表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/143

76-デコピン。


「それじゃそれをとっとと箱にしまっちゃってくださいよ。もう終わりですよ」


「あいさ〜」


 片付けをして作ったケーキを持って玄関ホールに戻る。

先生のお話を聞いて解散となった。


「今日はありがとございました。いい刺激になりましたよ」


「こちらこそ。お互い頑張りましょうか。高級ケーキの為に」


 和西さんまでケーキのこと言いだしたよ……。


「僕じゃ無理ですよ。和西さんが優勝でも買ってもらえるようにしますか」


「それだと一緒食べられませんね。とりあえずお互い入賞目指して頑張りましょうか」


「そうですね。ありがとうございました。また会場で?」


「お疲れ様です。東京で」


 玄関を出て学校を後にする。

今日は色々と話聞けてよかったな。レシピ早く作らないとやばいのはわかったよ。

家に戻ったら考案しないと。

それはともかく。


「何さらっと付いてきてるんですか?」


「え?!駄目なの?!いいじゃん同じ方向じゃんか!!」


「もう完全にストーカーですね?」


「褒めないでよ」


 褒めてねーよ!!!どこをどう取ったら褒めてることになるんだ……。先輩の思考回路は今だに謎だ。


「はぁ、先輩には何言っても無駄ですね」


「そうそう!大人しく私に振り回されなさい〜」


「ほんと自由ですね」


「後輩くんはもう私の手中なのだ!」


 いつ先輩のものになったんだ。自分は自分のものだよ?


「後輩くんは私のもの。つまり?後輩くんの作るスイーツも私のものに!なんと素晴らしい定理!アインシュタインもびっくりだよ」


「別にアインシュタインって数学者じゃないでしょ……?」


 違うよね?数学者なのかな?発明家じゃないのか?


「ならガリレオでもピタゴラスでもメンデルでもいいよ。故人の内容までは別に大事じゃないし?」


 メンデルは理科の人じゃないか?牧師だっけ?インゲンだかそら豆の人。


「この話自体無駄ですね」


「無駄とはなんだね!!可愛い美少女と休日の他愛のない会話だよ!読者が憧れてるシチュだからね?」


 なんの話だ……。そもそも自分で美少女とか。


「読者ってなんですか読者って」


「知らないー。でも世界中の男子が夢見る光景でしょ。まぁその相手がわたしなのが残念なところだね」


 そんな恋愛小説に憧れる中高生じゃあるまい。いや、高校生ではあるか……。


「自分でよくわかってるじゃないですか」


「後輩くんに言われるとなんかムカつくよねー」


「ムカつくも何も、1番体験してるの僕ですからね?」


 貴重な現場の声だよ。最前線のね。


「なんだかんだ楽しい癖に〜」


「いい迷惑ですよ」


「またまたぁ〜?本当は満更でもないんでしょ?正直になりなよ〜」


 周りにくるくると回りながら顔を覗き込んでくる。

割と鬱陶しい。そのくせ絵になってるからなんかムカつく。


「邪魔ですよ」


 正面に来たタイミングでデコピンをお見舞いしてやる。

パチーン。と乾いた音が響く。

おお、いい音鳴ったな。痛そう。


「痛っい〜。何すんのさ後輩くん!」


 おでこを抑えて涙目になった先輩が抗議してくる。

自業自得じゃないか。


「いい音でしたね」


「いい音じゃないよ〜!女の子に顔は駄目でしょ!」


「おでこですよ」


「一緒だよ!怪我したら大変だよ!」


「可愛い顔に傷でも着いたら先輩の唯一のアイデンティティーが失われますもんね」


「わたし別に顔だけじゃないもん!!てゆうか自分で可愛いって言ってるけどネタだからね?アイデンティティーっていうほど可愛いと思ってないもん」


 可愛さを盾に今まで好き放題してきたくせに。憶測だけど。


「何言ってるんですか。先輩は十分可愛いですよ?顔だけならモデルになれますよ。そのためには手足を捥いで声帯を取らないといけませんけど」


 動かない喋らないが条件なら多分世界で戦えるよ。


「手足捥がれてるのにどうやってモデルやるのさ……」


「可愛さだけは十分ってことですよ」


「だけじゃないからね?料理以外はなんでもできるもん……」


「まぁそんなことは置いといてそろそろ家に着きますよ?」


「後輩くんってSだよね……」


「ノーマルですよ」


「先輩は悲しいよ」


 1人で悲しんでてくださいよ。


「そーいえば先輩バイオリンの大会いつです?そろそろ教えてくださいよ?もう近いですよね?」


「ん?一週間後だけど」


「え?なんで一週間前にこんな事してるんですか……。練習しましょうよ」


「とりあえず弾けるから大丈夫だよー。……多分」


 今最後に小声でボソッと多分って言ったの聞こえてますからね?


「勝つ気あるんですかまったくもう」


「あるよ?勝たないとわたしの計画が崩れちゃうからね」


「どうせロクでもない計画なんでしょ。その計画のために練習はしなくていいんですか?」


「毎日夜してるし。いけるでしょ、来週からは放課後毎日やるしね」


「頑張り出すの遅いですね……。本人がいいならいいんですけども」


 やっぱ天才は違うのかな?それともやり過ぎるのもよくないものなのか。音楽はちんぷんかんぷんだ。


「いいのいいの!てことだから毎日スイーツよろしくね?」

毎日試作でいいならいくらでも」


「同じのは飽きるじゃんー」


 そうは言われても試作しないわけにはいかないんだもの……。


「それじゃ今日のケーキあげるんでこれで一週間頑張ってくださいよ」


 ホールケーキなんて1人じゃ食べきれないから。どっちにしろ和菓子と一緒に届ける予定だった。先輩が来て予定がめちゃくちゃになったけど。


「保つわけないでしょ!貰えるならもらうけど」


 貰うんかい。先輩の家の前に着いたのでケーキと和菓子を渡す。


「じゃあはい。蘭ちゃんと仲良く食べて下さいね?」


「本当に要らないんだね?何しに行ったのさ」


「ケーキメインで行く人なんていませんよ普通。ケーキは副産物じゃないですか。何回も言ってるけど和西さんと話しに行ったんですよ?」


「勿体無いの〜。せっかくのケーキなのに、ケーキよりもお話を取るのね」


 ケーキを取るのは先輩くらいです。


「どうせホールなんて1人で食べ切れませんからね」


「それじゃ責任持ってわたしが食べといてあげましょう」


「ありがとうございます。それじゃまだ学校で」


「ばいばーい!楽しみにしてるからね〜」


 やれやれ……試作とは別に何か作らないといけないな。

こういうところが先輩に甘いんだよなぁ。

簡単なやつで我慢してもらおうかな。とりあえずレシピを練るところから始めないと……。帰ったらアイデアをまとめよう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