30-名前。
「美味しかったー!」
「ご馳走様です」
美味しかった。
「スイカ食べよー」
あんなに食べたのにまだ食べるんだ。
でもデザートは別腹か。
「じゃあ取ってきますね」
「あ、小鳥遊さんいいですよ。私が行きますから」
「スイカ以外にもあるからね」
「じゃあ一緒に行きましょうか」
蘭ちゃんと2人で川へ回収に行く。
「さっき先輩になんて言ったの?」
「何だと思いますかー?」
わからないから聞いてるのに。
「んーわからないや」
「大したことじゃないですよ?」
「なのに先輩をあんなに静かにさせるなんて」
「おねぇちゃんいつもそんなにうるさいんですかー?」
「うるさいというか自由というか。まあ見てて飽きないからいいんだけどね」
「なるほどー。さっきおねぇちゃんに『それ間接キスだよね』って言ったんですよ」
それで真っ赤になってたのか。
「先輩でも恥ずかしいことあるんだ……」
「あー小鳥遊さん酷いですね〜。あれでもちゃんと乙女なんですよ」
あれでも。って……。
「蘭ちゃんも十分酷いと思うけど」
「あははっ。私は良いんですよー妹ですからね!」
そんなもんなのかな?
「あ、蘭ちゃん。プリンお願いしていい?」
「はーい!あれ?これは?」
「さっき冷やしておいたジュースだよ」
スイカと冷やしておいた葡萄ジュースを手に取って来た道を戻る。
「高そうなジュースですね?」
「外国のだから見た目が高そうに見えるね」
「小鳥遊が持って来たんですか?」
「うん。ケーキに合うと思って」
「ケーキ?プリンじゃなくて?」
「ケーキも持って来てるよ」
「やったー!小鳥遊さんありがとうございます!」
飛び跳ねて喜んでいる。
「先輩に全部食べられないようにね」
「ですね。よく見張っておかないと」
きょろきょろと辺りを見回す仕草をする。
流石に全部食べることはないと思うけど。
「そーいえば小鳥遊さんとおねぇちゃんっていつも先輩と後輩くんって呼びあってますよね」
「うん」
何かおかしいかな?
「なんで名前で呼ばないんですか?」
「苗字で呼ぶと蘭ちゃんと被るし先輩の名前は知らないからね」
「え?名前知らないんですか?!」
「うん。先輩もこっちの知らないだろうし」
「自己紹介とかしなかったんですか?」
「そーいやしてないなぁ……」
するタイミング逃したからなぁ。
苗字はしたけどね。
別に先輩後輩で問題ない気がするけど。
「えぇ……。どうしたら自己紹介もしてないのにこんなに仲良く?」
「初めて会ってから数日後にクラスに乗り込んできて拉致されました」
「……うちの姉がすいません」
先輩も前に蘭ちゃんのことそんな風に謝ってたな。
「それからなし崩し的にここまで」
「おねぇちゃんって意外と積極的だったんですね」
「行動力は凄いと思うよ」
特にお菓子に関してはね。
「ほらあんな感じにお菓子への執着は凄い」
「あー!先に食べようとしてる!小鳥遊さん走りますよ!!」
「急がなくても」
「なくなっちゃいますもん〜!ちょっとおねぇちゃん!!!」
スイカを頭の上に乗せて走る蘭ちゃん。
蘭ちゃんってたまに行動が可愛いよね。
「大丈夫だと思うけどなぁ」
だって先輩の食べようとしてるのブルーチーズの方だし。




