第2章 8話
なに!?
なんだ今のは?
確かに感じていた。
爆風により、全身が焼かれていく感覚。
なのに、今の私は何ともない。
それどころか。
さっきあったと思う黒い物体も無い。
気のせい?
いや。
こんな感覚が気のせいで済む訳が無い。
つまり。
私は一度死んでいる。
科学者である私が非科学的な結論を出すとは思わなかったが。
睡眠時における死んだ夢ならばまだしも。
私は一瞬とも寝ていた訳ではない。
だいたい、街を歩いている途中で急に眠るというのはあり得ない。
という事は実際にあった出来事と考えるのが普通。
「どうしたんです?」
側にいた坂本が聞いて来る。
「なあ、笑わずに聞いて欲しいのだが」
そう前置きして、私は今爆発に巻き込まれて死んだ事を明かした。
そして、それがまるで無くなったかのように今生きている状況も説明する。
「やっぱり、この秋葉原には何かが起きているのね」
やっぱり?
笑い飛ばずに、むしろ心当たりがあるかのような発言。
「どういう意味?」
「私も不思議な事に巻き込まれているの。私は今日9月23日の20時に事故に合い、気が付いたら同じ日の16時になってるの」
なんですって!?
もしそれが本当だとすれば。
タイムスリップ!?
時間を跳躍する研究はどこの世界でも行われてはいるが。
まさか、成功例?
待って。
「それじゃあ、ダイビルに行きたいというのも?」
「ええ。あそこでまさに実験が行われているの」
なんという事だ。
この秋葉原で?
そうなると、さっきの不思議な現象も説明出来るかもしれない。
さっき彼女は”事故”と言った。
つまり完成はしていない。
実験の失敗により、巻き込まれた彼女は同日の16時に飛ばされた。
それが原因で、この秋葉原に歪んだ時間が存在するかもしれない。
私はそれに触れたのかもしれない。
でも、ただ巻き戻っただけでは同じ事の繰り返しになるはず。
この辺りが、まだ見えない原因があるかもしれない。
ともかく実験は阻止しなくてはいけないらしい。
そうなると。
警察の存在が邪魔だと思う彼女の気持ちが理解出来た。
のんびり待っていたら20時になってしまう。
どうしたものか。




