第7章 3話
また実験は失敗した。
どうやら山田さんが言う通り、大まかな流れは変わっていない。
だけど。
これはどういう事なのだろうか。
気が付いたらバスの中に乗っていた。
スマホを見るとやはり9月23日の16時になっていた。
このバスの行き先が何処かは知らないけど。
このままでは、遠くに行かされる可能性もある。
降りなきゃ!
そこに一人の青年が乗ってくる。
私と同じくらい?
ふと変な感覚を覚えた。
それは初めて山田さんに声をかけた時に感じた、ほんの少しの感覚。
あの時はまるで気にしていなかったけど。
二度同じ事が起きている事に驚く。
これもタイムトラベルをした事による現象?
いやいや。
とにかく降りなきゃ。
だけど、さらに大の大人二人が乗ってくる。
「おい!下がれ!」
え!?
その男が持っている大きなバッグを床に置く。
バッグのジッパーを開け中身を見せる。
それは時限爆弾。
バスの中に悲鳴が鳴り響く。
ここで山田さんの言葉を思い出した。
同じ事が起きる事と違う事が起きる事の差。
私はここで一つ、見つけた気がした。
まずは何回巻き戻っても、事件は起きる。
私の時は火事、そして山田さんの時は交通事故、そして今回のバスジャック。
内容は違うものの、事件が起きている事自体は同じ。
となると。
次に気になるのはこいつらの目的。
もし遠くにある場所が目的ならば、気のせいだと思っていたけど。
しばらくバスを走らせているけど、秋葉原から出る気配が無い。
それどころか、さっきから駅周辺をぐるぐる回っている。
これはまず間違いない。
このまま19時まで時間を稼ぐつもりだわ。
どういう因果かは知らないけれど。
私は19時には秋葉原ダイビルに入れる事になっている。
それは言い換えれば19時になるまでは入れないって事でもある。
その事は山田さんの時に十分に思い知った。
そして。
今回も何回か私は死んでいる。
だけど、その次の瞬間にはまるで無かったかのように元に戻っている。
どういう事なのかしら?
もしかして、これが山田さんが言っていた時空の歪み?
まだまだ分からない事だらけ。
そして、このバスに乗り込んだ時に会った青年が今回のキーとなる人物。
名前を矢野摩耶と名乗った。




