07 思惑に隠れているもの
◆ケインの家 書斎
「どう一斗? 何かわかった?」
「マイ……か。いんや、欲しい情報はな~んも。やはりティスティが言っていたように、古代の書物はまったく残っとらんわ」
本を調べてみてわかったのは、勇者とアルクエードのことに関しての書物以外、ほとんど残っていないということ。
「どの本もどれだけ勇者が素晴らしい人物だったか。アルクエードはどれだけ素晴らしい魔法なのか。そういった観点では語っているけど……一方的すぎてわかるようでわからん感じ。あ~、お手上げだわ!」
一斗は読んでいた本を積み上げて、お手上げのポーズをしながら床に寝そべった。
「お疲れ様、一斗。でも、よくここまで片付けたわね」
「ええ、頑張りましたよ。一人でね!」
「あははは、そんなグレる一斗も可愛いよ」
「……な~んかお前と話すと、調子狂うんだよな」
不貞腐れているように見えるが、実はマイとのこういったやりとりを一斗は嫌いではない。
「あれ? ここに置いてある本は何なの?」
「それか? ケインが言うにはおやっさんの日記らしいぞ。なんでもーー」
「なんでそのことを先に言わないのー!!」「ーーって、なんでそんなに興奮してんだ?」
突然マイのテンションが急上昇したことにビックリし、マイは別のことにビックリした。
それは――、
「だって、ケインのお父様の日記よ、お父様の! ということは、彼がどんな人物と繋がって、どんなことをしていたのか? 何かそのヒントが掴めるんじゃないの!?」
興奮して話している内容が最初は理解できなかった、が――。
「あ~っ!!!!」
「じゃないわよ。まったくもう。しっかりしてよね、一斗」
「ごめんなさい……(知識は本から得るものだっていう勝手な思い込みがあったのか……そういえばケインのやつが父親の日記を読んで、教団を疑問視するようになったって言ってような――)」
今わかったような素振りを見せている一斗に、ハァ~っとため息をついた。
でも、抜け目がありまくる一斗にどこかホッとするマイだった。
「とにかく日記を読んでみましょう。何かアルクエードや教団、決起隊に関するヒントが得られるかもしれないわ」
そう言いながら、マイは日記をパラパラとめくっていく。
どうやらアイルクーダからエルピスに引っ越すときから、日記を書くようになったようだ。
~~~A.W. 292年~~~
やったぞ!
私がこれまで言ってきたことが、まさか王国に認められるとは……
家族はみんな大喜びだ。
特に、ケインは。
やってやるぞ、エルピスで。
平和を実現させるんだ。
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~~~A.W. 293年~~~
一年経ったが、
まさかこんなにエルピスのまちが乱れているとは思ってもみなかった。
ほとんどの人がアルクエードを使えて
ある程度の願いなら叶えれるはずなのに……
なんで盗みや暴行などが横行してしまうのだろうか?
私の平和に対する誓いが試されている気がする。
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「この辺りは、まだエルピスにまだ来たばかりのようね」
「あぁ……でも、本当なのか? このまちがそんなに荒れていたなんて……」
~~~A.W. 294年~~~
先週まちに新たな役人がやってきた。
なんでもあのバスカル様直々の推薦らしい。
そんな偉い方が
なんと私を直々にその方の館に
招待してくれたのだ。
その方の名前はキール様。
まだ二十歳を過ぎたばかりの若者だが、
礼儀正しく、立ち振る舞いが素晴らしい。
そんな方が私の平和に対する想いを
熱心に聴いてくださり、
共感してくださったことが
とても嬉しかった。
キール様のためにも
より一層お力になれるように
仕事に精を出さねば。
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~~~A.W. 295年~~~
キール様が赴任されてから
急速にまちは落ち着きを取り戻してきた。
誰もが安心して生活できる
そんな平和な世界が近付いているようだ。
悪さをしていた決起隊の連中も
アジトを発見されて
大勢検挙されてからは
めっきり大人しくなった気がする。
やはりキール様はすごい。
そんなキール様のもとで
これからも働いていきたい。
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「ようやく名前が出てきたな。ケインが言っていたキールというやつが。でも……そんなやつどこにも見つからないよな?」
「そうね……もしかしたら教会の隠し部屋のように、マイたちが探しきれていないところに潜んでいるのかもしれないわね」
~~~A.W. 296年~~~
キール様のもとで
一階に仕事をしていた同僚が
急に行方をくらました。
同じようなことが
まちで起きているらしい。
何か事件が起きているかもしれない
そう思った私は
一人調査をはじめた。
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~~~A.W. 297年~~~
昨年から始めた捜査は
なかなか手掛かりが掴めない。
ただわかったことは二つある。
一つは、
キール様の体制に異を唱えていたものが
姿を消していること。
そして、
もう一つは……
~~~~~~~~~~~~~~
「――ってなんだよ、もう一つって!」
「なんども書いては消した痕跡が残っているわ。おそらく彼にとって、そのわかったもう一つっていうのが納得できなかったじゃないかしら?」
~~~A.W. 298年~~~
キール様から
直接調査の中止を言い渡された。
今でも増えている行方不明者のことが
気にならないのだろうか?
