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110-話題。


 扉をくぐって直ぐに右の壁に沿って曲がり、角に着くと更に曲がって少し歩いて立ち止まる。


「ここですか?」


「うん。ちょっと待ってね」


 そう言って握っていた手を離し、手に持つ鞄から小さなシートを取り出して床に敷く。

 こんなものまで用意してたのか。


「はいどうぞ」


「ありがとうございます。準備いいですね」


 シートの上に腰掛けて後ろの壁にもたれかかる。


「計画的な子だからね」


 先輩も同じように隣に座って鞄から水筒を取り出して紅茶を入れ始めた。

 喉が乾いてる時に出てくるから評価が高いんじゃないっけ? 直ぐに出すのね。


「はい。これ紅茶」


 紙コップに注がれた紅茶を受け取りひとくち口にする。

 口の中で紅茶の香りが広がる。ジャスミンだ。最近色んな種類の茶葉が出てくる、買い集めてるのかな?


「今日はジャスミンですか」


「後輩くんってよくそういうのわかるよね」


「飲んだことありますし……」


「流石だね。新しいの買ってみたんだ〜。はいこれお茶請けのお菓子」


 ジャスミン苦手なんですけどね。

 先輩から貰ったお菓子は自分で作ったシフォンケーキだった。こっちも取っておいたのか……。

 桜味のシフォンケーキを齧って紅茶と一緒に食べる。ジャスミンの香りが強すぎて少し桜の香りが台無しになってる気がする。

 ダージリンとかキャンディの方が相性いいんじゃないかな?


「こんなに準備万端で今日は計画通りに過ごして楽しめましたか?」


「まぁまぁかな? 去年よりは確実に満足だけどね」


「なら十分ですね」


「今日はまだ終わってないからね?」


「もう真っ暗ですよ」


 灯りという灯りといえばグラウンドにある火の微かな仄めきと星や月灯りだけ。


「だね〜。今日も後少しだ」


 紅茶を飲みながらゆったりと空を眺める。

 縁側でお茶を飲む老後の生活を楽しむおばあちゃんみたいだ。

 言ったら怒りそうだから言わないけどさ。


「そーいえば後輩くん進路決めた? 前も聞いたっけ」


 突然進路の質問をしてくる先輩。どうしたんだろう。


「一応決まってますよ」


「どんな?」


「海外の専門学校に入れたらそこにしますけど、無理そうだったらこっちで普通の大学ですかね」


「こっちの専門学校って選択肢はないの?」


「そこまでして続ける必要はないかなって。あと行ってもあんまり変わらなさそうですし」


「そっかぁ。やっぱ海外か。偉いね後輩くんは1年でもう考えてて」


「割とみんな考えてると思いますけどね。進学か就職かくらいは」


 先輩みたいに自由に生きてる人達はわからないけど、専門分野に就くのか大学行くのかとか普通考えてるものだと思うけど……。


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