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87-リュート。


「おねぇちゃんはもう小鳥遊さんを彼氏に仕立て上げちゃってましたね」


 席に戻って後半がスタートするまで蘭ちゃんと雑談タイム。


「見栄張りたいだけでしょ。本気じゃないと思うよ」


「どうですかねぇ〜?分かりませんよ?まぁ今日は面白いものが見れたんでもう満足ですよ」


「蘭ちゃん凄い笑ってたね」


「あれは傑作でしたよ!!律さんと旋さんの反応も面白かったですね〜。どんどんおねぇちゃんの化けの皮が剥がれてきますねっ」


「律さんも旋さんも本当の先輩を知ってしまったね」


「まぁ問題なさそうだったしいいんじゃないですかね?」


 そういうものなの?


「先輩後半なに弾くんだろうね。自由なんでしょ?」


「みたいですね〜。おねぇちゃんの事だから凄いの持ってきそうけど……。デビルマンの主題歌とか?」


「流石にそれだったらひどすぎて目も当てられないよ。ちゃんとした大会なのに……」


「今まで自由曲とかいうのなかったですからねー」


「でも先輩学校で課題曲のしか練習してなかったよ?」


「だんだん不安になってきました……」


 そんな話をしているうちに照明が暗くなり簡単な進行のアナウンスが入り袖から旋さんが出てくる。

3番目から順に引いていくらしい。

旋さんがヨーロッパ風の礼をするとアナウンスで自由曲が皆に伝えられる。


『パガニーニで、24のカプリース 作品1より第23番、24番』


当たり前だけど聞いた事ないよね。演奏を聴けばもしかしたら知ってるかもしれないけど……。せめてバッハとかモーツアルトとかにしてよね。結局知らないけど。

拍手が収まり旋さんがゆっくりとバイオリンを構え曲が始まる。


 知らない曲だと長いのかすらわからないから辛いね。23と24番って言ってたからもしかして2つやるのかな?

眠くなるかと心配したが聞いたことのない曲でも案外聴くとあっさり時間が経ってしまう。

演奏が終わり拍手が起こる。


「課題曲の時より凄く感じたなぁ」


「自分が得意なやつとか自分に合ってる曲選んでくるからですかね?つまりこれがその人の1番の状態ってことですから技術の差とかわかっちゃいますよね」


「素人にはわからないけどね」


「私もわかりませんよ。審査員がわかればいいんですよ〜」


「確かにね。次は律さんか知ってる曲ならいいなぁ……」

「何知ってるんですか?」


「運命。威風堂々とか」


「それはもう有名すぎてやらないんじゃないですかね……」


 蘭ちゃんに呆れられてしまった。


「まぁすぐにわかるよ」


 律さんが出てきて一礼し当たり前のように弓をくるくるとペン回しし始める。


『イザイで、無伴奏ヴァイオリンソナタ 第3番バラード』


 はい。知らない方でした。イザイさんってどなたですかね?なにじん?ドイツあたり?


「これは私も知らないや」


 蘭ちゃんも知らないなら知ってるはずもないね。まぁ、大事なのは曲だからね?聴いてみてからだ。

律さんの曲は最後までかなり激しめの曲だった。これは目が醒める。なんていうか律さんにぴったりの曲って感じがした。


「パワフルな曲だったね」


「そうですね〜。おねぇちゃん負けるんじゃないですかね?」


「ちゃんとしたの弾けば勝てるんじゃない?」


「どうでしょう。2人とも凄い上手く弾けてましたし……」


「よくわかるね。全くわからないよみんな上手いってことくらいしか」

「おねぇちゃんのはわかるんじゃないですか?ほら、出てきましたよ」


 本当だ。中央まで歩いて正面を向く先輩。するとまたこちらを見て目が合う。

やっぱり目、合ってるよね?

先輩はしかめっ面で舌を出してまたそっぽをむいてしまった。

またか。てゆうか舌まで出して……。他のお客さんもいるのに。


「阿呆ですね」


「阿呆だね」


 蘭ちゃんも当然のように気付いてた。

曲で審査される前にそんなんじゃ負けますよ。


『ダウランドで、涙のパヴァーヌ。バッハで、パルティータ第3番ホ長調プレルーディオ』


 あれ?先輩だけ違うので2つなんだ。

やっぱり演奏の時間で自由に決められるのかな?


「小鳥遊さんのバッハきましたよ」


「バッハは知ってるけどプレルーディオってのはもちろん知りません」


 知らないけどとりあえずちゃんとしたのでよかったよ。安心して聴ける。

先輩が1から知らないのを演奏してるのを聴くのは初めてだから少し楽しみだ。


 先輩の演奏が始まる。最初の曲は凄く静かで少し感傷的な気持ちになるようなメロディーでみんなの抱いている先輩に合いそうだ。

弾いている先輩自身も感情移入しているのかとても哀しげな表情をしている。

あれはケーキを落とした時にしそうな顔だね。


 一曲目が終わると少しの間をおいて次の曲が始まる。

こっちはさっきとは違ってかなり軽快なリズムをしている。先輩の本性のほうに合う曲だね。先輩も楽しそうな顔をして弾いている。

今度はケーキ食べ放題の時の顔だ。


 演奏が終わると拍手に包まれながら先輩は袖に戻っていく。

いま去り際にちゃっかりこっちを見て得意げな顔していったのはなんだ?


「昨日からの先輩はよくわからん」


「ドヤ顔でしたね」


 あとでうざそうだな……。このまま帰っちゃおうか。


「さ、小鳥遊さん行きますよ〜。またあの3人のところに!!」


 ですよね。旋律コンビもいるし大丈夫だろう。


「そうだね。行こうか」




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