気になるといえば、
最近記憶が曖昧な時間帯がある。
気が付いたら
外に出ていたとか寝ていたとか。
私自身にも何かが起きているんじゃないか?
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~~~A.W. 299年~~~
息子のケインからも
私の様子がおかしいといってくる。
まちは随分静かになってきた。
争いなんて起きる気配がまったくしない。
私が願い続けてきた
そんな平和なまちにいて、
心穏やかにいるはずなのに。
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マイは次のページをめくったが、これ以降日記は書かれてはいなかったので、ゆっくり日記帳を閉じた。
「……どう思う、マイ? やっぱりこのキールってやつが黒幕だと思うか?」
「おそらくは……ね。この日記を読む限りでは、いきなり操られたというよりも、だんだん侵食されていった。そんな感じがするわ」
マイは日記自体から何かを感じ、想いを馳せているのか、日記に手を置いたままゆっくり目を瞑った。
そんな彼女から流れて出ている雰囲気を感じながら、一斗は寝そべり目を閉じた。
「……」
ちょうどその頃、一斗とマイがいる書斎の中を外からこっそり見ている人物が一人いた。
「ティス、どうしたの?」
「!? ケイン……」
後ろを振り返ると、ケインが不思議そうな表情をして立っていたが、顔を見合わせた刹那表情が変わった!?
――と、そう思ったときにはティスティの表情はいつもの感じに戻っていた。
「ううん。一斗を探していたんだけどね……」
私はゆっくり書斎のドアを閉めて、ケインに向き合った。
「マイさんもいるんだ。あの二人は本当に仲が良いよね」
「仲が良い? それとは、ちょっと違うんだよね」
「違う?」
「……行きましょう、ヘッケルさんのところへ(仲が良い、とは別次元なのよ)」
ティスティがそう言って何か考え事をしながらヘッケルの部屋に向かうと、ケインはしばらくしてからティスティの後に付いてきた。
◆ヘッケルの寝室
トントン
「はい?」
「ティス、マイだけど」
ガチャ
「あれ、一斗は?」
ティスティがドアを開けてみると、そこにはマイの姿だけ見え、一斗はどこにも見当たらなかった。
「一斗? あ~、書斎でなんか寝ていたからそのままにして来たわ。なんかずっと探していたみたいだからね」
そう言って部屋の中に入ってくると、まっすぐヘッケルのところに向かう。ベッドの前に着くと腰を下ろし、いつものようにヘッケルの触診をし始めた。
「……うん、マテリアルの方はほとんど安定して来たわね」
「じゃあ、父は……そろそろ目を覚ますのでしょうか?」
ケインはマイの話を聴き、前のめりになりながらマイに質問したが、マイは顔をしかめた。
「その……はずなんだけどね」
「何か原因があるの、マイ?」
歯切れの悪いマイに対して、ティスティは何かを感じた。
「それがね……もしかしたら、このままでは目を覚まさない可能性も――」
「「!?」」
「と言っても、あくまで仮説だけどね」
「どう言う、ことでしょうか?」
ケインが焦る気持ちを抑えつつ、マイに尋ねる。
そのことを察したマイはごまかすことができないと思い、そっとため息をついた。
「実はね、さっき一斗と一緒にヘッケルさんの日記を見させてもらって気づいたことがあるんだ」
「親父の?」
「そう。ケイン君はもう見ているからはわかるよね。ヘッケルさんがこうなってしまった原因を……」
「!?」
「おそらくマイが推測する限りでは、五年前にこのまちに赴任したキールとかいうやつが一番怪しいわ。ただ……」
「あの教会の奥で見つけた結晶もなんか絡んでいるのね」
「結晶……」
何か思い出している仕草をしているケイン。
「ケイン君も何か思い当たることがあるの?」
「それが……今は付けていないみたいですが、しばらくの間ずっとこれくらいのサイズの結晶をネックレス代わりに付けていたんです」
右手の親指と人差し指で輪っかを作り、結晶のサイズを教えてくれた。
(私たちが見たのよりもだいぶ小さいわね)
(ええ、そうね。でも、関連はありそうだわ)
小声でマイとティスティはやりとりをした。
「ただ……」
「ただ?」
「親父がそれを付けているときは、なんか身体が疲れてくる感じがして……しかも、ふっと意識が飛ぶこともありまして。そのことが怖くなって、その、ぼくは……」
何かを押し殺して、下を向き、黙ったままになったケインの手の上に、ティスティは何も喋らずそっと自分の手を乗せる。
