11-紅茶。
土曜日。それは一日中ゆっくり出来る学生の素晴らしい味方だ。
社会人の人も休みな人は休みだが。
なので今日は中谷がお家に来てます!えぇ、もちろん試作の犠牲者の1人です。
「お題がスポンジケーキなんだよね」
ということで。苺のショートケーキ1つ焼きました。
「ということで。じゃねーよ!!これ誰が食べるんだよ!しかもお前一切れも食べずに次作ってんじゃん……」
いくらでも食べれるって言ってたじゃん……。
「それはスポンジケーキと言ったらそれかなって思ってもしかして美味しくなかった?」
本当に何も改良していない本やネットに載ってるような普通のショートケーキなんだけど。
「いや美味いよ?でもそれとこれとは話が違うじゃん。飽きるし多いし」
「あ、口直しに冷蔵庫に洋梨のタルトもあるから好きにたべてね」
「せめてケーキじゃなくて紅茶とかくれ……」
しょうがないなぁ。でも確かに喉も乾くしお茶くらいは出さないとね。
「そこの棚に入ってるから好きなの自分で淹れてのんでいいよ」
「うわ、どんだけ種類あんだよこれ……おすすめとかない?流石にありすぎて困るわ」
「ショートケーキならキームンとか合うと思うけど」
「ありがとーキームンキームン……ってこれ全部茶葉じゃねーか。ティーバッグのないの」
「文句ばっかだな。奥の方にない?一個くらい残ってそうだけど」
「どれどれ。お、あったわ。キームンじゃないけどこれで我慢するわ」
うるせぇ。どうせ違いなんてわかんねーだろ!!人のこと言えないけど。
「んでそれは何作ってんの?」
「これは本番で作るやつの試作だよ」
「どれくらい出来んの……?」
「何個も別バージョン作ってみたいから同じものが何個もってわけじゃないよ」
「お前も食えよ」
消費係頑張れ。
とは言え流石に可哀想だし、助っ人呼んであげるか。来るかわからないけど。
携帯を取り出してメールする。
『妹さん。今ケーキ作ってるんでよかったら食べに来ます?』
するとすぐに返信が来る。
『はい!行きます!今からですか?あと妹さんじゃなくて普通に呼んでくださいよ』
だって名前聞いてないし。あ、先輩と同じか。
『ごめんね音羽さん。今から来て大丈夫だよ。1人消費係いるけど気にしないでね』
『それだとおねぇちゃんと被るんで蘭でお願いします!じゃあこれから向かいますね」
蘭ちゃんっていうのか。そーいえば先輩の下の名前知らないなぁ。
よし、1人苦戦してる奴はほっといて作っちゃいますか。




