第2章 7話
-山田・クリス・恵子の場合-
どうにも目的にたどり着けない坂本凛と一緒に行動をする。
私は特に目的は無かったが、何やら必死な彼女を見捨てる訳にはいかなかった。
そして今、うっかり中央通りの西側に行ってしまったが故に、東側に戻れない状況になっている。
正確には大回りすれば戻れるのだろうが。
肝心のダイビルには近づけない。
まるで計ったかのような事故のせいで、立ち入り禁止になっているせい。
「ところで、何故そこまでして行きたいの?」
かなり切羽詰まった表情をしているから、深刻な事態なのは間違いないと思う。
けど、この秋葉原でそんな事が起きるような状況とは思えない。
そもそも、肝心のビルに今警察がいる。
事件が起きるというなら、犯人側の方が深刻な表情をしなくてはいけない事態になっている。
かといって、彼女が犯罪をするようには見えない。
もし、そうだとしたら警察を見た時に何か反応があるはず。
だけど、そんな事は見ている限りは無い。
「どうしても、止めたい事があるの」
止めたい事?
「詳しい事は言っても信じて貰えないと思う。私自身だってあまり信じられない事だし」
どういう事かしら?
変な言い回し。
他人に言って信じてもらえない事というのは、別に不思議ではない。
当事者にとっては深刻だけど、他人からすれば何でもない事態なんて事は例があり過ぎるぐらい。
だけど、当の本人ですら信じられない事?
何か信じられない事が起きるって事?
なら、それこそ警察に頼むとか?
いえ。
たぶん、それが出来るならとっくにやっているでしょう。
日本の警察というのは、事件が起きない限りまず動く事を極力避ける。
つまり、まだ何か起きてもいない事だから動かせない。
かと言って起きてからでは遅い。
かなり時間を気にしているみたい。
「何時に起きるの?」
時間を気にするって事は、何か起きる時間は知っているという証拠。
「今日の20時」
20時?
今が17時だから、まだ3時間もある。
ううん。
あの慌てぶりからすると、3時間”しか”無いんだわ。
それまでに”何か”を止められるかどうか。
内容はこのまま一緒にいれば嫌でも分かるとして。
あと3時間以内にダイビルに入る方法を考えなくては。
あれ?
そういえば、この裏道って変な荷物があちこちに放置してあるけど。
なんなのかしら?
そう思った次の瞬間。
爆発音が響いて、爆風に身を焦がしているのを感じていた。




