第3章 7話
-山田・クリス・恵子の場合-
なんとなくこの街で起きている不可解な事件の裏側は見えて来た。
だけど、まだ全貌が分かった訳じゃない。
まるで見えない何かが邪魔するかのように、ダイビルに行けないこの現状。
そして。
一体”何”で死を回避しているのかが分かっていない。
普通ならば一度決まった事というのは、時間を遡った所で変える事は出来ないというのが通説。
だいたい死を回避する行動を取った記憶が無い。
一つだけ怪しいと思ったのは、17時半前に見つけた姿鏡。
あれはかなり怪しい存在だった。
だけど、あれが回りまわって私の死を回避したのか?
バタフライ効果なら分からなくもない。
だけど。
普通は死んだ後にまき戻った行動で死を回避するという順番のはず。
あれは死ぬより前に起こした行動だ。
あれで死を回避していたというなら、そもそもなんでさっき死んだ?
「ねえ。あなたは一度時間を遡っているって言ったけど、その時と何が違うの?」
もっと情報が欲しい。
「そうね。今回の事はお父さんから見学に来ないかというお誘いがあったのが切っ掛けなんだけど、その研究所へは用意して貰った車で行ったの。なのにこの時間帯は家にいるはずがすでに秋葉原に来ているという所から違うの」
つまり、直接行った訳か。
「なんとかダイビルって名前は聞いたけど、そこがどこにあるかは知らなくて」
そうか。
それで聞いていたのか。
でもビルの名前を知っているというのは地元民でも珍しいと思う。
UDXビルのような有名スポットならともかく。
秋葉原にいる人でダイビルと言って通用する人がどれだけいる事か。
「つまりまき戻った時点でいる場所が違うと?」
「ええ。なんでそうなってるのかは私も分からないの。だってこれが初めての事だから」
その事故の影響で初めての出来事か。
「そして、もちろんあなたに会うのも初めてよ。一度目の時には会っていない人物に会っている。時計とかを見ると時間がまき戻っているはずなのに、まるで違う世界にいるかのような感覚で、悪夢を見ていたんじゃないかと思うくらい:
ふむ。
つまり事故が起きた時の時間の流れと、今回ではあまりにも違いがありすぎると。
こうなると、本当に事故が起きるのかどうかも怪しい。
だけど。
未だにダイビルに行けないのは事実。
真実かどうかを確かめる為には、そこに行くのが一番だが。
それが出来ない状態。
どうするべきか。
憶測がありすぎて思考がまとまらない。
確証を得ようにも、その現場に行く事が出来ないでいる。
おそらく、これは偶然では無い。
じっと見つめていると。
目の前が急に爆発を起こした。
一瞬何が起きたか理解できなかった。
何もない空間で爆発が起きたからだ。
なんでこんな事が起きている!?