そのことに反応したケインはティスティの方におずおずと目を向け、ティスティはそれに応えるように首を縦に振った。
「ありがとう、ケイン君。辛いことを話してくれて。その結晶が関与しているのは間違いないようね。となると、ヘッケルさんは私たちの見えないところで影響を受けている可能性が高いわ。それとーー決起隊」
「決起隊って、あの唐突に襲って来た人たちのことだよね?」
「うん。彼らはどうやら教団と敵対というより、はめられているかもしれないわ。確信はないけれど。だから――」
「あいつらに話をつけに行く――だろ?」
「「一斗」」
いつの間にか一斗が部屋の中に入っており、ドアを背もたれにして立っていた。
「決起隊のやつらとケイン、お前の親父さんとの間にも以前何かあった。が、親父さんは目の敵にしてきた相手のことを認めることはできなかったんだ」
「一斗、それと話をつけにいくのとどう繋がっているの?」
わからない表情でいるティスティとケイン。
「それはだな、ティス。決起隊のやつらと俺らの目的は一致している可能性が高いってことさ。アルクエードの謎を解き明かすっていうな」
◆ケインの家 玄関
「本当に行くんですか? 決起隊のアジトに……場所は?」
「詳しい場所まではわかんねーが、親父さんの日記にはこう書いてあった。『決起隊はハイムの森に潜んでいる可能性が高い』ってな」
「ハイムの森!? あそこはこれまで何名もまちの人が行方不明になっているって。それに――」
ケインには、教団や決起隊に関わるとろくなことにならないという思い込みが身にしている。だから、一斗たち(特にティスティ)の身を案じて思い留めてもらおうとするがーー、
「ごめんね、ケイン。そして、気にかけてくれてありがとう。私たちはこれまでも決起隊や魔獣を蹴散らしたことがあるしね、きっと大丈夫」
「……わかった。じゃあ無事に戻って来てな。もちろんお二人も」
「あぁ」「ありがとう、ケイン君。行ってくるね」
一斗たちはケインに見送られて、ハイムの森へと出発するのだった。
(ティスティ、無事でな。それに、一斗さん。約束を守っていただくためにも、無事解決して戻って来てくださいね)
◆ハイムの森 近郊
一斗たちはエルピス南方の出入り口からまちの外へ出て、まちの南東方向に向かう。
まちの南方は草原地帯となっている。
所々岩石でできた建物の跡のようなものがあり、一斗たちはそこで一度休憩をとることにした。
「よし、ここらで一度休憩しましょう」
「あ~、流石に徹夜明けの運動は厳しいぜ」
マイのナビゲートのもと、目的地のハイムの森を目指している俺たちだが――、
「やっぱり今回も誰ともすれ違わなかったわね」
ティスティの一言については、俺もマイも気になっていた。
そうなのだ。
アイルクーダからエルピスへの長旅のときもだが、途中誰かにすれ違うことはまったくなかった。
当然身の危険を感じるような存在に出会うこともなく。
そのことは普通なら有難い話だが、まったくないというのも逆に怖い。
そもそもマイはともかく、俺やティスはほとんど戦闘経験はなく、ぶっつけ本番ばかり。
できれば雑魚キャラで経験値を稼ぎたいところだが――。
「!?」
突如マイが立ち上がって森の方を睨みつけた。
マイから溢れ出ている緊張感を察して、慌てて俺とティスが森の方を見てみたが…何も変化はなさそうだ。
「ねぇ、マイ。どうか――」
「しっ! 静かに……何者かがいきなり森の中に現れたわ。しかも、かなり大勢」
「本当なのか、マイ?」
「…………」
まったく肉眼では確認できないが……
「まさか、教団の連中の仕業か!?」
「十中八苦そうだろうね」
「でも、マイのやつはそんなに大勢を飛ばす魔法はないって……」
「そうよ、そんな魔法はきいたこと――もしかして!?」
「魔法ではないさ。おそらく古代道具を使ったのだろう」
「「「!?」」」
ようやくさっきまでここにいなかった存在が、最初からそこにいたかのようにいたことに一斗たちは気がついた。
「あ、あんたは誰だ?」
「私ですか? 私はカールというもので、各地を旅しながら氣功師を生業としているものです」
カールと名乗った目の前の男は、とても礼儀正しく俺の質問に答えた。
身長はマイたちくらいで、体格はほっそりしている感じだがスポーツ選手のように引き締まった感じ。
髪と目の色はグリーンで、とても優しい目付きをしている。
「……そんな方がなんでこんなところにいるんですか?」
「マ、マイ!」
