96-宣伝。
文化祭前日。
2日間居ないのがばれて教室に軟禁されてしまった。
「ちょっとトイレに……」
「ペットボトルでいい?」
いいわけないでしょう?
「トイレくらい」
「絶対逃げるでしょ」
ばれてますよねー。
「昨日と一昨日サボって何してたの?先生に言っちゃうぞ?」
それは面倒になるから勘弁して……?
あれ出店の準備なら合法的にサボってる事にならない?
「色々やることがあってね」
「クラスの方もやってもらわないとー?」
「部活の方行ってる人もいるでしょ?」
「だから人手が足りないんだよ!てゆうか小鳥遊くんって部活入ってないよね?」
「入ってないです……」
どうしよう。少しくらいならいいけどあんまり遅くなると終わらなくなる……。
「おーい中谷ー!」
「ほいさ。呼んだ?」
「なんとかして」
「むりじゃね」
「ちっ」
「いい方法あるけど。最終手段」
「じゃそれで」
別に死にはしないしなんでもいい。回避できるならね。
「おけ。あとで文句言うなよ?」
「わかったって」
「てことで小鳥遊は忙しいらしいんだ。いいか?」
「よくない」
「今度クラスみんなにたくさんケーキ作ってくるってさ」
「おっけぇー」
え、そんな簡単なことでコロッと変わるの?!
いや簡単じゃないけどさ。作るの考えたら。
「ほら、解決だぞ」
「作るのめんどいから明日出店で買ってくれよ……」
むしろ買ってくれないと売り切れない気しかしないから頼みます。
「ケーキいくらなの?」
「1/8カットで500円」
「安いの?」
「ケーキ屋でタルト買ったらなんカットになるんだろう。多分10カットくらいで6.700円とか?じゃない?」
「なら安いのか」
「でも作ってる人があれだからね。ぷろじゃないし」
「そう言うのはいいや。宣伝しとく?」
「なんでだよ……。んーめんどくさくなるの嫌だから放課後とか明日の朝にしてくれ」
「それで1000売れんの?」
「なんとかなるでしょ。だめだったら先輩のせいにして投げる」
「酷いな」
「無償の手伝いだからね」
「なるほどね。まぁ学校的には共犯だけどな。まぁそれとなく広めとくわ」
「頼んだ。早くやらないとそもそも売れないからやって来るよ……。あ、明日朝暇だったりする?」
「暇だけどなんかやらせる気だろ?」
「一応なんかの要員としてね」
「……後で連絡するわ」
「ほいー。じゃやってくる」
とっとと終わらせて帰って寝ないと明日朝早いからなぁ。
調理室に入って作業に入ると中には先輩が中で座っていた。
「あっ。やっときた〜」
「なにしてるんですか」
「なにとはご挨拶な。後輩くん待ちだよ」
立ち上がってこちらに歩いてくる。
「なんか約束してましたっけ?」
そんな記憶はないんだけど……。
「シフォンケーキをラッピングするんでしょ!!」
目の前までやってきておでこへデコピンをしてくる。
ぺちっ。といい音が調理室に響く。
地味に痛いなぁ……。
「あぁ、勝手にやればいいじゃないですか」
「場所知らないもん」
「冷蔵庫にでっかいバッドに入ってるじゃないですか」
「あー。冷蔵庫に入ってたのね〜」
それ以外ないでしょう。
「とっとと包装してくださいよ。手伝いませんからね」
「ケチだなぁ……」
「やることたくさんなんで」
話しながらカスタードを作る準備を始める。
「明日は何時に来るの?」
「何時に開くんですかね」
「6時くらいじゃないの?」
開始が10時なはずだから4時間で125台……2分で1台?無理じゃないか切るのも考えないといけないじゃん。
「絶対間に合わないんで明日一人で売ってもらっていいですか。ひたすら作り続けるんで」
「えー1人に流石にしぬよ!!」
「まぁ出来るだけ頑張りますけど……。てゆうか当日どこにタルト入れておくんですか?」
「それは心配しないで〜もう手配しておいたから!」
手配……?なんか頼んだのかな。
「どっかから用意したんですか」
「業務用の冷蔵庫をレンタルしといたよ〜」
「え?業務用……?」
「うん。リースって便利だよねー」
「高そうですね」
「まぁ2日くらいだからそんなしないよ。だからそこに入れて売りまくるだけ!」
「売れればですけどね」
「正直クソまずくても文化祭だからみんな買うから大丈夫だよ」
「そんなもんですかね」
「しかもケーキだからね?買う買う!で後輩くんの箔がついてるんだよ?」
「どんな箔ですか……。まぁ売れなかったなんとかしてくださいね」
「もしもがあればわたしが全部責任持って食べるよ?」
口から涎を垂らしながら親指を立てる。
流石に先輩でも食べきれないんじゃないかな。
カスタードを作り終えて冷ましている間に2日目のアップルパイの中身を作りにかかる。
皮を剥いてセルクルで真ん中だけくり抜いて種をを取る。
それを輪切りにスライスして半分にカットしして鍋入れグラニュー糖、シナモンなどと一緒にじっくりと煮込む。




