32-下敷き。
「いてて……」
痛いのは一番下の僕ですよ。
「もーおねぇちゃん危なすぎ」
「蘭が全部持ってくからでしょ」
「おねぇちゃんに渡ると全部食べられちゃうもんー」
「流石にそこまで酷くないよ!2切れくらいは残すもん」
十分酷いと思う。20切れ以上あるのに。
「その時点でおかしいから!」
「あのーそろそろどいて欲しいんだけど……」
人の上で議論しないで欲しい。
「あ後輩くんいたの?ごめん」
いたの?は流石にどうかと思う……。
「小鳥遊さん大丈夫ですかー?」
「大丈夫だからとりあえずどけて……?」
「すいませんー」
「後輩くん危ないよそんなところにいたら」
自分が悪いのに人のせいにしてきた。
「なに言ってんのあんた達が悪いでしょ。ごめんなさいね小鳥遊さん怪我はないかしら?」
「大丈夫ですよこれくらい」
スイカを持って戻ってきたお母さんに怒られる先輩達。
「あんた達はしゃぎすぎ。少しくらい落ち着いたら?女の子でしょ?」
「「はーい」」
やけに素直だ。
親はやっぱり怖いのかな?
2人を見ると2人の目はスイカに向いていた。
違った。
スイカのために大人しくしてるんだ。
テーブルにスイカとプリンにケーキを並べて座る。
「葡萄ジュースもどうぞ。ケーキに合うとおもいますよ」
「あら、ありがとうございます。いただきますね」
「このプリン美味しいー」
「おねぇちゃん食べるのはやっ」
「プリン美味しいわね」
「お母さんまで食べてるし!私も食べないと」
そんながっつかなくても無くならないって。
多分。
プリンなんかよりスイカのが冷えてて美味しい。
プリンも冷えてるけどさ。
夏はスイカが美味しいよね。
異論は認めない。でも葡萄ジュースには合わないかな。
スイカのお菓子今度作ろう。
「こっちのケーキは美味しいね」
「あっちは大人向けですからね」
「どうせお子ちゃまですよーだ!」
別に拗ねなくても。
「好みがありますからね。あっちはワインですけどこっちは葡萄ジュースと合いますよ」
「本当だ美味しい」
「それにしてもよく食べますね2人とも」
「甘いものは別腹だからね」
「そーですよ!いくらでも食べられます」
女の子には言えないけど太らないのかな?
「それ食べ終わったら片付けしますからね」
「「はーい」」
さて何か手伝うことあるかな?
「やっと家に着いたぁ〜重かった」
「こら!ちゃんと中まで運びなさい蘭!」
まだ元気あるのか……。2人とも若いなぁ。
「手伝っていただいてすみません」
「いえ、ご馳走になりましたからこれくらいは」
「いつでもきて構いませんから」
「はい。また今度お邪魔させてもらいます。今日はここで失礼させていただきますね。ありがとうございました」
深々と頭を下げる。
「あ、おかえりになるなら2人呼んできますよ」
「いえ、大丈夫ですよ。よろしく伝えといてください」
だってなんか捕まりそうだし。
疲れたからゆっくりと休みたい。
「そうですか?わかりました。お気をつけて」
「失礼します」
もう一度会釈して歩き出す。
楽しかったな。
先輩達って普段あんな感じなんだ。
2人とも無防備すぎなんじゃないかな?
こっちの身にもなって欲しいね。




