88-トリオ。
先ほど同じ場所に向かう。さっきより遥かに空いていてすぐに先輩達が見つかった。
「おつかれ様です3人とも」
「あっ後輩くん!ありがとー!ちゃんと聴いてた??!」
「聴いてましたよ」
「どう?凄いでしょ。少しは見直した?先輩の威厳取り戻せた?!」
「そういうところが残念なままだから駄目なんじゃないですか?」
「うっ……」
「夫婦漫才はそれくらいにしてもらえるかな?」
律さんはもう夫婦認定してるし。
「違いますけどすいません。無駄な時間を」
「汐音さんの面白いところ見れるから無駄ではないけどね」
「むしろこれ以外の先輩を知らないんですが」
「そうなの?なら今度ゆっくり汐音さんについて語ろうじゃないですか」
「いいですね。ゆっくりお茶でもしながら先輩の痴態について話しますか」
「ちょちょちょちょっーと待ったぁ〜!!!?なに人のいないところで人の話をする会を開こうとしてるわけ?許さないからね?」
「音羽さん嫉妬ですか?心配しなくてもこいつじゃ小鳥遊さんは落とせませんよ」
「旋?あとでお前覚えとけよ」
律さんと旋さんの関係が気になる。
「そんな心配してないから!!違うよ焦点はとこじゃないよ!!」
「うるさいですね先輩は」
「この汐音さんは見飽きないですね。次も是非来てくださいよ」
「そうですね。そうします」
「みんな仲良しすぎて争ってる感じがしないですね」
蘭ちゃんの言う通りみんな仲がよくて大会で優勝を競ってる人たちには見えない。
「今更どうしたって順位は変わらないからね!」
「まぁいつも取り合いしてるのはこのメンツですけど今回はまぁ歴然ですから。諦めましたよ」
「争ってるって基本そっちの2人じゃん……」
当人達はもう順位が分かってる感じだけど聞いただけでわかっちゃうもんなのか。凄いなぁ。
「今回は誰かなぁ〜?」
呑気にそんなことを言い出す先輩。
「普通に嫌味ですよね〜音羽さん」
諦め顔の旋さんが答える。
「100歩譲っても今回あんたはないからね」
律さんのきついお言葉が旋さんに刺さる。
結構えげつないなぁ……。
「うるせぇ!次は覚えとけよ」
「まぁまぁまだわからないでしょ。そんなことより後輩くん」
「なんでしょう」
「今日はなんかないの?」
「なんで音楽鑑賞に何か作って持ってこないといけないんですか」
「……それを楽しみに頑張ってたのに」
目が死んだ魚のように変わる先輩。口から魂出るんじゃないか?
「そんなに小鳥遊さんの作るケーキ美味しいんですか?」
旋さんも甘いものが好きなのかな?
「誰が作っても同じですよ」
「そんなことないよ!後輩くんの……。
「てなわけで結果出たみたいですよ?」
周りがざわざわと騒がしくなってきた。
「被せてくるなぁ〜!」
頭上から手刀でチョップしようと振り下ろしてくる先輩を片手であしらってみんなと一緒に結果を見に行く。
「うぅ……。今度覚えておけよぉ〜」
聞こえない聞こえない。
どれどれみんなの順位は……?
「まぁこうだよね」
3位旋さん。
「悔しいけど妥当よね〜」
2位に律さん。
「はぁ〜。よかった」
1位は先輩。
「毎度このパターンが増えてきたね」
「あんたはずっと3位よ?そのままだと」
「うるせぇ!言われなくてもわかってるよ!お前ら天才と一緒にすんな!」
「こらーまた喧嘩して。ほらとっとと控え室行くよ?」
レアなまともな先輩が2人を連れて控え室に戻っていく。
先輩にもちゃんと友達がいるみたいで良かったね。
同じ天才同士だから気兼ねなく話とかできるだろうし。
「それじゃ帰りますか」
「え?帰っちゃうんですか?」
「もう結果わかったし」
「一緒に帰りましょうよ」
「先輩めんどくさそうだからなぁ……」
「調子に乗ってそうですよね〜」
「寄りたいところもあるから今日は蘭ちゃんに処理任せるよ」
「そーですかー。残念ですね」
「ごめんね。先輩によろしくねドレス似合ってたって言っといて」
「自分で言えばいいのに」
「面倒だしうるさいから。頼んだよ?またね」
「はーい!また今度っ!」
蘭ちゃんと別れて建物を後にして用事を済ませに街へ向かう。
帰ったらレシピを練り直そうかな?
音楽を聴いてると色々とアイディアが浮かんでくるものだね。たまにはいいのかもしれない。




