64-手料理。
「どうぞ上がっちゃってください」
「お邪魔しますー」
玄関で靴を脱いで蘭ちゃんとリビングに向かう。
「ちなみにおねぇちゃんの部屋2階ですけど見ます?今ならこっそり覗けちゃいますよっ」
「特に興味ないからいいや」
「小鳥遊さんって本当におねぇちゃんにこれっぽっち
も興味ないんですね。もしかして女の子に興味ないんですか?」
そっちの気はないから。変な誤解をしないでほしい。
「そんなことないよ?先輩は普通に可愛いと思うけど」
「思うだけですか。草食系ー?」
「いや普通だと思うんだけどね……」
そんなに何かおかしいか?
他人の部屋を覗く趣味なんてないんだけど……。
「普通可愛い女の子とか気になる女の子の部屋って見たくなりません?いい匂いするのかなとか」
「みんながみんな蘭ちゃんみたいに変態じゃないからね。匂いとか考えないの」
先輩は確かにいい匂いだが。わざわざ嗅ぎたいかは別だよね?
「別に変態じゃなくても普通ですよー!小鳥遊さんは思春期来てないんですね。可哀想に……」
同情された……。
「じゃあ、覗きに行ったほうがいいのか?」
良心の呵責とか無いのだろうかみんな。
「そうこなくっちゃ!それじゃあケーキしまって早く行きましょー!」
リビングに入ると料理の美味しそうな匂いが広がっていた。
すごく美味しそうな匂いだな。やっぱり手料理だと美味しそうだよね?
誰かの手料理なんてずっと食べてないな。自分のはノーカンとして。
「小鳥遊さん?」
いけない、少し感傷に浸ってしまった。
蘭ちゃんが心配して声をかけてくれた。
「ごめん大丈夫だよ。美味しそうな匂いだなって」
「そうですか。だってさおかーさん」
「ありがとうございます。大量あるから是非沢山食べて行ってくださいね」
「はい。関係ないのに呼んでいただいですいません。お邪魔してます」
「いつでも来ていいって言ったじゃないですか。全然来てくれないからこっちから蘭を使って確保してみました」
笑顔でフライパンを振る先輩のお母さん。
強引なのは蘭ちゃんじゃなくてお母さんの方だった……?
「いつでも、と言われてもなかなか行く機会がないですから」
やんわりと断りを入れるが流石は全然のお母さん。
「なら毎週来てもいいんですよ?うちの子供も喜びます」
「喜ぶのはおねぇちゃんだけじゃないのー」
ニヤニヤしながら言われても。蘭ちゃんやけに先輩推すなぁ。
「てかおねぇちゃん帰って来ちゃうじゃん!小鳥遊さん早く行きましょう?」
ケーキを冷蔵庫にしまって廊下に戻っていく。
「あの子もだいぶ楽しそうにしてますよ。ありがとうごさいます」
お礼を言われても何もしてないんですけど……。
頭を下げお辞儀をして蘭ちゃんの後を追う。
「こっちですよー」
階段を登って一番奥の扉に歩いていく。
「ちなみにこっちは私の部屋ですけど見ます?」
腕を後ろに伸ばして組んで前屈みになり上目遣いで訪ねてくる。
いや別に見たいわけじゃないんだって。
「いや遠慮しておくよ」
「えー。つまんなーい」
蘭ちゃんはさっきから面白さを求めてるのか?
「先輩帰ってきちゃうから」
「ならまた今度です。絶対ですからねー!」
なんでそんなに見せたがるんだ。
「機会があればね?」
「おねぇちゃんみたく無理矢理拉致しますかっ?開けますよー」
蘭ちゃんだけはせめてまともでいて欲しい……。




