◆猪目洞窟(いのめどうくつ)
◆猪目洞窟
「さぁ、タケルさん。 もうすぐ着きますよ」
誰かが俺を呼ぶ声で目が覚める。
あれっ? 俺、寝たまま走ってた?
隣を見れば、巨乳のウズメが並んで走っている。 手は繋いだままだ。
相変わらず胸が踊っていて、思わずガン見してしまう。
「何を見ているんですか。 気持ち悪いですよ」
ウズメの蔑むような眼が怖い。
「すみません。 つい・・」
「ついって何ですか。 見たかったらちゃんとそう言ってください」
「えーーーー!」
「ふっ、冗談ですよ。 本気にするなんてバカですか」
ウズメにバカにされているうちに、どうやら猪目洞窟に近づいたらしい。
ウズメが、急に走る速度を落とした。
波の音がかすかに聞こえる。 そして潮の匂いも感じられる。
「もうすぐです」
波の音が大きくなり、やがて海辺に出た。
「あそこです」
ウズメが指さした方を見ると、確かに獣の目のような洞窟が見えた。
「あそこが黄泉の国への入り口なのか・・」
「気を付けてください。 中に入ったら油断は禁物です」
「中に危険なものとかがあるのか? だとしたら木花が心配だ。 早く行こう」
「再びバカですか! そうでしょう、とんでもないバカですね」
「なんだと。 人をバカバカ言うな」
「いま、油断は禁物だと言いましたよね。 ここから先は、本来なら人が行ける場所ではありません」
「それじゃ、どうしろって・・」
「そこは、わたしの力とコレでカバーするのです」
そう言うとウズメは、衣と大刀を俺に手渡してきた。
「さぁ、それに着替えて、太刀を身に付けてください。 あっ、下着は付けてはダメですからね。 肌の上にから直に着てください」
「えっと・・ ウズメさん、着替える間あっち向いててもらっていいですか」
「何を乙女のようなこと言ってるんですか、わたしは変態じゃありませんよ。 とっとと着替えてください」
美人のお姉さんなのにドS要素満載だな。
それに今更だけど何か不思議な力を持っているようだ。
俺の名前も知ってたし、着替えが終わったら、いろいろ確認してみるか。
俺は渡された着物に着替え、太刀を腰にさげた。
パンツを履いていないせいか、股間が落ち着かない。
そわそわしているとウズメがこっちを見て、にぃ~と笑った。
ちくしょー。