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90-出店。


「てなわけで文化祭だよ後輩くん!!」

 プリンを片手に机に足を掛けてこちらを指差す先輩。どこの船員ですか?


「よくわからないですけどパンツ見えてますよ」


「っ?!変態……」


 変態て酷いな……親切に教えてあげてるのに。

顔を赤くして足を降ろしてプリンを食べて誤魔化す先輩。


「てわけですよ後輩くん」


 無かった事にしたな。


「訳がわからないです」


「文化祭だよ。知らない?学校祭。どっちでもいいけど」


「いやあるのは知ってますよ?」


「文化祭といえば?」


「授業が減る」


「夢も希望もないこと言うんじゃないの!!」


 えー。ダメでしたか。現実……。


「クラス展示?ステージ?花火?」


「そうそうもっと出して!」


「キャンプファイアー?ダンス?」


「そうそう」


 他なんかあったっけ?


「あとは出店とか?」


「そう!それだよ後輩くん!」


「どれですか」


「出店だよ!」


「出店がどうかしました?」


「文化祭といえば思い出づくり!」


 え?出店じゃなかったの?出店どこ行った?


「因みに去年の先輩の思い出は?」


「1人寂しくここでグラウンドを眺めながらバイオリンしてました」


 ……。本当に友達いないんだね。


「だから思い出に固執するんですね」


「言わなくていいから!!てわけで何かしないといけないと思うんだよ」


「はぁ。頑張ってください」


「なんで他人事なの!!」


「だって先輩のその思い出作りに1ミリも僕関係ないじゃないですか」


「つめたっ!!?」


「そうですか?」


「まぁいいや……。この扱いはいつものことだし?それでさっきの話に戻って文化祭といえば」


「思い出作り」


 何度このくだりするつもりなの?


「違う!!出店だよ!!さっき言ったじゃん!!」


 理不尽な……。


「結局何が言いたいんですか?」


「後輩くん。出店やるよー!」


「…………?」


「だから!でーみーせー!!」


「なんのですか?」


「ケーキに決まってんじゃん!」


「衛生学って知ってますか?衛生法とか」


「知ってるよ!馬鹿にしすぎ」


「ならなんでケーキになったんですか」


「ちゃんと手は回してあるから大丈夫なの!!」


「学校がまず許可しないんじゃないですかね?」


「許可取りました」


「誰から?」


「校長先生。理事長。生徒会長。PTA会長。ついでに後輩くんの担任」


 どうしたらそのフルメンツの許可を取れんの?そもそもどうやって面会したんだ……?


「本人の許可が無いのに上の取りすぎでしょ」


「保健所からも貰ってきたよ?一昨日ね」


「だから早く帰ったんですか……」


「後は後輩くんの許可だけなんだよ」


「だいたい何作るんですか?」


「やりたいのでいいんじゃないの?」


 いいわけあるか。大会のやらなくちゃいけいのにそんな余裕なんてない。


「無理ですよ。そもそもその大会自体近いのに」


「なら大会の作ろっ?」


「規定に触れます」


 規定読んで無いからてきとうだけどね。


「えー。まぁいいでしょ?てかもう申請したし」


「勝手すぎますね」


「いいじゃん!!わたしは後輩くんと今のうちに思い出を作りたいんだよ!!」


「基本毎日こうしてケーキとか食べてるじゃないですか」


「そんなの日常過ぎて駄目だよ!わかってないなぁもう」


 わかってなくて悪かったですね?


「文化祭って来週ですよね?」


「そうだね?来週末だよ」


「2週間切ってますけど?」


「そんだけありゃ大丈夫でしょ!」


 何を根拠に言ってるんだこの先輩は……。

文化祭から大会まで3週間ほどか。まぁ出来なくはないけど……。


「ちなみに後輩くん。文化祭の出店の売り上げで毎年順位付けてるんだけどね?優勝したら景品があるんだよね」


「思い出作りとか言っといて結局は景品目当てですか」


「違うよ!あくまでおまけだよ!!」


「そういうことにしておきますよ。んで何もらえるんですか?」


「某テーマパークの宿泊ペアチケットか東京の超有名店のスイーツビュッフェ」


 はい。景品目当てですね。確定です。


「それじゃもし優勝したら宿泊チケットにしますか」


「なんでさ!!!」


「選べるんでしょ?それで遊びに行きましょうよ2人で」


「それはそれでありだけど……。スイーツビュッフェのお店1年待ちだからね?!そのチケットなんだよ?」


 最初の方がごにょごにょしてて聞き取れなかったけど結局はそれ目当てじゃんか。


「景品目当てですね完全に」


「そ、そんなことないよ?」


「じゃテーマパークの方で」


「……。宿泊チケットだから同じ部屋だよ?」


「そうですね」


「わたし達うら若き男女!駄目でしょ?!」


「それを景品にしている学校とは。そもそもなんでペア限定何ですか。みんな2人一組で出店出すんですか」


「それは学校の予算じゃない」


「てかなんで今年の景品もう知ってんですか」


「生徒会長が教えてくれました」


「余計な事を……。とりあえずテーマパークのほうにするならいいですよ?」


 こうすれば先輩は諦めてくれるだろう。


「ちなみに後輩くんが一緒にしてくれなかったらわたしの料理の出店になります……」


 学校で死者出すつもりか?!

不味くても先輩が作っただけで売れそうだけどねこの学校は。


「しょうがないですね……。先輩を殺人者にするわけにはいきませんから」


「ちょ?!それどういう意味?!」


「先輩料理できないじゃん……」


「成長してるからね!」


「出店で出せるレベルに?」


「そこはまぁご愛嬌です?」


「じゃあ大丈夫ですね1人で頑張ってください」


「あぁぁ〜。それは違うでしょ?!一緒にやろよ?!思い出作りが1番のメインなんだから!」


「なら景品もスイーツビュッフェじゃなくていいですね」


「うん。それは諦め……。妥協するよ」


 今諦めるって言いかけたよね?

まぁ、そもそも優勝出来るか知らないけど先輩は優勝前提で話ししてるよね。


「それでなにするんですか?何も知らないんですけど文化祭について」


「大丈夫だよ!今から1からじっくり説明してあげるから!!」


「今からですか」


「プリンと紅茶なら沢山あるからいつでも言ってね?」


「はぁ」


 そこじゃないんだけどなぁ……。


「取り敢えず金土の2日あって……」


 先輩の文化祭講義が始まった。

今日は長くなりそうだなぁ。先輩の話を半分に聞きながらそんなことを思った。




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