡をかけた少女と目があってしまった。同じ高校の同級生だった。彼女は目立って可愛い方ではないのだが、知る人ぞ知る可愛い子、という印象だった。

くしゃみをしてしまったことをなおさらに後悔した。もし自分がくしゃみをしなければ彼女にも1ナノメートル程の脈はあったのではなかろうか。

もう一度くしゃみが出そうになる。耐えられない。彼女の顔を見る。はにかんでこちらに手を振っていた。顔が赤らんでいるのが見える。

悪くないな、彼は堪えようとすらせずにくしゃみをした。

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