第3章 5話
-一条みなみの場合-
なんとかこの中央通りにいる間は安全が確保されている。
それは警察のおかげ。
誰かが通報してくれたおかげで、九死に一生を得ている。
だからといって完全に安全とは言いきれない。
さすがの警察も全てを監視出来てはいない。
裏通りや細い道にはまだヤクザの姿が見える。
もちろん、下手に出れば捕まるだけなので私を発見しても見ている事しか出来ない。
だからこそ安全に帰れるとは言いきれない。
家に帰るルートはどう頑張ったって細い道を使う。
私の住所まで知ってるとは思えないけど、それでも安全に帰れるとは思っていない。
ヤクザ達が見え隠れする道を通らない限り、家には帰れない。
時刻は午後6時を過ぎている。
あと1時間以内に帰らないと、さらに危険度が増す。
それは日が落ちるから。
暗くなれば、いくら電灯で明るいとはいえ視界は悪い。
その隙を付く事は考えられる。
今のうちにどうするべきか考えなくては。
何せこんな事に巻き込まれるなんて考えてもいない事。
所持金は少ない。
漫画喫茶に寝泊まりする金額すら無い。
それにしても。
この警察が大勢見張っている今でも私を狙っている。
普通は諦めてもいいはず。
それなのに、しぶとく狙っている。
店長はいったい、どれだけ借金を膨らませているのやら。
これだけの大がかりなコストを払っても、私で回収出来ると思っている。
だからこそ、これだけ長時間粘っている。
私にそれだけの価値があるっていうの?
確かに修理技術はだいぶ積んではいるけど。
そんな大金を生み出すほどとは、私は思っていない。
資格が無いからじゃない、まだ技術がそこまであるとは思っていないから。
となると。
安易な方法かもしれないが、私が女性だから狙っているとしたら。
当然、風俗に沈めればかなりの大金を得られる。
まずこれが目的だと思っていい。
とはいえ、これだけ大量の手下を長時間使ってでも回収しようとしているのは、少し疑問を感じる。
もしかしたら、もっと重要な価値が私にはある?
お金には変えられないほどの価値があるとしたら。
これだけしつこいのも納得がいく。
でも、そんなのあったかしら?
私しかない物。
それを狙っていたとしても、肝心の私が分かっていない。
単なる憶測ならいいけど。
それに。
これからどうするかを、そろそろ真剣に考えなくては。
安全に身を守るにはどうすれば。
ふぅ。
そうため息をついた瞬間だった。
私のすぐ傍で爆発音が鳴り響いた。
そして。
その熱と衝撃が私を襲っていた。




