表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/143

100-文化祭初日3。


 先輩が着替えに行ってから数分。いまだに戻ってこない。


「小鳥遊さんこんにちわ」


「どうも」


「あ、2人ともお久しぶりです」


 先輩が戻ってこないのに先輩のお客さんがきてしまった。

旋律コンビだ。


「このタルトが小鳥遊さんの作ったやつ?」


「そうですよ。まぁ作らされたんですけどね」


「汐音さんに?すっかり尻に敷かれてるね」


「律さんから言ってあげてくださいよ」


「こき使われて嬉しいって?」


 くすくすと笑う律さん。


「小鳥遊さんが可哀想だからその辺にしとけよ」


 旋さんのフォローでなんとか変なこと言われずに済みそうだ。


「はいはいわかってるよー」


「それで2人とも先輩に呼ばれて遊びにでもきたんですか?」


「あれ?汐音さんから聞いてない?」


「何をですか?」


「ならなんでもないよ。とりあえずタルト2つくださいな」


「はぁ……。1000円になります。1つずつ分けますか?」


「両方私が食べるから一皿でいいです」


「俺のじゃないのかよ。けちだな」


「これくらい自分で買いなさいよ。女の子に集るつもり?」


「お前は女じゃなくて怪物だろ……」


「なんか言った?」


「別にー。すいません俺にも1つください」


 本当にこの2人仲良いなぁ。これで付き合ってないのかな?


「はいどうぞ」


「ありがとう。それじゃまた後でね」


「あれ?先輩に会わなくていいんですか?」


「どうせ後で会えるからいいのよ」


 タルトを頬張りながら他の売店に去っていく律さんを旋さんが追いかける。

2人ともバイオリン持ってたけど練習帰りとかなのかな?

先輩とは違って勤勉だな。

大会終わってから一回も聞いてない気がする。


「早く戻ってこないかな」


 1人で回すのもかなり辛いんだけど……。


「お待たせ……」


「あ、やっときましたか。いま旋さんと律さんが……」


 先輩の方を振り返るとそのには何故かメイド服を着た先輩がいた。


「あ、あんまりジロジロ見ないでよ!」


「なんでわざわざそれに着替えて着たんですか」


「クラスTシャツに着替えようとしたらクラスの子に捕まってね?クラスの正装だからって着せられた……」


「先輩のところのカフェってメイドカフェだったんですか」


「そうみたい……。聞いてないよそんなこと」


「可愛いからいいんじゃないですかね?似合ってますよ」


 お世辞じゃなくて本当に。着せた人はこの文化祭のMVP間違いなしになりそう。


「うぅ……。これのせいで凄く目立ってここにくるまでに凄い見られたよ」


「服装のせいだけじゃないと思いますけどね」


「え?!なんか変?どこ!!」


「いや変じゃないですけど……。そんなことより早くタルト売ってくださいよ。まだ半分以上ありますよ?」


「恥ずかしくて無理ぃ」


「先輩以外にも着てる人いるんですから大丈夫ですよ」


「まぁそうだけどさぁ」


「それじゃ売り上げの優勝はなしですね」


「そうだった!!ケーキのために頑張らないと!!こんなことで挫けてちゃいけないよ!」


「いや何こっそりケーキにしようとしてるんですか」


「あっ」


 あっ。じゃない。気をつけないと勝手に変えられそうだ。


「メイドさんなんですからもっと売り込んでくださいよ」


「そ、それは違うでしょ!」


「先輩ぽいところはいつ見せるんですか?」


「後輩くんは狡い!策士め!」


「あーはいはい。いらっしゃいませー。2つですね?はい。1000円になります」


「はぁ……。仕方ないか。タルト2個ねー」


 やっと諦めたみたいだ。


「似合ってますよ。先輩」


「うるさい!とっとと次の受付してよ!」


 真っ赤に染まる先輩を眺めて楽しみながらタルトを売っていく。

なるほど。これが先輩の言ってたことか。案外一緒に出店をするのも悪くないかもしれない。


「後輩くん目がやらしい……」


「冤罪ですよ。そんなことよりさっき律さんと旋さんきてましたよ?」


「わたしが呼んだからね」


「なんで呼んだんですか?聞いたらはぐらかされたんですけど……」


「あの2人にはちょっと余興に付き合ってもらおうかなって」


 余興?まだなんかやる気なのか。


「楽しんでますね先輩も」


「もちろん!今年はすごい楽しい文化祭になりそうだよ。あ、そうだ後輩くん1時になったら一旦閉めるよ」


「え?なんでですか?」


「体育館に行くよ!」


「1時からなんかありましたっけ?」


 有志のステージとかかな?それともタルトでも売り込みに行くのか。


「いけばわかるって」


「僕は売り切りたいんで残ってていいですかね」


「よくないよー。大丈夫言った方が売れるから」


「全くわけがわからないんですけど……」


「お客さんは自分から取りにいくんだよ!」


 押し売りでもする気かな?まぁ付いていけばわかるか。


「ならそれまで外で声だして宣伝してくださいよ。たくさん売っときましょう?」


「それは恥ずかしいんだけど……」


「お客さんは自分から取りに行くんじゃないんですか」


「むぅ……。ドSめ!」


「なにがですかね」


 さっぱりわからないや。もともと自分がやりたかったことでしょ?この出店。

さて、涙目になりながら客引きをする可愛らしい先輩を見ながら文化祭を楽しむとするかな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