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67-お誕生会。


「おねぇちゃん誕生日おめでとー!」


 蘭ちゃんの合図で先輩の誕生日パーティーがスタートした。

「ありがとう?」


 今日誕生日だっけ?みたいな顔をしている先輩。あれ?本当に誕生日だよね?先輩と目が合うと、ぷいっとそっぽを向かれた。

怒ってらっしゃる?


「沢山作ったから小鳥遊さんも遠慮せず食べていってくださいね?」


 先輩のお母さんの一言に反応して、高速で皿を奪い取り料理を山盛りに盛り付けてこちらに返して満足気の表情をみせる先輩。

もしかして仕返し?こんなことで気がすむなら先輩はちょろすぎる……。

目が合うとなぜかドヤ顔だった。


「ありがとうございます先輩。僕も盛ってあげましょうか?」

 メガ盛りでね?完全にこっちが悪いんだけどやられた

らやり返したくなるよね。

「お構いなくー」


 さらりと断られてしまった。いやまぁやり返されるのわかりきってるからそりゃそうか。


「おねぇちゃんと小鳥遊さんの仲良いねー」


 仲良いのか?悪くは無いが……。

それにしてもなんで先輩の家で先輩の家族たちと食卓を囲ってるんだろうか?しかも山盛りで。

割と気を使うんだけどケーキを作って終わりだと思ったのにとんだ策士だ蘭ちゃん。いやお母さんか?


「それでなんで後輩くんいるの?」


「私が連れてきましたー!」


「いや、物理的なことじゃなくて……。わたしの誕生日パーティー?になんで後輩くんがいるのかなって」


「大勢の方がたのしいじゃん?」


 そんな理由でここに連れてこられたのか。

1人増えたところで変わってるようには見えないんだけど……?

そんなくだらない話をしながら食事を終えてデザートの時間になった。


「誕生日といえばケーキだよねー」


 凄い楽しみにしてる。最初に出るのが偽物なのに可哀想に。


「はい、おねーちゃん。最初はこれね?」


 小さい箱に入れられた偽物の茶碗蒸しケーキを取り出す。


「ちっちゃくて可愛いー。いただきまーす!」


 なんの疑いも持たずに口に運んだ。一口噛むとそのまま固まって渋い顔になった。

そりゃ甘くて美味しいタルトだと思ったら海老の茶碗蒸しなら誰だってそうなると思う。


「騙された……。なにこれ」


「小鳥遊さん特製対おねーちゃん偽物ケーキ」


 無駄にかっこいいネーミング。本当に無駄。てかそんな言い方したらまたこっちの風当たりが。


「後輩くん?」


「はい」


 凄い笑ってるのに眼だけが全然笑ってない。怖いけど少し可愛いな。

そのまま残ったタルトを半分にして座っている後ろまで歩いてくる。


「後輩何か言い訳は?」


「え?それはど……むぐっ」


 どういう意味ですか?という言葉を言い終わる前に後ろから手が伸びて口にタルトがねじ込まれる。

反射的に口を閉じようとするが先輩の指に阻まれてうまくいかない。全部口に入ると席に戻って残りのタルトを持って蘭ちゃんにも同じことをしている。

美味しくないとかじゃなくて大盛りのせいでお腹いっぱいなんだけど……。


「本当にもうさっきからくだらないことばっかりして」


 食べ終わった蘭ちゃんが言い訳をする。


「ただのドッキリなのに……。ちゃんとしたケーキもきちんとあるから」


 冷蔵庫から2人で作ったケーキの箱を持って先輩の前に置く。


「めんどくさいから蠟燭1本ね?」


 蠟燭とチャッカマンを用意して箱を開けて真ん中に刺して火をつける。

めんどくさいからか電気も消してない。

色々と雑だな。いいのかそんなので。


「はい。息かけて消しちゃってー」


 手で髪を掬ってケーキに顔を近づけて、ふうっ。と息を吐いて蠟燭の火を消す。


「おめでとー!」


 パチパチとみんなで拍手をして先輩を祝う。


「このケーキ凄い豪華じゃない?」


金箔に花に砂糖人形にプレートだからね詰め込みすぎな感じはする。


「いいんじゃないですか?年に1度の誕生日なんですから」


「そんなもんなのかなぁ……。凄い高そうだけど」


 自作だとそんなにしないんじゃないかな?

詳しい値段は蘭ちゃんしか知らないが。

ケーキを切り分けてお皿に乗せて回す。

先輩にはチョコプレートと人形が刺さってる。

ちなみに市販で一番大きい型を使ってるから切り分けてもかなりでかい。


「このプレート食べるのもったいないなぁ」


 携帯で写真を撮りながらチョコのプレートを眺める先輩。




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