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◆天宇受売命(アマノウズメ)

天宇受売命アマノウズメ


アマノウズメは日本最古の踊り子と言われている。


そう、天之石屋戸の前で踊り、天照大御神が石屋から出で坐せるきっかけを作った芸能の女神である。



いまから、少し前。


ウズメは、伊邪那岐命イザナキノミコトの命により、日影兄弟タケルとコノハが黄泉の国へ通じる洞窟に向かっているのを木の陰からそっと監視していた。


企てでは、二人が洞窟に入ったら、建御雷之男神タケミカヅチノヲノカミが、手筈どおりイカヅチで大岩を動かし洞窟に蓋をする。


後は、佐久夜比売サクヤヒメが二人をサポートして目的を果たしてくれるハズだ。



辺りは、どうやらタケミカヅチが準備に入ったようで、雨雲が沸き立ち風も次第に強くなって来ている。


よしよし、準備は整ったな。 ウズメがそう思った時。



ピカッ


ドドーン


ウズメの隠れている木立のそばの大木に雷が落ち、なんと大木が真っ二つに割れる。


「わわっ、タケミカヅチの奴め。 なんということをしてくれるんだ!」


ウズメはもう少しで黒焦げになるところだった。 たとえ神であっても命を失うこともある。


ただ、人と違うのは甦ることができるということだが、甦るには神々の関わりとそれなりの時間が必要なのだ。



「あっ、おいっ。 ちょっと!」


ウズメが落雷で少し目を離していた間に、予想外のことが起きていた。


ウズメ同様、落雷に驚いた妹の方が暴走していたのだ。


「タケミカヅチのバカ! 二人揃ってなきゃダメだろう」


どうやら、妹は先に洞窟に到達し、中へと入ったようだ。


「あとは、兄のほうだな。 ほれっ、早く後を追え、追うのじゃ」


そう呟きながらウズメが兄の側まで移動し始めた、その時。



ピシャッ


またしても強烈な稲光に続き、ドドォーンという地響きが辺りに広がった。


「なっ、なんと。 まだ兄が残っているではないか! タケミカヅチはいったい何をしておるのだ」


見れば、大岩は既に洞窟の入り口を塞いでしまっている。


「あ゛ーーー 企ては失敗であったか」


ウズメは落胆した。


洞窟の方を見れば、兄が妹の名を呼びながら大岩の周りを動き回っている。


「無駄なことだ。 もう入り口を開く方法は一つしかない。 だがそれは今では無い」


しばらく様子を見ていると、どうやら兄は諦めたようで、こちらへ引き返して来るではないか。


「ここにいては、鉢合わせじゃ」


ウズメは、急ぎ近くの茂みに隠れるが、木の根に躓いてしまい、辺りの草木が大きく揺れ音を立てた。


ガサッ、ガササッ


「そこに誰かいるのか?」


兄がウズメの方に近づいてくる。


逃げるのは簡単であるが、ウズメの頭にある考えが浮かんだ。


ウズメは、兄をなるべく驚かせないようゆっくりと立ち上がった。

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