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36-サンド。


 すっかりと聞き慣れたリズムに体を揺らしながら教室を目指す。


「演奏するのってこれだけなのかな?」


 ほぼ毎日この曲を聴いてる。

ここ数日、他に練習してるのを聞いたことがない。


「流石にずっとこれだと飽きてくるな」


 飽きるもなんも教室に向かって歩いてる僅かな時間しか聞いてないが。


「あれ?止まった」


 珍しく教室に辿り着く前に演奏が終わってしまった。


「そろそろ入ってくるのを警戒してやめたのかな?」


 もしそうなら必死すぎる。別にそこまですることでもないだろうに。

教室の前についてドアの窓を覗こうとするが。


「あれ?布?先輩またなんか改良したのか」


 ゆらゆらと揺れている。

でもなんか見覚えがある模様だ。

まあいいか。とりあえず入ろう。


「ん、なんか引っかかってるのかな」


 いつも通り開けようとすると固くて開かない。

しょうがないから少し力を込めて一気に に引いて中に入る。

むにっ。


 ドアを開けたはずなのに布がそのまま残されていて顔に当たる。

ドアの窓につけたんじゃなくて入り口につけたのか。


 いやそれよりもなんで布に当たってるはずなのにこんなに柔かい感触が……?

しかも両端から挟まれてすっぽりと埋まって感じになってる。


「きゃっ、え?!」


 小さな悲鳴が聞こえて布が質量を持って襲ってくる。

ガタッ。とそんな音と共に布……もとい先輩が倒れ込んできた。


「きゃぁぁああ落ちるう!!」


 布はカーテンじゃなくて先輩のスカートかだったのか。道理で見覚えるあるわけだ。

毎日学校で見てた。

避けようと体を動かすと頭をホールドされてしまう。


 いや待って!これ危ないからシャレにならない。

そしてそのまま先輩の太腿に挟まれながら一緒に廊下に叩きつけられた。

どんなシチュエーションだよ。本当に。



「……」


 無言で先輩を見つめる。


「……」


 何故か先輩俯いてもじもじしてる。

先ほどの事故?の後とりあえず椅子に移動して先輩を問い詰めることにした。


「何か言うことは?」


「……後輩くんのえっち、スケベ。太腿狂」


 前も同じような事言われたな……。


「ほう?廊下に叩きつけといてそれですか」


 てゆうか太腿狂ってなんだ?

死ぬかと思ったよ。


 頭は挟まれててぶつけなかったけど背中は打つし息はできないし何より首が折れるかと思った……。

こういうのって普通倒れてきた子が覆いかぶさって胸とかに手とか顔が当たっちゃってラッキーみたいな展開じゃないの?

プラスかマイナスかで言ったらもう完全にマイナスなんだけど……。


「いきなり開けて入ってくる後輩くんが悪いというか……なんというか」


 まぁ確かにそれもあるけど普通にあそこに先輩いるって思わないでしょ。

しかも椅子に乗って。




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