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カブに出来る事ー続き
ヘリが地面に接地したことを確認して、カブは隊員にゴーサインを出す。
小隊長らしき中年兵士がカブにラジオチャットで感謝の意を伝え、素早い動作で地面に降りる。他の隊員も彼に続いて、戦場へと駆けていった。
いくら周囲の安全確認を済ませたからといって、ここが戦場であることに変わりはない。息つく暇もなく敵弾は自分を殺そうと襲ってくる。ここに敵が居ないから、と油断して何度も仲間は殺された。戦場で油断は禁物だ。
カブはヘリのエンジン出力を全開にし、周囲の枯れ葉が激しく舞い上がる。
ヘリは徐々に高度をあげていき、ふとカブが地面を見下ろした時には、既に小隊は建物の影にかくれて見えなくなっていた。
カブは野戦用眼鏡型端末、コンバットグラス越しに見えた小隊のものの足跡に向けて、ぼんやりと不明瞭な発音で、武運を祈る、と呟いた。