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65-記録。


 ドアにはハートの可愛いプレートに先輩の名前が書いてぶら下がっていた。

ハートって柄じゃないのに。先輩は思ったより乙女なのか?

蘭ちゃんがドアを開ける。部屋の中はピンク色で色んなところにヌイグルミが沢山いる。

本当に先輩の部屋なのか怪しいな……?


「どうです?意外じゃないですか?おねぇちゃんも女の子ぽいでしょ」


「実は蘭ちゃんの部屋だったりしない?」


「私はこんなに女子力溢れるような部屋してませんよ。あ、ほらあそこ」


 ベッドに向かって指を指す。その指先を辿るが何を指しているのかわからない。


「どれ?」


「ベッドの枕のところですよ」


 枕?特になんかおかしいものはないけど?

パジャマのことかな?


「パジャマ?がどうしたの」


「もーちょっと待っててください」


 ベッドまで歩いて枕元で何かを掴み後ろに隠しながら戻ってくる。


「はい。手だしてください?」


 嫌な予感しないんだけど。


「遠慮したい」


「はやくはやく!帰ってきたら大変ですよ?」


 時間を脅しに使うのはずるいな。そもそも蘭ちゃんのわがままなんだけどね?


「変なものだったら嫌だからね」


「大丈夫ですから!いいものですよーなんなら持って帰っていいですよ?」


 小さいヌイグルミかなんかだろうか?勝手に持って帰るのは怒られそうだが……。蘭ちゃんに向かって手をだす。


「はいっ!これです」


 後ろから手を出して持っていたものを乗せる。

丸まった布のようなものでそのままではよくわからない。とりあえず黒い布だ。ヌイグルミでは無かったがハンカチか?受け取って両手で広げる。


「うへへ」


 全部広げきる前にそれがなにか理解して笑っている蘭ちゃんにむかって全力投球。


「うへぶえっ……。いきなり何するんですか!!危ないじゃないですか!」


「危ないのはこっちの社会性と蘭ちゃんの頭だよ!!」


「別にこれくらいいいじゃないですか。今ならバレませんよ?こっそり持って帰っちゃえば!」


「まずなんで欲しがってる前提なのかわからない」


「今日の朝脱ぎたてのおねぇちゃんの下着ですよ?ファンの間で数十万で売れそうですね」


 数十万……ちょっと欲しくなったかも。

もちろんお金がね?


「こんなの貰って何に使うんだ」


 額縁に入れて飾んのかな?もはや新興宗教。


「なにって匂いでも嗅ぐんじゃないですか?男の子じゃないんで分からないですけど」


「いや実際そうだとしてもその考えが浮かぶ蘭ちゃんにちょっと引くんだけど」


 誰得なんだ。


「今時の子供なら普通だと思うんですけど………私がおかしいみたい言わないで〜」


 こっちこそこっちがおかしいみたいに言わないで欲しいよ。


「どうせおっさんですよーだ」


 蘭ちゃんとは1.2歳の差だと思うんだけど。


「小鳥遊さんも若いじゃないですか……。それじゃあこれなんてどうですか?」


 机に置いてあるヌイグルミが上に乗っかった小さいB5サイズのノートをヌイグルミを退けてこちらに持ってくる。

ノート?授業のノートかな。でも見てなんの意味もないと思うけど……。


「はい!どうぞ」


「なんのノート?」


「そっちはおねぇちゃんの日記です」


 いやそれも勝手に見ちゃいけないでしょ。


「個人情報のかけらもないね」


「いいんですよ別に。おねぇちゃんですからね〜日記がダメならこっちにしますか?」


日記に変わってもう一冊の方のノートを手渡される。


「こっちは?」


「さぁ?私もなんでも知ってるわけじゃないですからね」


 そう言われると中身が気になってしまう。

内容はみないからなんのノートなのかだけ確認したい。


「分からないと気になるなぁ」


「捲っちゃえばいいんじゃないですか」


 ほらほら。と、まくし立ててくる。

共犯を作りたいだけなんじゃないの?

まぁでも気になるから開いちゃうんだけども。


 表紙を捲ると1ページには上にイラスト、下には長い長きの文字が書かれていた。


「あれ?これって」


「小鳥遊さんの最初に食べたケーキですね?」


 次を捲るとモンブラン。その次は……。

もしかして全部あるのか?それにしてもイラストうまいな。苦労して何回も描き直してる身としては羨ましい。

パラパラとノートを捲って確認する。流石に文字までは読まないけど。




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