らしくなくマイが好戦的にカールとかいうやつに問い詰めたから、慌ててティスがフォローを入れようとするが――、
「ある筋から、ハイムの森に貴重な薬草が生育しているという情報を入手しまして。それで――」
「ここまで探しにきた、と?」
「はい、その通りです」
「……」
マイの刺々しい態度に心乱れることなく、あくまで自分のリズムで自然に答えるカールを相手にマイは黙ってしまった。
「と、ともかく、さっき言っていたことはどういうことですか? 古代道具がどうとか……」
「そうですね。私も現物を見たことはありませんが、ある特定の魔法陣が描かれた場所から場所へと瞬時に移動するための装置。つまり、魔道具の一種ですね」
「「魔道具?」」
「そう、魔道具。古代道具の中でも、なんらかの魔法の力が込められているもののことで、かなり希少なものだときいています」
(となると、決起隊は教団から奇襲を受けたことになるな。だが……あの男がそう簡単に捕まるとは思えんが)
「どうする、一斗? 助太刀にいく?」
「助太刀っつーても、相手は大勢いるんだろ? 状況もよくわかんねーし、今飛び込むんはやばくねーか? ……ってその顔はなんだよ、お前ら!」
驚いた表情で見つめてくるマイとティス。明らかにこいつら――、
「だって……ねぇ、ティス」
「ねぇ、マイ。いつも何も考えなしで正面突破しかしない一斗がまとものこというと、ね~」
「うっ!?」
「あははは、図星という感じかね、一斗くん?」
「……初対面のあんたに笑われたくはないね」
痛いところをつかれると、いつもなら気のしれた相手も腹が立つんだが……なぜか目の前の人物に対してはその気がまったく起きなかった。
「これは失礼。で、これからどうするんだね、君たちは?」
カールは俺らを見渡して確認をしてきた。
正直森の中の状況がわからないと判断のしようがない。
そう思った俺は、目でマイに判断をあおいだら、マイもこちらを向きしっかりと頷いてくれた。
「状況が読めないうちでは作戦の立てようがないわ。しばらくここで待機しましょう」
「そうね」「あぁ」
マイの一言が合図になり、途端に緊張感が抜けていくのを感じ、俺とマイは地面に腰をおろした。
「では、私も便乗させていただきますね」
「「……」」
「ど、どうぞ!」
「ありがとうございます、ティスティさん。それではお言葉に甘えて」
こうして否定も肯定もできない俺とマイの代わりにティスが答えたことで、なし崩し的に新たなメンバーが加わることになった。
そんなやり取りがあった一時間前。
◆ハイムの森 決起隊隠れアジト
「隊長!」
「おぅ、どうした?」
ラインが声がした方を振り向いてみると、隊員の一人がビシッと敬礼をして立っていた。
「アイルクーダ、クレアシオン王都方面に派遣しておりました隊員、すべて帰還いたしました!」
「そうか、ご苦労様。では、予定通り明日作戦決行する。各自準備を万全にするように徹底させてくれ」
「ハッ! では、失礼いたします!」
隊員は再び敬礼して広間に戻っていった。
「隊長、いよいよですな」
「あぁ、その通りだ副長。お前とは長い付き合いだが……ここらでケリを付けてやるさ」
そう、あいつと果たせなかったこと。
【この世からアルクエードをなくす】
そのために、大勢の仲間が犠牲になった。
ただ、あんな事件を二度と起きないようにするためにも――。
「それにしてもーー随分順調にメンバーが集まったものだな」
「はっ! それはもう秘密裏に集めましたから。これだけの人数が揃えば、教団の奴らも明日は一網打尽ですね、隊長!」
「まぁ、な」
意気込む部下に対してラインは煮え切らない返事をした。
(確かにこれだけの戦力がいれば、教団を抑えることができるかもしれない。しかし……何か上手くいき過ぎている気がする。確か、あいつが戦略を立てるときはなんて言ってたか――)
ドガ~ン!!!!
「な、何事だ!?」
何かを思い出そうとしたタイミングで、広間の方から爆音が聞こえてきた。
「わ、わかりません! 恐らく敵襲かと――」
「バカな! 見張りによると、つい一時間前まではまちにいたはず……とにかく広間に向かうぞ」
「はっ!」
立てかけていた槍を手に取り、急いで広間に駆けつけた。
広間に映った瞬間に目に映った光景は――、
「久しぶりですね、ライン・スターディア」
「お、お前は!? キール……アルトーゼ」
ラインの旧知の友であり、決起隊創立者の一人であり、この世からアルクエードをなくすと誓ったかつての同志が、広間の中央部に堂々と立っていた。




