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腐男子先生!!!!!  作者: 瀧ことは
先生の言うことにゃ
60/138

60「ご褒美、見ます?」

2話連続更新の2話目です。最新話を読みにきている方はお気をつけください。

 放課後の学校、日誌を書く朱葉に、相変わらずうっとうしく都築がからんでくる。

「ねー朱葉ちゃん~クラス会しよーよ~」

「何度も言うけどわたしそういうのよくわかんないから。企画してくれたら相談はのるし」

「ちぇ。わかったよー」

 放課後の、騒がしい教室でふと顔をあげて、朱葉がきく。

「都築くん、部活なんだっけ? 新入生歓迎しにいかなくていいの? どこにも所属してないの?」

「俺ねぇバスケ部。人数あわせの幽霊部員~」

 だから新歓はコンパだけ行くのだよん、とちゃらいポーズをきめていう。 

「あっそ。じゃあいいわ。」

 朱葉があっさり言うと、

「なになに? 俺に何かお願いでもあった? あれ、朱葉ちゃんって何部だっけ」

「部活は入ってないよ」

「じゃあなに? デートのお誘い?」

「お誘いでもないし」

 立ち上がって鞄をつかみながら、朱葉が声をかける。

「あのさぁ、都築くん的にはさ」

 振り返った都築に、言う。


「オタクって、どう思う?」


 都築はへらっと楽しそうに笑って。

「俺も恋愛オタクだよお」

 となめた返事。でもまぁ、そんなもんだよな、と朱葉は思いながら、教室を出た。




 何か会議が入っているようで、職員室は閑散としていた。桐生の机に日誌を置くと、「早乙女くんへ」と書かれた封筒があったので、ひきとって職員室をあとにする。

 外れの空き教室の鍵をあけ、入っていく。

「そのうち張り紙でもしないとな……」

 机と椅子が雑然と置かれている。中心部に並べられた机には、最新式の、トレース台の箱。

「ほんとに、備品予算で買ったんだ」

 いいのかねぇ、と思いながら、掃除をしていたら、ノックの音。


「どうぞー」


 小さくドアが開いて、おそるおそる、顔を出したのは、静島咲、その人で。

 朱葉がふっと笑って言う。


「…………ようこそ。漫画研究同好会へ」


 飛び込んできた咲が、朱葉にとびついてくる。

 結局まったく甘いよな、とお互い言いながら、朱葉は漫画研究同好会の申請書を出したのだ。とりあえず同好会に必要なのは三人で、夏美には名前だけ入ってもらっている。

 つくりたいんだけど、名前を貸してくれない? と聞いたら、夏美は「オッケーよ~。放課後はあんまり残れないけど」と軽い返事だったけれど、顧問の名前を聞いて、さすがに驚いていた。

『なんで????????』

 という言葉に、

『頼んだら、別にいいって。なんでも、大学時代は漫研だったみたいなんだよね』

 えーめっちゃ意外ー!! と夏美は叫んでいた。

 ──ばれるの、いいの? と聞いたら。

 早乙女くんがいいなら、いいよ、と桐生は言った。

 まあ、そういうわけで、顧問は朱葉の、担任、桐生和人その人だった。

 まだ同好会なので、新歓のイベントに間に合わなかったし動くつもりはない。これから、秋にある文化祭ででも考えればいいだろう。

 咲に連絡をしたら、文字通り泣いて喜んだ。他の部員は、咲が選んできた方がいいのかもな、と思っている。

 二人で騒々しく萌えの話をしてたら、ガーガーと鞄の中で振動音。

「咲ちゃん、携帯鳴ってない?」

 朱葉に言われて、ぱっと携帯に飛びついた咲が、

「大変!!」

 と立ち上がる。

「もう、こんな時間……! わーん、九堂が駅まで迎えにくるんです! すごく怒ってる……!!」

「え、こんな時間って……」

 まだ放課後一時間くらいしかたってないよ? という朱葉に。


「うち、門限だけめっちゃ厳しいんです!!」


 と咲があわただしく部屋を出て行く。「先輩、明日また!」と言葉を残して。

「はいはい、明日またね~」

 騒々しい咲がかえると、しん、と教室が静まりかえる。

「絵でも描くかぁ」

 スケッチブックを取り出し、ひとりで黙々と描いていると。


「やってるかー」


 ドアが開いて、現れたのは桐生だった。会議を終えたのだろう。窓の外はもう暗くなってしまっている。


「あれ、静島くんは?」

「来たんだけど、30分くらいですぐ帰っちゃいましたよ。門限厳しいんですって。おうち、遠いですしね」

「へー……」


 疲れた様子で椅子に座る桐生に、朱葉が笑って。


「ご褒美、見ます?」


 スケッチブックを、ひらひらとさせる。

 本当にガチで泣かれたのには引いたけれども。

 色々あったけど、結局。

 二人の秘密の放課後は、これからまだしばらくは、二人のままらしい。

この話をもちまして、ドタバタ新学期編、一応の完結です。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!(書籍化とコミカライズもネ!)

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