第3章 2話
「ブレーキ踏んで!」
え?
隣にいた女の子が大きな声で叫ぶ。
それを聞き、慌ててブレーキがかかる。
まずい!
体が自然と動いた。
両手で爆弾を抱える。
急に止まった衝撃で、爆弾がぶつかりそうになったのを防ぐ。
あれ?
そういえば、なんで分かったんだ?
僕もこの子も先の事が分かっていたかのような行動がとれた。
この子はぶつかるって事を知っていたかのようだし、僕も爆弾が爆発するってのを知っていたかのようだった。
それぐらい、当たり前のように動いていた。
「くそ。本来はお前らは見せしめに殺してやろうかと思っていたが、事故を防いでくれたんなら不問にするしかねぇ」
犯人もこの一連の行動にやや戸惑っている。
まるで先の未来を知っていたかのような。
女の子がそっと近づく。
「私は坂本凛って言います。あなたは?」
小声で話かけてくる。
「僕は矢野摩耶です」
どういう事だ?
何故僕に自己紹介を?
「さっき。まるで爆弾が爆発するのを知っていかたのように、それを防ぐ行動をしていたわね」
「それは」
単なる予感だったのかもしれない。
自分でもなんで動いたのか分かっていない。
でも、あのままだ爆発するという変な確信があったような気がする。
「もしかして、矢野君は一度死んだ感覚があるんじゃないの?」
え!?
なんでそれを?
「その表情を見ると当りのようね」
「どういう事なんだ?」
何か知っているというのか?
「驚かないで聞いてね。この街ではある事件の影響が出ているの」
事件の影響?
「どういう事?」
「私も詳しい事は知らないわ。ただ山田・クリス・恵子って人と話し合った結果、導き出された答えみたいだから、その子に聞くしか無いんだけど」
聞いた事の無い人の名前が出たな。
「この街は次元のゆらぎみたいのがあるの」
「次元のゆらぎ?」
「ええ。そのせいで死んだら時間がまき戻るって現象が起きているみたいなの」
時間がまき戻る!?
「そしてここからが重要な事なんだけど、どうも山田という人がいた時間とあなたがいた時間が違う時間軸みたいなの」
「それ、どういう意味だ?」
「私は今日の18:30は実は3度目なの、そしてまき戻る毎に違う出来事が起きているの」
なんだそりゃ!?
「おそらく警察が来ないのはそのせいだと思う。電波も違う時間軸と混戦しているから、別の所へ警察が現れているせいでここには来ないって訳」
なんか妙な説明だが。
でも、警察が来ていないのは事実だ。
それはずっと不思議に思っていた。
「そして違う時間軸の誰かの影響で、死を回避しているの。それが死んでまき戻って生き残っている理由。でも時間がまき戻っているのに覚えている事もある。それがあなた」
まさか!?
「それぞれの時間軸で重要人物だけ、そういう事が起きているみたい。だからここでは私とあなた以外は爆弾が爆発した事すら覚えていないわ」
あまりにもとんでもない内容。
だが。
今日起きている不思議な出来事の説明は出来ている。
しかも。
この子は僕と同じように、その事を認識している。




