第6章 5話
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ここがお父さんの研究所。
何やら見知らぬビルの地下へと案内され。
さらに下った先にそれはあった。
見た事のない機械があちこちにある。
「やあ。すまないね、かなり待たせて」
「ううん。大丈夫ならいいの」
最初は不満を持っていたけど。
事件が起きてからは、無事なのが一番だと思うようになった。
「それにしてもここは?」
「ああ。秋葉原ダイビルという建物の地下なんだよ」
ダイビル?
聞いた事無いわね。
「そして、これがお父さんの研究している物?」
ガラスで囲まれた向こう側に、その見た事のない機械がある。
両端から丸い筒のような物が中央に向けて設置してある。
その奥はかなり深いみたいで、ここからだと何があるのかは見えない。
「ああ。これは所謂LHCと呼ばれる物を改良して作られた物だ」
「LCH?」
聞いた事の無い言葉。
「そう。それを使ってタイムトラベルが可能なのかをこれから実験するんだよ」
タイムトラベル!?
「そんな事が出来るの!?」
「理論上は可能なんだよ。ただどう実現するかで難しい課題があるんだけどね」
へぇー。
人類の夢とも言えるタイムトラベルが出来るなんて。
凄いわくわくして来たわ。
「それにしても、事件に巻き込まれなくて良かったと思ってるよ」
え?
「何言ってるの?それはこっちの台詞よ」
唐突に何を言うかと思えば。
「連絡取れなくてどれだけ心配した事か」
「ははは。すまない。だけど謝っておきたくてね」
変なお父さん。
「ほら、見てごらん。そろそろ実験が始まるよ」
え?
ガラスの向こうを見る。
すでに機械の稼働音が響いている。
いよいよなのね。
「実験開始!」
お父さんが開始の合図を送った。
すると、ちょうど機械の中央の部分で何かがぶつかったような衝撃が現れた。
そして、次の瞬間には黒い靄みたいのが出て来た。
「やった!成功だ」
「何あれ?」
見た事の無い不気味な感じのするもの。
言いしれぬ不安を感じる。
「あれがブラックホールだよ。タイムトラベルを行う為にはブラックホールが必要だという理論があるからね」
あれがブラックホール。
その次の瞬間。
警告音が鳴り響く。
「どうした!?」
「分かりません!ブラックホールの制御が出来なくて!!」
え?
「馬鹿な。シミュレーション通りだと制御が出来るはずだ!」
「駄目です!暴走します!!」
えぇ!?
何が何だか分かずに混乱する。
その次の瞬間だった。
黒い靄はこの研究所すらも飲み込んでいた。
体が宙に浮かぶ。
あっ。
私のスマホ!
それに触った瞬間。
今日の待ち合わせを示す画面が現れた。
それが最後に見た光景だった。




