第5章 2話
-桜崎遥の場合-
実験室に到着。
中を見る。
沢山のノートパソコンが並んでいる。
なるほど。
盗んだ目的がこれってわけね。
放置されていたノートパソコンの中の情報によると。
あれがブラックホール生成器でもあるLHCね。
エキゾチック物質と呼ばれるマイナスのエネルギーの塊でブラックホールを安定させると書いてあった。
もちろん、それがどんな物でどうやって安定させるかのは、ちんぷんかんぷんだったけど。
「エキゾチック物質?」
「ええ。あいつらはそれで制御出来るって考えているみたい」
当然、坂本さんも何の事か分かっていない。
「あっ」
何かを思い出したみたい。
「そう言えばお父さんから聞いた事がある。何か不思議な物質を発見して、研究を進められるかもしれないって」
「不思議な物質?それがエキゾチック物質って事?」
「そうかも。その時は具体的な名称は使ってなかったけど、おそらくそれだと思うわ」
なるほど。
そもそもの原因がそれって訳ね。
「じゃあ。それを見つけ出さなければ?」
「それは無理ね。見つけたのは数か月も前の話。私が遡れるのはせいぜい4時間程度。阻止は無理ね」
そうか。
4時間前程度では、すでに研究所の中にある。
そして、そもそも研究所の中に入れるのが1時間前で無いと無理。
この1時間を使って止める方法を行わないと無理。
となると、物質を見つけるのを止めるってのは無理ね。
「とにかく、だいぶ情報は揃って来たわ。後はもう一度クリスさんに合わないと」
クリスさん?
「誰?」
「初めてタイムトラベルした時に会った人。彼女は天才でこの秋葉原に起きている現象のほぼ全てを推測していたわ。そしてその推測はほぼ当たっている」
なんですって!?
タイムトラベルをしたという事すら信じられない出来事だと言うのに。
ブラックホール実験の失敗から、そこまで考えられるなんて。
確かに、その人は天才かも。
「だからこそ、死を回避した人にはどうしても会っておく必要があったの。彼女の推測ではあなた達こそが事件を回避できる鍵じゃないかと」
「なんで私達が!?」
「そこまでは聞いてないわ。ただ、これまで6回飛んであなたで6人目。必ず一人と出会っていた。これは偶然じゃないと思うの」
そんなまさか。
それじゃ、私も回避するのに必要だっていうの?
「見て。稼働し始めたわ」
あっ、本当だ。
LHCの起動が始まってる。
そろそろ実験が開始されるのね。
そして、彼女の言う事が本当なら、あの実験は失敗する。
そもそもブラックホールを制御するなんて事が成功するなんて思えない。
彼女の言う事を信用する以前に、普通に失敗する可能性が高いでしょうね。
陽子が衝突する!
そして、黒い靄みたいのが見える。
あれがブラックホール?
あっ!
科学者達が何やら叫んだと思ったら。
その黒い靄が広がっていく。
あれがブラックホールだとしたら。
確かに、この秋葉原すらも飲み込もうとするでしょうね。
「失敗ね」




