第4章 10話
次回更新は11月16日(木)予定です。
あれからしばらく時間が経った。
だが、下へ潜った警察の連絡が全然無いとの事。
地上で待機していた人達も中へと侵入した。
それから時間が経った。
まだ警察が戻って来る気配が無い。
どういう事?
「やはり、警察でも止める事は出来ないって事ね」
やはり?
つまり、こうなる事を予想していたって事?
「どういう事?」
「残念だけど、あと30分ほどである実験が行われる。そのせいで秋葉原は壊滅するでしょうね」
えぇ!?
「どういう事?」
「このダイビルの地下で行われているのはタイムトラベル実験。その実験の失敗でブラックホールが暴走して、秋葉原は飲み込まれそして私は今日の17時へと戻される」
「戻される!?」
「えぇ。戻されたのもすでに5回目。ある程度必ず起こる事と毎回違う事の差が分かって来た所」
5回目!?
「まず、この秋葉原で何等かの事件が起きている事。それはあなたが一番知ってる事でしょう?」
うっ、確かに。
小さい事件かと思っていたけど。
殺人事件にまで発展してしまった。
これはただの事件じゃないってのは私でも分かる。
「そしてその事件は、まず間違いなくこの地下で行われている実験と何らかの関係があるって事」
「え?それじゃあ、料理教室の食材を盗んだっていうのも?」
「そう。この地下の実験を行っている研究員の仕業」
「でも、なんで?別にスーパーが近所に無いって訳じゃないのに」
むしろここからなら、スーパーよりも私が通っていた料理教室の場所の方が遠い。
なんで、わざわざ遠い所をしかも盗むなんて。
「そこまでは分からないけど、おそらく資金が足りていないんでしょうね。別の事件の時でもお金を盗んだというのがあったわ。極秘に表に出せない資金でやっていたんでしょうね」
「でも、あんな6~7人程度の食材を盗むなんて」
「それを少量に分ければもっと食べられる人数は増えるわ。そこまで切羽詰まっていたか、それか研究員がそこに通っていたからたまたま都合が良かったか」
何にせよ、そんな少量を狙われたのは事実。
「とにかく、私はこのまま研究所へ向かうわ。でもあなたの力も借りたいの」
「どういう事?」
「さっきも言った通り、これから実験は失敗する。それを阻止するのは一人では無理なの。どうも阻止するための鍵は、あなたのように死を回避した体験をした人物のみ」
私のみ。
「とにかく、研究所へは安全に行けるのは分かってるわ。私に付いてきて」
確かにまだ怖い。
だけど、この秋葉原が無くなってしまうかもしれない。
そんな世迷言、普通は信じられない。
でも、今日はそんな信じられない事が起きている。
私も確かめたい。
この坂本という人が本当の事を言っているかどうか。
意を決してダイビルの中に入る。
そして隠されかのような扉に入り、延々続く階段を下りる。
そういえば、さっき入った警察はどこへ消えたのかしら?
声も聞こえないし姿も見えない。
やがて一番下へとたどり着いた。
「こっちよ」
まるで何度も来たかのように、通路を歩く。
研究施設という割には人の姿が見えない。
「あった」
え?
そこには。
信じられない光景が広がっていた。




