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29-気遣い。


「お肉美味しいですか?それでも弁当ばかりだと飽きるでしょう?栄養も偏るし……」


「美味しいです。焼肉なんて久々に食べましたよ。確かに栄養は偏りますね……」


 弁当とスイーツばっか食べてるし早死にしそうかも?


「両親は?夜遅いのかしら?それとも赴任してたり?」


「両方、去年事故で」


 皆まで言わずとも理解してくれるだろう。

そういうところは子供よりも話が早くてありがたいね。


「あら、ごめんなさい。ならお一人で暮らされてるのかしら?」


「はい。洗濯とか面倒ですけど意外と親がいた時とあんまり変わらないですよ」


「大変ね……。たまにこうやってうちにきてくださいね。今日は外ですけどご飯くらいは振舞いますよ」


 凄くいい人だ。

先輩がこの性格だったら惚れてたに違いない。

先輩はどこか残念だからね。


「ありがとうございます。機会があったら是非ご馳走になりにいきます」


「遠慮せずにきてくださいね。うちの子達も喜ぶと思うので」


 これは毎回お菓子を持ってかないといけないやつかな?


「先輩達の目当てはお菓子ですからねー」


「小鳥遊さんのスイーツ美味しいですものね」


「今日も持ってきてるんで良かったら食べてください」


「あらありがと。楽しみにしておくわ」


「お菓子あるんですか!食べたい!」


 うわ。びっくりした。蘭ちゃんいつの間に背後に……。


「ご飯食べた後にね」


 てゆうかプリンはスイカと一緒に冷やすために渡したから知ってるでしょ。


「はーい!」


「あー!後輩くんもう食べてるじゃんー。ずるい。一口ちょうだい!」


 別にこっちから取らなくても焼けてるお肉あるのに。

でもまぁ山盛りになってるしいいか。


「しょうがないですね。はい」


 箸でお肉を何枚か掴んで先輩に向ける。


「やったぁ。あーんっ」


 先輩が箸に口を近づけて食べようとしたところで引っ込めて自分の口に放り込む。

うん。やっぱり美味しい。

先輩は固まってる。


「どうしたんですか?先輩。そんなに僕と間接キスしたかったですか?」


 笑いながら話しかける。

先輩は顔を真っ赤にして震えている。


「小鳥遊さんやりますね〜」

「前やられたからやり返しただけだよ」


 でもこれは楽しいかもしれない。

先輩の反応が面白いし。



「こ……こ、こ」


 コケコッコー?


「後輩くんの馬鹿ぁー!!」


 ものすごい勢いで皿を強奪して肉を口に放り込んでる。


「先輩からしてきたんじゃないですか」


やり返しただけですよ?


「おねぇちゃんも意外と大胆だねー」


「ふんっ」


 食べながら馬鹿だのまだ根に持ってたのかだの変態だの言いたい放題いっている。

変態はおかしくないか?


「私もお腹減ったー。小鳥遊さんおねぇちゃんはほっといて食べましょ!」


「あれほっといていいの?」


「いいですよーどうせお肉無くなったら取りに来ますし」


「単純だなぁ先輩も」


「あ、そうだちょっと待っててくださいね」


 そう言って先輩の元へ行き、なにかを耳打ちして戻ってくる。

なにを言ったんだろう……。

先輩めっちゃビクってしてたけど……。


「これで大丈夫ですよー食べましょ」


 先輩は急に大人しくなった。

蘭ちゃんってやっぱり恐ろしい子だ。




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