第2章 9話
-矢野里香の場合-
あれ?
今、私家に帰ってた?
そんなはずないもんね。
まだこれから材料を買う所だもん。
変なの。
なんとか買い物を終わらせないと。
それにしても。
こうしてみると、私達だけ不幸に巻き込まれているような感じ。
秋葉原の人達は今日も平和に暮らしているのが見える。
普段と変わらない街の動き。
でも、よくよく考えてみれば私達に起きてる事もそう重大な事でもない。
単に料理教室用の食材が盗まれた事。
犯罪が起きているのは確かだけど、高価な物や私物が盗まれたって訳じゃない。
そして怪我人も出ていない。
そこまで大事って訳じゃない。
後でそんな事もあったと笑いながら話せるような、そんな話。
中央通りを渡り、目的のスーパーへ。
料理教室と言っても、そんなに大人数がいる訳でもなく。
今日は私を入れても3人の生徒。
毎日教える生徒が違うけど、それでも20人程度の小さな教室。
それは一人一人じっくり教えたいからという方針からみたい。
だからこそ、私が参加出来たのはかなりの幸運。
そして、その先生の信頼があって初めて買い物を任せられる。
ちょっとトラブルもあったけど、いい日になるんじゃないかと思ってる。
よし。
買い物終了。
これで教室に帰れば、またいつもの時間に戻るだけ。
後は警察に任せるしかない。
そう。
私達はただ、元の時間に戻るだけよ。
だからこそ、さっきの感覚が不思議でしょうがない。
何故か家に帰宅していた。
それも、何かに怯えていたような感覚。
このいつもの光景が広がっている秋葉原で?
うーん。
白昼夢って事で片づけておくかな。
だって、家に帰ってる訳が無いんだもん。
変なの。
よーし。
早く帰ろう!
少し小走りになる。
あまり急いで走ると、ぶつかる恐れもあるし。
何より、これからまだ料理を作るという工程が残っている。
料理ってのは体力もいる。
あまり消費し過ぎるのも良くない。
だけど、
料理再会に嬉しくなって少し急ぎたくもなる気持ちもある。
さあて。
さっさと再会させなきゃ。




