26-川辺。
誤字脱字の指摘を戴きました。気をつけておりますが申し訳ありません。
見つけたら教えてくださると助かります。
ぴーんぽーん。
あれ?反応がない。時間間違えたかな?
すると玄関の扉が開く。
「あ、小鳥遊さん!おはようございます!早いですね」
蘭ちゃんが出て来た。スイカを持って。
え?スイカ?ネットにスイカを入れて肩にかけてる。
状況についていけない。何しに来たんだっけ?
わけがわからずに呆けていると玄関の奥から声がかかる。
「あら、貴方が小鳥遊さんねこんにちわ。蘭の母ですいつも娘がお世話になってます」
「あ、どうもこちらこそ。いつもお世話になっております」
「もうーお母さん!!そういう堅っ苦しいのいいからいくよー」
「はいはい。それじゃ行きましょうか」
「えーとどこへ……?」
「え?蘭言ってないの?」
「あー細かいことはなんも言ってないー!まぁいいでしょ。早く行きましょ小鳥遊さん!」
蘭ちゃんに手を引かれて歩き出す。
「どこにいくの?」
「川辺ですよー」
川辺?先輩の言ってたところかな?
「なんで川辺なの?全く状況がわからないんだけど……」
「まぁ行けば分かりますよー!早く行きましょ!」
そりゃそうか。もうどうしようもないしいっか。
「こっから入りますよー」
ここ森だけど……?
「大丈夫ですよ抜けたら直ぐですから」
森を抜けると石の河原に出た。
「ほらあそこですよ!じゃあ私はスイカ冷やしてくるんで」
「あ、ちょっと待って。これも一緒に冷やしといて」
川で冷やすのかな?蘭ちゃんにプリンを渡す。
よし、とりあえずあっちに向かうか……。
荷物のある方に向かって歩き出す。
なんだろう?頑張って炭を熾してるひとがいる。
側まで行くと声がかけられた。
「ちょっとライター取ってくれー」
辺りを見渡すが誰もいない。
後ろ向いたままだし誰かと勘違いしてるのかな?
ライターを手に取り渡す。
「はい」
「あぁ、ありがとう……。誰?」
受け取るためにこちらに向き直って目が合う。
こっちのセリフなんですけど……。
先輩達のお父さんかな?
「えーと小鳥遊です」
とりあえず自己紹介しておく。
「あ、小鳥遊さん。初めまして音羽です。娘からお話は伺っております」
ぺこぺこと頭を下げる。
なんでそんなに丁寧なんだ……。初対面だけどこっちは子供ですよ。
丁寧にされて嫌な気がするわけじゃないからいいんだけどなんだか申し訳ない。
「いえ、こちらこそ普段からお世話になってます。これつまらない物ですがどうぞ」
パウンドケーキ達が入った袋を差し出す。
「お気遣いありがとうございます。今日は楽しんでいってください」
「はい。手伝いますよ」
団扇を受け取って扇ぐ。
火がつくまで結構かかった……。
これ1人でやるなんて大変だろうに。
「ありがとう助かったよ。もう大丈夫だから娘たち呼んで来てくれないか?あそこにいるから」
目をやるとなにやら2人で楽しそうに話をしてる。
本当に仲良いよね先輩達って。
兄弟とか居なかったから少し羨ましい。




