57-確認。
「えー、そーなの。迷うなぁ」
「しかもめっちゃ混みますよ?」
「何で?ケーキマニアがそんなにくるの?」
「飲食の企業の展示とかと同時にやりますから会社の人とか東京の学生とかたくさん来ますよ?一般も入れますからね」
だからたくさん作らないといけないんだよね。
「なにそれ凄い楽しそうじゃん!!」
「でも自分が作業してるのに先輩が回って遊ぶとかなんかムカつくんでやめてください」
「なにそれ!完全に八つ当たりじゃん。わたしは誰にも縛られないの!」
「ちなみに先生会場にきますよ。最初から最後までずっと」
「えっ。だれ先生?」
「うちの担任ですよ」
「バレたらやばいかな」
「研修したレポート書けるならいいんじゃないですか?」
ここだけ来てたら絶対書けない気がするけど。
「ならどっか他のところも行かないとレポート書けないのかなー?てきとうじゃダメなの」
「僕に聞かれても」
先生に直接聞いてくれ。管轄外です。
「なんかいい方法ないのかなー?後輩くんなんとかできないの?権限的なもので」
「僕にそんな権限はないけど……。怒られるの覚悟してくるか。先生の許可取るか、それこそなんなら働きますか?」
「できたら苦労してないよー。働くってなに?」
「作ったやつを売る人1人募集してるんですよね。一緒に東京に行って作ったやつを売り込む人」
「へー。それなら無料で合法的に入れるんじゃ!!」
「でも開始から終わりまでずっとやるからケーキとか食べてる暇ないですよ」
「取っとけばいいんじゃないの?」
どこに置いておく気だ。
「そもそも修学旅行中に無理じゃないですか?」
「そこは気合で……。ん〜。よし先生に聞いてこよっと!」
紅茶を持ちながら席を立って職員室に歩き出す先輩。
ちょっと待って、せめて紅茶は置いて来ましょうよ?
「本気ですか?!」
「誰に聞けばいいのかな?後輩くんの担任呼んでみよっか」
職員室の前に着くと当たり前のように中に入ろうとドアに手をかける。
「ちょっと待ってください!!呼んで来ますから!待っててください」
「いやでもこれくらい……」
「遠慮しないでくださいよ!ゆっくりそれ飲んでてください」
職員室にまで持っていかれたらもうバレちゃうからね?先輩だけならいいけど巻き添えはごめんだよ。
中に入って先生を探す。
「先生ー。ちょっといいですか?」
「ん?どうした小鳥遊?」
「本当に申し訳ないんですけど先輩が呼んでます……」
「先輩?誰だ?」
「あれ?先輩の名前なんでしたっけ?」
いつも先輩先輩って呼んでるからど忘れした。
「俺知るか。冷やかしなら帰れ」
「いや待ってくださいよ。えーと、確かおと…音無じゃなくて」
「音?音羽か?」
「多分それです!あれだバイオリン申し子」
「はいはい。わかったよ、んでなんで本人じゃなくてお前が来てんだ」
「それはちょっと色々と」
紅茶が面倒くさいんですよ。
「まぁいいや。とりあえず移動するか」
先生に連れられ面談室に移動した。




