第8章 3話
かなり困難な挑戦かもしれないけれど、私には立ち向かえるだけの武器がある。
まずはいろんな事の記憶がある。
これから起こる事や、どんな人と出会うのかも含めて。
そしてもう一つの武器。
おそらくこれが切り札にもなるであろう。
それはスマホに宿っていた。
DLをした覚えのないアプリ。
そこには扉のマークがあった。
それをタップすると目の前に6つの扉が現れる。
初めて見た時は戸惑ったけど。
今ならこれがどんな意味を持つのかが分かる。
どういう原理でこれが現れてどうやって繋がっているかなんて分からない。
けれど、これは選んだ所へと飛ぶ扉。
生憎、時間を操作する事までは出来ない。
例えば18時に選んだらその先も同じ時間。
そしてその時間、私がいた場所へと飛んでいる。
これなら他の人達の行動を調整しやすい。
まずは19時でダイビルの中に入る。
この中がどうなっているか、そういえば山田さんに指摘されるまでは詳しく調べようとはしていなかった。
地図をスマホのメモ機能で書く。
このスマホも、すでに私の一部と化しているような気がする。
それならこのスマホにメモを取る事は可能かもしれない。
あちこち飛びながら居場所を確認する。
すると面白い事に気づいた。
いろんなルートがあるけど、研究所にたどり着くまでに同じルートを辿った道が一つとして無い事。
そして。
必ず鍵の開いた部屋があった事。
その中は様々だったけど、もっと詳しく調べてみる必要がある。
でも今回はその時間が無い。
そしてやり直す。
16時に無事に飛んだのを確認すると、スマホを見る。
扉のマークもちゃんとある。
そして、メモの中に研究所の地図もあったのを確認した。
これは大きな収穫だわ。
何度も繰り返すうちにある程度分かった事がある。
それは、私が最初に持っていた物なら持ち越せる事。
以前、コンパスを買って地下に潜った事があるけど。
あの時は戻った時にコンパスを持っていなかった。
所持金もあの時に持っていた金額のまま。
増えるまでもなく、減ってもいない。
そしてスマホの中のデータも持ち越せる事も分かった。
メモもそうだけど、写真データも持ち越せると分かったのは大きい。
こういうのに詳しい山田さんや桜崎さん、そして一条さんを説得する時に説明を省略できるのに使える。
そして地下の研究所を調べて分かった事がある。
それは私と出会った6人全員の協力が必要だって事が。
地下で見つけた鍵のかかっていない部屋の中には、それぞれ実験を止めるのに必要な手順が用意されている。
そしてそれらは別の人達の世界にも影響する事はすでに分かっている。
それぞれ順番通りに研究所のセキュリティを解いていって。
最後に桜崎さんがウィルスをコンピューターに送り込んで終了。
これが私が収穫した情報と山田さんが編み出した解決方法。
まさに時空が歪んでいるからこそ出来る方法。
そしてそれを出来るのは私しかいない。




