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15-有名。


「今日はフィナンシェですよ」


「ケーキじゃないんだ。珍しいね」


 たしかに先輩に会ってからケーキばっかりだけどケーキだけ作ってるわけじゃないからね。


「最近ケーキばっかりだったんで変えてみました。ケーキだと時間かかりますからね」


「なるほどねー。いただきます」


 話を聞いてるんだか聞いてないんだか。

フィナンシェを頬張る。


「ん?これバナナだ」


「苦手でした?」


 この先輩に嫌いなものなんてなさそうだけど。


「ううん?美味しいよ。でも紅茶欲しくなるなぁ」


「こっちはチョコチップ入ってるんで。学校ですからねここ一応。それは贅沢では」


 学校で紅茶まで飲み出したらもうなんでもありだ。


「チョコチップの方も美味しい。わたしには紅茶が必要なのー」


 確かにあった方が美味しく食べられるけどさ。


「そーいえば後輩くん。前にお家にお邪魔した時のやつ試作って言ってたけどどこかで作るの?」


「あぁ、あれはコンテストで作るんですよ」


「コンテスト?へぇ〜、お菓子のコンテストなんてあるんだね」


「バイオリンとかと同じようなもんですよ。予選やって本戦やって最後は海外って感じですね」


「後輩くん海外に行くのかー。天才はすごいね」


 先輩はお菓子を片手に背もたれによしかかり、足をぶらぶらさせて遊んでいる。


「流石に海外は無理だと思いますよ。天才じゃないので」


 僕で天才なら世の中天才だらけになっちゃうよ。

だいたい予選すら通れるか怪しいのに。


「他のにはでた事ないの?小さい奴とか」


「昔にならありますよ」


「どうだったー?」


「金とか銀とかダメな時はもう論外だったり。いろいろですね」


「後輩くんって既にもうその世界で有名だったりしないのそれ……」


 毎回金を取ってるわけでもないんだしそんな事があるわけない。


「そんなわけないじゃないですか。そんな事言ったら先輩の方がそっちで有名なんじゃないですか?」


 優勝してるって聞くし。

こっちのと違って狭き門って感じで大人の人達と戦って勝ってるなら相当話題になるはずだけど。


「わたしが?ないない。同世代ですら化け物級だらけだっていうのに何度か優勝した程度じゃねー。もっと勝ってる人もいるもの」


 一気に言い切り、手に持っていたお菓子を口に詰め込んだ。

その化け物達と渡り合えてる時点で先輩も相当な化け物では?

やっぱり先輩は将来バイオリニストになるのだろうか。


 普段の先輩からは考えられないけど……。


「そーいえば先輩って毎日ここにいるんですか」


「基本的にはここにいるよ」


 作って持ってきた時居なかったら無駄足だし。


「お菓子なくなっちゃった。あ、今日はレッスンあるからもう帰ろうかな」


 時計を見て急いで帰る用意を始める。

なら僕も帰るかな。試作全然進んでないし。

割とやばい。大会までそんなに時間がない。


「それじゃあまた今度ね後輩くん。お菓子ありがとう!」


「いえ、レッスン頑張ってくださいね」


「後輩くんもね」


 先輩はケースを片手に玄関へと走っていく。


「先輩忙しそうだな」


 先輩もコンクールとかあるのかもしれない。

お菓子は控えるかな。こっちも忙しいし。




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