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94-タルト地獄。


 文化祭3日前になると授業が全部なくなり準備期間に入る。

みんなクラス展示や部活の出し物に追われている。


「中谷ー。クラスの方抜けるね。2人分働いといてよ」


「え?どこ行くんだよ」


「調理室だよ」


「なんか作んの?」


「タルトをね……」


「なら俺も行くわ」


「サボっていいの?」


「人のこと言えないだろ。いいんじゃね?女子がなんとかするって」


「なんか言われても知らないからね」


「その時は一緒に怒られるけどな?」


 それで怒られるなら中谷は来なくていいんだけど……。

バレないように自然な感じで教室をでて調理室へ向かう。


「なんで今タルトなんて作んの?」


「出店で出すんだと」


「出店?なんでそんな他人行儀な言い方なんだ?」


「さぁ?やるって言ったのは先輩だからね」


「また例の先輩かよ。お前も飽きないな」


「ゴリ押しだからね。拒否権はないのだよ」


「本当に下僕じゃねーか……?」


「うるせぇ。来たなら手伝えよ」


 なんせ300台も作るんだからね。


「俺でもできることあんの」


「全部のオーブンをつけてくれ」


「全部?たくさん作るんだな。ってそりゃそうか出店で売るんだもんな」


 そう言ってオーブンをつけて回り出す。

中谷の想像してる数よりも多いと思うけどね。

来たからにはとことんこきつかってやる。

1回10個分で計量していく。とりあえず100個分を測って作り始める。


「中谷。終わったら型全部出しといてくれ」


「りょーかい。その次は?」


「この分量の材料をこうやってひたすら用意してってくれればいいよ」


「まだ必要なのかこれ……?」


「まだまだね。本当に嫌になるよ」


 生地を捏ねてラップに包んで冷蔵庫で寝かせてその間に次のを作って冷蔵庫に。

それを10セット繰り返したら最初に冷蔵庫に入れたやつを取り出して調理台に打ち粉をして麺棒で伸ばして型にはめて、フォークで底に穴を開けてクッキングシートを被せて重石を乗せてオーブンに突っ込む。

それもまた10セット繰り返して焼きあがったものは冷まして中谷が計量したものを同じようにやり続ける。


「小鳥遊あと何個必要なんだ?」


「とりあえずそれで終わりでいいよ。次は冷蔵庫の袋に入ってる黒い果物あるからそれ全部房から外してくれない?」


「まだやることあんのかよ……」


「こっちが言いたいよそれは。あと何回作ればいいんだよまったく……」


「半分は残ってんぞ」


「言わなくていいよ……」


 まだ半分も残ってるのか。何時に終わるんだか……。


「そっちは大変そうだな。何個作ってんのこれ」


「300個。それ終わったら半分ミキサーで回して一番大きい鍋に実といれて弱火にかけといて」


「300?!文化祭如きで何個売る気だ」


「8カットにするから各日1000個だよ……ってあれ?」


 作業する手が止まる。


「どうした?」


「300を8カットしたら2400じゃん……?」


「まぁただの掛け算だな。400個多くねーか」


「計算間違えてる……。250個でいいじゃん」


「50個も減ったじゃんよかったな」


「危うく無駄に作るところだった」


 気付いてよかった。今何個焼いたんだろう焼いた分と焼いてる奴と寝かせてるので……。

170くらいか。あと少し頑張ろう。

中谷と2人で黙々と作業を進める。

中谷手伝ってくれなかったらこれ放課後になっても終わらなかったんじゃないのか?

今度お礼になんか作ってやろう。

最後1台をオーブンに入れる。


「終わった……」


「お疲れさん。今日はもう終わりか?」


 洗い物をしながら訪ねてくる中谷。


「今日はね……。本当ありがと」


「ちなみには明日は?」


「今焼いてる奴全部に別なもの作って乗せてもっかい焼くのと、シフォンケーキを3種類19個ずつかな?」


「今日より大変なんじゃねーの?」


「どうだろうね。タルトは混ぜて乗せて焼くだけだし、シフォンケーキ合計で57個でしょ?今日に比べたら楽じゃない」


「十分ハードだと思うけどな。それでその元凶の美人の先輩はなにしてんの?」


「さぁ?クラスの展示でもやってんじゃないかな」


「さぁって……」


「先輩のこと全然知らないからね」


「それでよくこんなことしてんな」


「本当だよ」


 先輩に乗せられてこんなハードワークしてるけどこれはなんか報酬をもらわなければ納得がいかないな。


「大変だな彼氏さんは。これグツグツいってるけどどうするの?」


「彼氏じゃないから。あ、砂糖入れないと」


 中谷にやってもらった鍋に砂糖を加えて煮てジャムにする。

これを濾し器で濾して完成。


「これはなんの果物なわけ?」


「エルダーベリー。パンに付けたら美味しいかもね」


「聞いたことないな」


「有名なのもんじゃないからね。それよりとっとと片付けて教室に戻らないとホームルームに間に合わなくなる」


「やべ。急がないと!」


 2人で片付けをして焼いたタルトを……どうしよう。

今もだけど当日もどこに置くんだ?流石に調理室は誰かしら使うだろう。

そもそも置きっ放しにしたら取りに行くのも手間だよなぁ……。


「どうした?」


「いやこのタルトどこに置いとこかなって」


「あの箱に積んどきゃいいんじゃね?勝手に使っていいのかは知らんが」


 箱……?あぁ


 バンジュのことか。たしかに積み上げられるから場所は取らないけど勝手に借りていいのかな?


「怒られたら中谷のせいにすればいいか」


「おい!」


 文句を言う中谷をほっといて箱詰めをする。

ぎりぎり時間も間に合いそうだ。

明日のことを考えると憂鬱だけど先輩は今頃なにしてるんだろうか。

こっちがこんなに大変なのに1人ゆったりしてそうでなんかムカつくな。




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