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66-オチ。


「うわー全部あるよ。昨日のまでちゃんと書かれてるし……。よく形覚えてるな」


「おねぇちゃんってこんなに小鳥遊さんのケーキ食べてるの?ずるいなー」


「学校で基本的に食べてるからね。蘭ちゃんよりは多いんじゃないの」


「決めた!私もおねぇちゃん達と同じところにしよーっと」


 そんな理由で進路決めていいのか?まぁ家から近いしお姉さんが通ってるならそんなものか?


「蘭ちゃん先輩大好きだもんね」


「ケーキのためですよ?別におねぇちゃんは関係ないですよ!」


 照れなくてもいいのに。

「蘭ちゃんと先輩のケーキの取り合いになりそうだね。それにしても先輩こんなメモもってたのか……スイーツ愛が怖いな」


「怖いのは後輩くん達だよ」


 先輩の声が聞こえた気がした。そろそろ先輩が帰って来ちゃうから早く出ないとね。

リビングに戻ろうと蘭ちゃんにノートを返すために声をかけようとすると、固まってこちらを見ていた。


「どうしたの?蘭ちゃん」


 蘭ちゃんがゆっくりと腕を上げてこちらを指差す。

どうかしたのかな。何かついてる?それとも後ろを指しているのか?

気になって指の指された後ろをゆっくりと振り返ろうとするといきなり右肩に強い衝撃がかかった。


「ひっ?!え?」


 え?何めっちゃ怖いんだけど。肩に手が置かれたのか……?心臓に悪いからやめて欲しい……。

「何してるのかな?君達?」


 あれ?先輩もう帰ってきたの?


「先輩早かったですね。お邪魔してます。それじゃ先に下に行ってますね」


 先輩に声を返すと掴まれた右肩が思いっきり握られた。

痛い!痛いから!!やっぱりそのまま誤魔化して出れないよね。


「なんで後輩くんがいるのかはまぁ、置いといてなんで人の部屋に居るのかな?」


「成り行きというか、なんというか」


「成り行きで勝手に女の子の部屋に入るなぁ!!」


 ほらー怒られた。こういうオチだと思ったよ。

蘭ちゃんと一緒に部屋をつまみ出された。


「おねぇちゃんいつのまに……。失敗ですねっ」


 可愛く笑って誤魔化そうとしてるけど、そうはいかない。


「ちゃんと説明しといてよね」


「まあ大丈夫ですよー」


 雑すぎる。とりあえずリビングで待ってようかと階段に向かって歩き出そうとして気付く。手にノートを持ったままだった。

あとで何言われるなわかったもんじゃないからすぐ返しておこう。

引き返してドアをノックする。


「先輩ーちょっと良いですか?」


 部屋の中からドタバタと音が聞こえてしずかになる。


「先輩?」


「なに?」


 ドアを数センチだけ開けて部屋から覗き込んでくる先輩。


「なんか大きな音しましたけど……」


「そんなことはいいから用件は!」


 それは相当お怒りのようだ。

なぜか蘭ちゃんは後ろで笑ってる。元はと言えば貴女のせいなんですが?

この状況で渡せばまたなんか言われそうだけも渡さないわけにもいかないし、仕方ない。


「これ持ったまま……」


 言い終わる前にドアがほんの少しだけは開いて中から手が伸びてノートを掴み、中に戻っていった。

いや怖いよ。貞子じゃないんだから。貞子見たことないけど。


「見た……?」


 小さい声で先輩が呟く。


「え?」


 聞き取れずに聞き返す。


「見たの?」


 どうやら中身を見たのかどうか聞いてるぽい。残念ながら少し見ました。ごめんなさい。


「まぁ多少は……?」


 しばらく沈黙が流れる。

すると先輩がドアを静かに締めながら一言。


「変態」


 閉じたドアの前で立ち尽くす。

すると後ろから蘭ちゃんに声をかけらる。


「変態ですって小鳥遊さん。可哀想にーまさか下着じゃなくてノートの中身で変態扱いなんて」


「誰のせいだと。先輩怒ってたなぁ」


「どんまいですね。それにあれは怒ってるんじゃなくて恥ずかしがってるんだと思いますよ?」


 勝手に部屋とノートの中身を見られたらそりゃ恥ずかしいか。思春期だしね。


「あとで謝っとかないとなぁ」


 めんどくさいな。

「まぁまぁ、これあげるんで元気出してくださいよ」


 先ほど蘭ちゃんに投げつけた下着を渡される。

それをもう一度蘭ちゃんに叩きつけた。


「こっちは完全にアウトでしょ!!」


 こっちはシャレにならない。本当の変態扱いされてしまう。

着替えるなら無いことに気がつくはずだからこれ以上巻き添えを食らう前にリビングに向かって階段をおりることにした。




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