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62-誕生日ケーキ。


「なー小鳥遊。そーいえばお前コンテストってどうなったの?」


「次は来月だよ。今もうレシピの試行錯誤で試作してるところだけど」


 そーいえば最近先輩にばっかりで中谷にケーキあげてないな。


「え?まじで、作ってんならくれよ。最近全然くれないじゃん。持ってきてるなら少しわけろよ!」


「分けたら足りなくなるんだよなー。まぁ今度からはたまに持ってくるよ」


「足りなくなるってどこに持ってってんだ?」


「んーまぁちょっとね。先輩のところに」


「先輩?先輩ってもしかして前あの地獄に来てた先輩?」


「地獄って酷いな。ケーキ食べ放題じゃん。そーだよあの先輩」


「いつの間にそんな関係に……。そーいえば前も教室に来てたもんな。お前ら付き合ってんの?!」


「んなわけあるか!声でけーよ。そんな関係じゃなくて……」


「ならどんな関係なんだ」


 どんな関係なんだろうか。ケーキを貢ぐ関係?だけでもないしなぁ。一緒に出掛けたり家にお邪魔したりしてるし。

貴族と奴隷的な?わがまま聞いて連れ回されてる感じとかそれっぽいよね。

うん。ただの学校の先輩後輩よりはしっくりくるね。


「主従関係?なんか違うけど」


「先輩とそういうプレイしてんの?引くわぁ……」


 なんでそうなる。違うからそんな目で見ないでくれ。


「なわけあるか!ただケーキ持ってって一緒に食べたり連れ回されてるだけだよ」


「友達って感じ?いやまぁはたから見たら普通にカップルだが」


「カップル?ないない。友達って先輩との関係で使うような枠か?」


「お似合いでいいじゃね?学校2大有名人同士」


 おいお前までその言い方広まってんのかよ。やめてくれまじで、先輩はいいとしてこっちは全然有名でもすごいわけでもないから。


「その言い方やめろ。嫌な噂広まってんなぁ……」


「まぁ広めたの俺だけどね」


 このあと中谷をふるぼっこにした。

こいつには当分ケーキはなしだな。



『これから家に帰るよ』


 中谷を懲らしめた放課後先輩に出くわさないように注意して校門を抜ける。


 今日は金曜日、先輩の誕生日らしい。

急いで帰って先輩の妹の蘭ちゃんと先輩が家に帰ってくる前にケーキ作りをして運ばないといけない。

なので学校を出てすぐに蘭ちゃんにメールをした。

うちで作る予定だから学校終わったらお互いに集合する決まりだから急いで帰らないと蘭ちゃんを待たせてしまう。


 家に着くと制服姿の蘭ちゃんがスーパーの袋をぶら下げて玄関の前で待っていた。


「ごめん、待たせちゃった?」


「いえ!今来たところですから」


 それって男が早く着いて言い訳に使うやつじゃん。


「とりあえず中入ろっか」


 鍵をあけて中に入るように勧める。


「お邪魔しますー」


「てきとうにリビングで待ってて、すぐ着替えてくるから」


 部屋に行って荷物を置いて着替えてリビングへ戻る。


「お待たせ時間ないし作り始めよっか」


「はい、おねがいします!」


 鞄からエプロンを取り出して身につける蘭ちゃん。


「えーと私何すればいいですかね?」


 正直1人でも作れるんだけど蘭ちゃんが作らないとあんまり意味がないよね。どうしようか。


「じゃあとりあえずこの卵ボウルに入れてほぐしてくれる?」

「生地ですか?わかりましたー」


うお、蘭ちゃんスポンジ生地作れるのか。つい先輩扱いで頼んでしまった。

蘭ちゃんに生地をお願いしている間に中に入れる用と飾り付けのフルーツをカットしていく。


「小鳥遊さんできました。これ型に入れちゃっていいですか?」


「うん。お願い入れたらオーブンにいれるから置いといて」


「わかりましたっ!」


 生地をオーブンに入れてる間に飾り付けの相談をしよう。


「蘭ちゃん飾り付けってどうする?」


「私てきとうに色々買って来たんですよ」


 袋から金箔に食用花、チョコプレートとチョコペン。後は砂糖で出来た人形達?


「凄い持ってきたね……」


「何か使えるようなのあればいいんですけどね」


 全部実用的なものばっかりですが。

「全部使おうか。スポンジも冷やさないといけないから結構時間空くなぁ」


「それじゃなんかお話してましょうか」


「なにはなす?」


 話題触れるほど若い子の流行知らないんだけど。




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