第2章 12話
ドン!
何かにぶつかった。
慌ててそっちの方向を見るけど、誰もいなかった。
どういう事?
確かに押された衝撃があった。
あれ?
手に持っていた大量のチラシは?
あっ!
少し遅れてチラシが舞い落ちる。
さっきのぶつかったショックでまき散らしちゃったんだわ!
なんたる失敗!
慌てて拾い集める。
どうしよう。
何か意識が遠くの方にあったような感覚のせいで、今持っているチラシの枚数が何枚だったか忘れてしまった。
こういうのはちゃんと数えないと、配った枚数で成果が変わって来る。
だから、みんなはまず数えながら配るもの。
それを忘れてしまうなんて。
こんな失敗あり得ないわ。
あらかた集めた所で気づいた。
周りの人もチラシを持っている。
どうやら、みんなの足元にもチラシが落ちた事により、逆に関心を持ったみたい。
まさに災い転じて福となす。
大勢の人達がチラシを見ている。
そして、多くの人達がそれを見ながらお店のある方向へと足を向ける。
あんなに大量の人が行ったとなれば。
恐らく、過去最高の人数になる。
もしかしたら助かったかも?
改めて辺りを見渡す。
人混みの数はだいぶ少なくなっている。
帰宅ラッシュはもう終わりを告げている。
今のが最後の団体になるでしょう。
それにしても、
さっきは誰にぶつかったのかしら?
何か、急いでいるような人の感じ。
かなり勢いよくぶつかった。
だからこそ、私も不意を突かれてチラシをばら撒いてしまった。
でも、そのぶつかった相手が見当たらない。
すぐにぶつかった方向を見たけど、誰もいなかった。
なんなんだろう?
かなり不思議な事。
そういえば。
不思議と言えば、ぶつかる直前に何かを考え込んでいた。
それが思い出せない。
何か深刻な事を考えていたような気がする。
でも何を?
それが思い出せない。
物凄く絶望的になって、落ち込んでいた気もする。
なのに、そんな事を考えていた記憶が無い。
上の空だったって言うの?
必死にチラシを配っている最中に?
変なの。




